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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
美華編 第1章 「生きて行けるなら」
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同盟

遅くなりました!今回で美華編終了です!今回も宜しくお願いします!

「挑む者は居ても帰ってくるのは少ないのさ。ここを踏破したのなんて歴代魔王や規格外の戦士ぐらいだよ。」

「そんな所なんすかココ!?」

「まあね。近いし、強くなれるし、一石二鳥かなって。」

「死んだら意味無いでしょォ!?何言ってんです!?」


セイエイと名乗った少年とハルバアス、そしてその娘であるアスィの後ろを美華はちょこちょこ歩いていた。


(セイエイかあ...可愛いなあ...。抱き締めたい〜!私の方がお姉さんだし、危なくなったら助けなきゃ...!)


渋々ダンジョンに入っていくセイエイ達を見ながら、美華は一人高揚していた。


「やった...!やったぞ!」

「凄いなセイエイ君。予想以上だ...」

「凄い!」

「ん?アスィ、何か言った?」

「?なにも言ってないけど。」

「おかしいな...空耳かな?」


セイエイが初めて魔物を倒した時は姿を隠している事を忘れ素直に褒めてしまった。


(つい声が...。危ない危ない。)


そしてセイエイ達が魔法を覚えある程度ダンジョンを進んだ時、ハルバアスは静かにこう告げる。


「セイエイ君、アスィ。君達にはこれから2人でダンジョンを踏破、もしくは行ける所まで進んで貰う。」

「「.........は?」」

(え...。)


美華はハルバアスの言っている事が少し分からなかった。だが、暫くすると意味が段々染みる様に理解出来る。


(そ、そんなの...!)


「このダンジョンで得られる色々な物を、得られるだけ得て僕の元に帰って来るんだ!勿論、逃げる事は許さないよ?英雄となる者には試練が必要だと思っているのでね。」

「お父様......」

「アスィ、セイエイ君と力を合わせて進め。必ずやこの試練は君達に力を授けるだろう。見守っているから大丈夫さ。では!」


そう言ってハルバアスは黒い霧と共に消えてしまう。


「...セイエイ、行きましょう。」

「行くしか、無いのか...!」


セイエイとアスィは意を決した様にダンジョンの奥に進んで行く。その覚悟を決めた背中を見ると、美華は引き止めることが出来なかった。


(大丈夫、お姉ちゃんが守るから...!)


この時、美華は自分の中に出来ていた感情の存在をまだ知らなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


色違いのケルベロスを倒したセイエイ達は休憩を取るらしく、先にアスィが眠りにつく。


「柄じゃないな。さて、寝るか。」


セイエイは先に寝たアスィを少し見た後、そう言って自らも寝転がる。暫くすると二人分の寝息が聞こえて来る。


(よ、良かった...。)


まさかセイエイがとハラハラしながら見守っていた美華は安堵の溜息を漏らす。


「もう少し見ていたいけど.....見られてる...。」

「手を貸すなら、駄目だよ。」

「そんな事しない。ただ、好きな子を見ているだけ。お姉さんのような立場として、守らないといけない。」

「よりにもよって"お姉さん"とはね。」

「うん。じゃあ、可愛い弟をまた見に来るよ、魔王様。」


唐突に現れたハルバアスの警告を軽く流した美華は自らも休息を取るため、適当な木の周りに鋼糸で網を張りそこに寝転がる。


(私が守らなきゃ...守らなきゃ...。)


寝転がった美華は仮眠を取るつもりが、知らずの内に深い眠りに落ちて行く。


「ごめんね。君は僕にとっての不安要素だから、少しの間眠っていてくれ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん.....あ!寝過ぎた...!?」


木の上で目覚めた美華はセイエイ達が先に進んだ事を確認すると、網を解除し全速力で後を追う。

森を駆け抜けて行くと、ダンジョンは遺跡の様なものに変わって行く。遺跡エリアを進んで行くと、何かの施設の奥で戦闘音がする。


(戦闘が...!早く行かないと...!)


戦闘音のする場所に向かうと、そこには金属塊や魔物の死骸、そしてフードの人物に掴まれるセイエイが居た。


「まさか...止めてぇ!」


透明化を解除しセイエイを掴むフードの人物に突撃するが、フードの人物は美華を認識せずに黒い霧と共に消える。


「嘘...なんで、こんな。」

「貴様は誰だ?いつからそこに?」

「ぐっ...待ってくれリリアナ。彼女はメイファ。セイエイ君を見守っていたアスカントの"聖女"だ。」

「そうか、私はリリアナ・グローリー。...アスィよ、立つのだ。セイエイは死んではいないだろう?ならセイエイを連れ戻す方法を探すしかあるまい。」


リリアナと名乗った銀髪の少女らしき人物はそう言って泣きながら地面を殴る青髪の少女に声を掛ける。


「私が...!私が悪いの...!セイエイは私を守って!うう...。」

「そう泣くな。さて、メイファと言ったな。理由は分からないが、我らは目的を同じとし力を出し合うべき同志。違うか?」

「...異論は無い。セイエイを取り戻す。」

「良い。では我らはセイエイ奪還を目的に同盟を組み、共に戦おう。」

「...アイツを殺すッ...!セイエイは私の手で奪い返す...!」

「さて何処に行ったかだが...我々にはまだ敵に立ち向かうだけの力が無い。シュレアで我らの軍を作るのだ。持てる力の全てを賭けるぞ。」

「アスィ...行くんだね?」


よろよろと立ち上がったハルバアスは俯きつつアスィに確認を取る。


「すまない。僕がもう少し上手くやれていれば...。」

「お父様大丈夫。私はきっとセイエイを連れ戻して来るから。...そうだ。お父様の鎧、少し借りるわ。」

「ああ。だがシュレアにはどうやって...リリアナ、君か。」

「無論だ。我の大翼があればシュレアへの路など散歩程度よ。」

「決まり。じゃあ行こうか。」

「うむ。」

「ええ。」


美華とアスィ、そしてリリアナは互いに向き合い決意を固める。


「行くわ。全てはセイエイ奪還の為に。」

「私のセイエイの為に。」

「友の為に行こう。」


互いの手を重ね合わせ、ここに三人の同盟が成立する。神の意思にそぐわない同盟は、果たして。

次回からはようやくセイエイ編です!そして次回予告的なのもやってみたいなーと思ったのでやります!

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