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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第1章「魔王国にて」
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保護者の視線と光熱拳《シャイニングバンカー》

引き続き戦闘回です!

宜しくお願いします(ㅅ´ ˘ `)

ダンジョン内を歩く俺とアスィの足取りは重かった。それもそうだ、人生初めてのダンジョン(しかも高難易度)で頼みの保護者にほぼ死んで来い宣言をされれば、誰だってこうもなる。


「お父様...何であんなこと...試練なんて私には...」


落ち込むアスィを励ましてやりたい。そんな漠然としたやる気に突き動かされ、口が動く。


「大丈夫だよアスィ。お父さん、いや、魔王様を信じよう。あそこまで強いんだから絶対に何か考えてるさ。俺は、やるよ。魔王様の期待に応えてみせるさ。」


半ば空元気だった。それでも、アスィを励ましてやりたいという気持ちだけで不思議と力は湧くものだ。

さあ、これでもう逃げられなくなったな。


「セイエイは何でそんなに信じられるの?死んじゃうかもしれないんだよ!怖くないの!?」

「怖いさ。俺、多分アスィより怖がってる。でも思い出したんだ。俺は、俺が持つ理想の為ならどんな試練だって越えてみせるって。まあ逃げたら逃げたで、魔王様に降参したって言ってるみたいで嫌だしな!それに...」

「それに?」

「誠心誠意努める。って、言っちゃったしな?」


それを聞いたアスィは1秒程口を開いて固まった後、酷く驚いた様子で聞き返してくる。


「えええ!?あの時のアレで!?あんなのっ、確かに言ったけど!冗談みたいなものじゃない!」

「俺にとってはあながち冗談でも無かったんだよ。俺はもう、自分の決めた事を疑ったりしたく無いんだ。」

「そう、なんだ...セイエイは強いんだね。」

「え?」

「だって、自分の考えている事を疑えない人の方が少ないもの。だから、セイエイは強いんだよ。」

「そう、かな。」

「ええ。絶対に。...よーし!こうなったらやれる所までやってやるわ!お父様に目にモノ見せてやるんだから!行くわよ!」

「ああ!行こう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


キラーアントを退けつつこまめに休憩を取り、魔王様から渡された本にある知識を短時間で頭に叩き込んでいく。この1時間少しで大体の魔言とモンスターの特徴は覚えたが、このダンジョンやっぱりヤバイ所だわ...


「セイエイは勉強が出来るのね。」

「まあね。元の世界ではそれを主にやってたからさ。」

「凄いなー。今度私も... ッ!セイエイ、敵よ。キラーアントじゃない!」

「来たか!」


広い道の奥から出て来たのは、キラーアントより大きく、頭を3つ持つ邪悪な狼のような魔物だった。


「ケルベロスハウンド...しかも、あれは上位種か...!」

「ッ!セイエイ、来るわ!避けて!」


ケルベロスハウンドは真ん中の口から小手調べとばかりに炎を吐いてきた。

間一髪、俺とアスィは避けるがアレをまとまに受ければひとたまりも無い事は明らかだった。

ならばここは1つ無茶をする!


「ありがとうアスィ。...俺に少し案がある。まあ、やってみたい事なんだけどね。俺は魔法を展開しながら突撃する。その隙に左右の首を落としてくれ。出来るね?」

「でも!...上手く行くんでしょうね?それ。あんなのにやられるなんて面白くないもの!」

「大丈夫さ。行くよ!"エンチャント"!!」


唱えたのは自身の武器や防具に属性を付与する魔法"エンチャント"の魔言。

しかし、これを使ったくらいで火を使うケルベロスハウンドに勝ち目は無い。だが俺のガントレットに埋め込まれた赤のラルド石は、その効果を大幅に上昇させる。

みるみる内に右手のガントレットは赤熱化し、尋常では無い熱を放つ。


「シャイニング、バンカー!!」


叫びながら真っ直ぐに突撃して来る俺に驚きつつも、ケルベロスハウンドは真ん中の頭からの炎で迎撃する。 予想通りだ。俺の突き出す右手のガントレットは赤熱化したままケルベロスハウンドの炎を吸収して行き、さらに自身に宿る熱を増していく。

真ん中の頭は自慢の炎を突破されたのは初めてだったのか、酷く驚いていたようにも見えたがもう遅い。

俺は真ん中の頭を鷲掴みし、右手に魔力を集め、あらん限りの力を込めながらまたも魔言を唱える。


『グガアッ!』


左右の首は思い出したように、俺に噛み付くべく叫ぶが


「やらせない!」


俺の後ろから飛び出してきたアスィの大剣の一撃をまともに受け、あっさりと左右の首は落ちてしまう。


「アスィ、下がって!ヒートエンドだ!"ファイアボール"!!」


先程の炎の魔力により強化されたファイアボールにより凄まじい爆発が生まれ、真ん中の頭は跡形も無く消し飛ぶ。

頭を失ったケルベロスハウンドの体は力なく崩れる。


「やれた...死ぬかと、思った...」

「本当よ...失敗してたら終わりよ。終わり。」

「ははは...全くだ。ガントレットのお陰ってのが大きいけどね。」


思いの外短期決戦で終われたが、失敗してたら一方的にやられていた。


「さ、行こうか。魔王様からのよしが出るまで進むしかないみたいだ。」

「帰ったら1発殴ってやるんだから...」


魔王交代か?


しばらく歩くと、下に降りる階段の様な物がある。それを恐る恐る警戒しながら降りると、そこは木が群生しておりなかなかの規模の森になっていた。


「こりゃ凄いな。」

「ダンジョンの中に木が生えるのね。ここは魔力が溢れているからかしら。」

「森の入口は魔物が出ないらしいから、ここで休息を取ろうか。」

「そうね。疲れたし少し寝たい...おやすみ...」

「ああ、おやすみ。俺も少ししたら寝るかな...」


それにしても、なんとも不思議な光景だ。洞窟の中に森があって、しかもその森は光る蝶の軍勢を太陽としている。適度な風もあり、読書をするには最高の環境であろう。


「ふふっ。こんな事あっちじゃ絶対無かったよなあ...」


洞窟の中の森、そして自分の隣りには地球ではおよそ見た事が無いぐらいの美少女が無防備に寝ているのだ。しかも周りには自分達以外いない...


「柄じゃないな。さて、寝るか。」


独り言を漏らしつつアスィの隣で背中を合わせるように横になる。戦闘の疲れからか直ぐに眠気が押し寄せ、意識が闇に沈む。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「..........」


迷宮の森で眠る2人の男女を見守るように見る透明な目が1つ。


「もう少し見ていたいけど.....見られてる..,」


突如、空中に生まれた黒い霧からハルバアスが出て来る。静かに何も無い空間に視線を向けながら喋りかける。


「手を貸すなら、駄目だよ。」

「そんな事しない。ただ、好きな子を見ているだけ。お姉さんのような立場として、守らないといけない。」

「よりにもよって"お姉さん"とはね。」

「うん。じゃあ、可愛い弟をまた見に来るよ、魔王様。」


透明な視線は忽然と消える。


「全く、心配だよ。」


ハルバアスが黒い霧に包まれる。それが消えるとそこには、清英とアスィ以外、誰もいなくなっていた。

"勇者"登場です!? しばらく戦闘回が続くかもです!

余談ですが筆者はガンダムEXAが好きな奴です。


2016-12-20 当初の設定とズレた箇所を修正しました。いやはや、適当にやっちゃってたかな...。

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