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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
美華編 第1章 「生きて行けるなら」
75/107

目標

早めに閉じるのもダメかと思ったり?今回も宜しくお願いします!

「頼む!話だけでも聞いてくれないか?」

「...嫌。」

「ええい貴様聖女様から離れないか!先ずは名を名乗れ名を!話はそれからだろう!」

「おお!そうであったな!」


青年の求婚を無視したメイファは昨日と同じく体を慣らすために森に来ていたのだが、どんなに断っても青年は離れず付いてきていた。


「私はヨハン!ヨハン・リュカオン・シャクショール!元!錬金術師の王だ!コイツは我が従者ティエレだ。」

「宜しくお願いします。」

「...?」

「嘘をつけ。シャクショールが滅んだのを何年前だと思ってる?流石に趣味の悪い冗談だな。それに、本物は魔大陸のダンジョンに居るって聞いたぞ?」

「馬鹿め!それはダミーだよ。試作型の人形だ。しっかりと部下に私の眠る棺を隠させておいたのだよ。」


錬金術師の王を名乗るヨハンは自信満々に自己紹介とタネ明かしをするが、アルビオは未だに疑っている様な表情だった。


「証拠は無いのか?そうでなければやはり信用出来ん。」

「そうか......ならば、これでどうだ?」


ヨハンは何も持っていない手に美しい花のブローチを作り出す。そのまま片膝を付いて美華に差し出す。


「改めて...我が伴侶となってくれないか?お前なら新たな光と成れる!」

「...そういうのは苦手だから辞退しておく。」

「一応偽物では無さそうだが...何故そんな事をしているんだ?」

「そう言えば訳を話していませんね。では王よ、お願いします。」

「ああ。実は、シャクショールは内部の者の裏切りで滅んだ。私は魔力による冷凍睡眠で眠っていたのだが、それを聞いて落胆した。そしてこの世界の現状を知って更に落胆したよ。そこで私が大陸全土の錬金術師や同志と共に再びシャクショールを蘇らせ、この世界に安寧をもたらそうと決心したのだ!だが、王が居て王妃が居ないではダメだ。そういう訳で王妃を求めての旅をしていた訳だな。」

「変な所にこだわるのね。」

「だが大事だ。」


ヨハンの熱い喋りに耳を傾けつつゲイルウルフを狩って行く。


「そう言えばお前の名前を聞いていない。」

「私はメイファ。付いてくるのは良いけど、執拗い男は嫌い。」

「花の様な美しい名前だ。お前らしいとも言える。」

「王よ、私達もそろそろ戦いましょう。」

「そうだな!メイファよ、私の勇姿をしかと目に焼き付けよ!」

「...ゲイルウルフだけどね。」

「行くぞッ!"ルテチオンアーム"!」


ヨハンがゲイルウルフに向けて拳を振ると、虚空から突然巨大な機械の腕が出現し、ゲイルウルフ達を纏めて吹き飛ばす。


「フハハハハ!やはりこれぐらいでは相手にならんな!」

「では私も。」


ティエレは背中に収めていた二つの黒剣を繋げ、並刃の両刃剣にする。そのまま残っていたゲイルウルフに急速接近し、凄まじい回転で瞬く間にバラバラの肉片にしてしまう。


「こんな物ですね。」

「どうだメイファよ!これなら私も選択肢には入ろう!」

「...今度ね。アルビオ、帰ろ。」

「は、はい!」

「駄目なのか!?」


メイファはアルビオを連れて足早に家に帰る。帰る間にもヨハンは執拗く迫って来たが、その度に追い返していた。


「で、何でまだ居るの?」

「遅いなメイファよ。先に夕食を取らせてもらっているぞ。」

「碌でもない主ですいません。」

「お前も食べてるだろ!」

「メイファ様すいません...止められませんでした...。」


美華が風呂に入って夕食を取ろうとテーブルに向かうと、テーブルではヨハンとティエレ、そしてアルビオが一足先に夕食を取っていた。美華はもう何も言わずにアルビオの隣に座って夕食を取り始める。


「魔大陸ってどんな所?」

「今の名前の割に良い所だ。今は魔王とやらがいるのか、私も是非会ってみたいものだ。」

「...会ってみたいなあ。うん、行こう。」

「メイファ様!?魔大陸に行くには船が、それも大型の物が要ります。しかもそれを作るのには、教皇の権限だけでは動かせない程の金がかかります。」

「何気キュレアデアに何かやらせる気だよね...。」

「私も金は作れるが魔力の消費が膨大過ぎるな。稼ぐしか無い。」

「...うん。稼ごう。魔王様に会うのを目標にする。」

「メイファ様、もう死んでもいいなんて言わないで下さい。」

「...大丈夫、目標が出来たから頑張るよ。私は先に寝るね。おやすみ。」

「ええ。おやすみなさい。」


美華は階段を上がり、割り当てたれた部屋のベッドに寝転がる。


(魔王...興味あるなあ。違う世界なら何か楽しまないと損、かな。)


新しく出来た目標にワクワクしながら毛布にくるまっていると、階下から言い争う声が聞こえる。ヨハンとアルビオだ。


『メイファ様の部屋には行かせんぞ!!何をするか分からん!』

『ええいどくんだ!!彼女が私を待っているかもしれんのだ!』

『な訳あるか!!』


(こういうのは初めてだから慣れないな...。男とこんな形で話すのなんて...。)


そんな事を考えている内に意識は闇に沈んで行く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「銅ランク...あっという間。」

「流石ですメイファ様!」

「私もだ!褒めろ!」

「バカが分かるのでそういうのは控えて下さい王よ。」

「それでは私がバカみたいではないか!ティエレも洒落が上手くなったな!ハハハハッ!」


目標を定めて一週間、即ち七日程が過ぎ美華、ヨハンは銅ランクに上がっていた。銅ランクに至るまでの実績も驚異的な物なので、直ぐに銀に上がるとの事だ。


『あの人綺麗だな...でも姉貴と比べると...うーん。』

『姉貴には姉貴の良さってのがあるだろ!俺は断然姉貴だけどな!』


「最近聞く『姉貴』って誰なのかな?殆どの冒険者が入ってる旅団(ブリゲイド)か...。」

「なにやら帝国軍に居る女性将校を崇める|旅団らしいのです。最近はアスカントの冒険者にも広まりつつありますね。」

「ふぅん...。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、聖女様をどう手元に置きましょうか...。やはり打てる手は限られて来るのでしょうか...。」

『き、教皇様!!』

「騒がしいですね。お入りなさい。」

「入るぞ。」

「私が教皇キュレアデアですが、何用でしょうか?」


教皇の部屋に来た突然の訪問者が訪れる。人数は五人で先頭に立っていた肌の黒い男が話を始める。


「俺は帝国軍のトレイズ。最近何か変わった奴が来てないか?服装が特徴的だったり...」

「さあ?そんな者がいるとは私の耳には届いておりませんが?」

「この世界の事を何も知らなかったり、な。」

「...!」

「暫く調べたら帰るさ。じゃあな。」


肌の黒い男はそう言って他の訪問者を連れて出て行ってしまう。再び部屋で一人になった教皇は椅子に深く座り焦る様な口調で一人呟く。


「聖女様が危ない...!」

明日は早めに上げたいです(フラグ)

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