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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第2章「七剣姫編」
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真・セブンソード 前編

遅くなりました!今回も宜しくお願いします!

「おはようございまー...中将、出るんすか?」

「ええ。アスカントに少し用があるの。お父さんに顔を見せなくちゃいけなくて。」

「大変そうですねえ。行ってらっしゃい。」

「ありがと。留守番お願いね。」


朝早くに来たハティスは自分よりも先に来ていた上官のシュトルヴを見送り、寛ぐ様に上官の椅子に座る。


「あー眠てー。」

「失礼します!...ハティス大佐、シュトルヴ中将は!?」

「ええ?中将ならアスカントに行くっつってたけど、どした?何かあった?」


ハティスは椅子に座ったまま部屋に入ってきた部下の兵士に問い掛けると、兵士は血相を変えて叫ぶ。


「何かあったじゃないですよ!アスカントがシュレアに宣戦布告したんですよ!?そんな時に中将は何をしに!?」

「は...?宣戦布告?」


ハティスは自分の言葉を少し吟味した後、唐突に椅子から立ち上がり外出の準備を整える。


「中将...今はダメだって...!!()は...!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「宣戦布告ってなんですか!アスカントは平和主義のはずじゃ無かったんですか?」

「アスカントは平和を目指しているだけで平和主義では無い。奴らは『聖女奪還』と『神敵排除』を目的にシュレアを攻める様だ。近々第二騎士大隊が攻めて来る。」

「第二騎士大隊って、エリートじゃないか...!」

「恐らくだが、聖騎士を出す必要も無いと考えているのだろう。」


俺達はクリスさんの報告を聞きながらダンジョンから地上へ大急ぎで向かっていた。



「戦争だなんて...シュレアが負けたらどうなってしまうのでしょう...。」

「大丈夫だ。シュレア王国兵の強さは伊達じゃねえ。ルリィ、お前の父ちゃんも心配してる。付き添ってやるから後で顔を出しに行こう。」

「そうですね...。」


戦争か...地球では民間人の犠牲なんて当たり前だったけど、相手は騎士。そんな事は無いと信じたい...。


「セイエイ、先程も言ったが私達は監視のみだ。介入はしない。」

「はい。でも、どうして?」

「戦争は人の世ではいつかは起こる物だ。命が失われるからと言って無闇に止めても良い訳では無い。戦場で生きる者も居る。私達がこのサイクルを止めてはならないのだ。」

「確かに戦争は無くなりませんけど...人が死ぬのは...!」

「これはガス抜きの様な物と考えろ。これでまた均衡が保たれるのなら、それは必要な犠牲だ。」

「...分かりました...。」

「お前にとっては辛いと思う。だが慣れろ。」


ダンジョンから出ると、アルハムは振り返ってこう告げる。


「僕は王宮に行く。クリスさん、念の為一緒に。」

「ああ。行くぞ。」

「俺はルリィとコイツの実家に寄る。ギルド前で集合だ。」

「了解です。」


ルリィさんとガングさんとはここで別れ、三人で王宮へと向かう。王宮へと入ると、何かの部屋への扉の前でルインさんが立っていた。


「アーサー!お待ちしておりました。国王陛下が待っておられます。セイエイ様達も端の方になりますがどうぞ。」

「は、はい!」


ルインさんに言われた通り、アルハムの後に続く形で扉をくぐる。扉の先は玉座の間で、奥には王らしき人物が鎮座している。


「国王陛下!勇者アルハム、ただ今戻りました。」

(早く膝をつけ!)

(急に言われたって!)

「おお勇者よ!よく来てくれた!」


俺は前にいるアルハムに倣い、クリスさんに注意される形で膝をつき俯く。


「アスカントからの宣戦布告の報は聞いているな?」

「はい。」

「アスカントからこの王国を守って欲しいのだ。アルハムよ、お前には第一兵団の指揮を...」


王様がアルハムに仕事を与えようと任命しようとしたその時、玉座の間への扉が勢いよく開く。これには王様と王妃を始め、護衛の兵士や家臣も驚いていた。


「失礼します国王陛下。我等『魔族解放戦線』、陛下にお話があって参りました。」

「エクシアさん...姿が見えないと思ったら...。」


扉を開けて入って来たのは『魔族解放戦線』の副団長クアンタとエクシア、そして見覚えの無い美青年と兜を被った人物だった。


「アスカントの宣戦布告の報、我らにも届いています。この度は我等『魔族解放戦線』にシュレア防衛の先陣を任せて頂きたく馳せ参じました。」

「な、なに!?」

「防衛に成功すれば我等は魔族の名誉を回復でき、王国の兵士の損害も最小限で済む。利害は一致しているかと。」

「ふむ...確かに。」


魔族らしい角を頭に生やした青年は、自らの案を淡々と国王に伝える。


「団長、確か『アズミ』だったかな?貴君の意見も聞きたいところだ。」

「団長は声を出すのが...」

「大丈夫だアトリア。...国王陛下、我等魔人族は常に差別されて来ました。我等と魔物は同じ物だと。我等もシュレアの国民であり、シュレアを愛している。捨て駒でも良いでしょう、シュレアの犠牲ならば悔いは無い。」


アトリアと呼ばれた青年の言葉を遮り、団長『アズミ』は静かに言葉を紡ぎ始める。


「我等は人と分かり合えると信じ、シュレアに移ってきた誇り高き者達の子孫です。我等の心に偽りが無い事を戦場で示してご覧に入れましょう。」

「ふむ...。貴君らの熱意、十分に伝わった。良い。此度の防衛戦、貴君らに先陣を任せる事にしよう。」

「有難う御座います。必ずや守護して見せましょう。」

「待ってくれ!その声...!」


静かに立ち去ろうとするアズミに思わず声を掛けてしまうが、その先の言葉が咄嗟に出てこない。


「副団長から君の話は聞いている。こんな時は何と言えば良いんだったか......そうだ。勝利の栄光を、君に。」


そう言ってアズミは玉座の間から副団長達と一緒に退出する。


「勇者殿には彼等の後方にて陣を構えて欲しい。勇者殿には期待しているよ。頑張ってくれ。」

「はい!...さあセイエイ君、行こう。」

「...そうですね。」


(あの声、聞き間違える筈が無いんだけど...。まるで知らない人に話すみたいだった...。)


その後、無事に顔を合わせる事が出来たルリィさん達と合流し、その日はもう休む事にした。


「どうした、浮かない顔をしているぞ?」

「あの人...声は同じでも、確信が得られませんでした。まるで他人に話し掛ける様な口調でした。」

「まだ奴がアスィ・アドラメリクという確証は無い。落胆するのはまだ早いだろう。」

「そうですね...。有難う御座います。」

「明日は早くに出るぞ。既に場所は確保してあるから、ゆっくり休め。」

「分かりました。...って結局ですか。」

「当然だ。」


結局、寝る時には抱き枕代わりにはされたのだが、その日の抱擁は少し優しかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「う...うわああああああああ!!!」


夜、『魔族解放戦線』の訓練施設で一人の人物は地面を力一杯、叫びながら殴っていた。激しい訓練に耐えうる様、頑丈に作られているはずの地面は深く穿たれていた。


「それくらいにしておけ。アトリアがまた騒ぐ。」

「でも!あの目を見た!?あんなに不安そうにしていたなんて!」

「お前の目的がすく近くに居るんだ。先ずはアスカントとの戦いをどんな形であれ、生き残って終わらせる事だ。」

「...そうね。すまない。安心してくれ、全て切り刻んでやる...!」

予告は無しだ(迫真)後編でやります。

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