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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
トレイズ編 第1章 「戦場は無くならない」
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合同演習 前編

遅くなりました!今回も宜しくお願いします!

「ハハハッ、シュトルヴちゃん手加減してくれよ〜?」

「それは無理な相談ね。貴方、結構強いもの。」

「第二大隊の隊長ともあろう者が何を言っているんだか...。そんなだから階級を下げられたりする。」

「こりゃ手厳しい。んじゃ、俺は持ち場に戻りますわ。今年は面白そうだから少し本気出しちゃうかも。そんじゃね〜。」


合同演習当日、広大な演習場でコレン、シミュル、シュトルヴが雑談をしていた。シミュルはひとしきり話した後、自分の使う巨槍を担ぎ持ち場に戻る。

一方、トレイズ達の所属する第二、三、四大隊の集合場所では事前の打ち合わせが行われていた。


「そう言えばルールをイマイチ理解出来なかったんだが、これリーダー同士の殴り合いだよなつまり。」

「まあ簡潔に言えばな。部下の兵士はより効率的に敵のリーダーの邪魔をし、自分の上官を助けるのを目的にする。」

「ロンス、お前は大丈夫なのか?」

「ある程度戦えはするが、まあキュレルと一緒に戦わないと死んでしまうがな。」

「そんなんでいいのかお前...。」


ロンスは珍しく戦闘用の鎧に着替えており、その姿を見ると帝国軍の将校として恥じない格好だった。


「トレイズ、今回はオレも戦えるのだろう?」

「ああ。第七の主力としてな。」

「竜化は?」

「念の為封印が安定だな。何度も言うが、一応伝説の魔竜なんだ。下手にお披露目は出来ん。」

「むう...了解した。」


セルカはいつも通りの黒い服に身を包んでいた。スカートは何故か短く、大きい黒い上着を羽織っていた。


「トレイズ様の隣で戦えないのが残念ですが...私はトレイズ様を応援しています!頑張って欲しいのですがこの前の様な怪我はなさらないでください!」

「大丈夫だ。オレは悪運が強いからな。」

「ボクも久々に戦えるから楽しみだなー。キュレルちゃん今日はよろしくね。」

「いいえこちらこそ!!演習とは言えまさか『黒蝶』と肩を並べられる日が来ようとは!」


ルイスもセーラー服を着て刀を腰に下げ準備万端と言った様子だった。キュレルは憧れの存在を前にして高揚しながら緊張していた。指揮官用のテントで各々準備をしていると、シミュルが歩いて来る。


「そろそろやるって言うから、部下を持ち場に付かせるぞー。 ヒヒッ、ルイスちゃんも居るんだから今回は勝ちが欲しいねえ。そいじゃ、第二大隊はこっちこーい。」

「了解しました!第三大隊!私に続け!」

「第四大隊は俺について来い。くれぐれも俺を追い越すなよ。」


シミュル達は自分達の部下を率いて続々と持ち場に付いて行く。兵士の大移動は凄まじく、実際の戦争に近い迫力も漂っていた。


「第七混成部隊!行くぞ!!」

「「「うおおお!!」」」


トレイズも隊員を連れロンスの率いる第四大隊の隣に行く。既に対戦相手である第一、第五、第六大隊も整列を終えており、凄まじい規模の兵士が並んでいるのが見える。


「こりゃ凄い。」

「この規模の演習はそう何度も出来ん。皆発散する機会が無いからな。自然と気合いも入る。」

「ガス抜き、か...。」

「もうすぐ始まるぞ。準備しろ。部隊の勝敗は俺達隊長にかかってるんだ。」




「コレン中将ー、開始の大砲やっても良いですかね?」

「待つんだハティス。......よし、いいぞ。」

「んじゃ、あらよっと。」


ハティスは自分の隣に置いてあった大砲の導火線に火を付け、空砲を放つ。


「さあ行きましょうか。今年は油断出来ないわ。」

「俺は油断してもなんすけどねー。」

「シュトルヴ、ハティス!もたもたするな!行くぞ!」

「ガッハハハ!!そうだぞ貴様ら!よぉし第七の隊長の強さを確かめる良い機会だ!突撃い!!」


空砲がなって数秒後にコレン、シュトルヴ、ハティス、ガイドが一斉に走って移動する。ハティス以外の各隊の副隊長も同じタイミングで走り出したのだが、隊長らに付いて行けていたのはハティスのみだった。




「鳴ったな。よし、トレイズ俺を守ってくれ。」

「面倒だ。」

「オレは先に行くぞ!」

「んじゃボクも!」

「ルイス様、お供します!」


セルカとルイスが先行し、その後にキュレルが続く。トレイズは仕方無くロンスより前に行き、実質の護衛を務める。


「ルイス、貴女の相手は私よ。」

「結構速いなあ。お姉さんやるね。」

「貴女こそ強くなったわ。」

「?よく分かんないけど、取り敢えず邪魔っ!」


砂埃を上げて突撃して来たシュトルヴの飛び蹴りをルイスは刀の鞘で受け止め、そのままそこから黒い魔力の弾を放つ。シュトルヴは素早くそれを避け、空中で一回転して後方に着地する。


「シュトルヴ中将、俺はいいんすけどあんなに砂埃上げたから、コレン中将怒ってましたよ。何とかして下さい。」

「それは悪い事をしたわね。でも気にしちゃ駄目。今は目の前の戦いに集中しなくちゃ。」

「へいへーい。そんじゃ、俺はそちらの綺麗なお姉さんの相手でもしますかね。さあ来いです。」


遅れて来ながらもコレンとガイドを大きく離して到着したハティスは、シュトルヴに愚痴をこぼしながらセルカの方を向き拳を構える。


「貴様がオレの相手か。良いだろう!」

「あ、もしかしてアンタがセルカの姉貴ですか?なら嬉しいなー。いやー本当に美人だわ。」

「それは止めてくれ...それに、そう言う貴様も中々面白い術を掛けられているな?」

「あれ?これは姉貴にゃお見通しって事ですかね?今までバレた事無かったのになあ。ほいっ。」


ハティスはやる気の感じられない動作で後頭部を掻き、唐突に高速の拳を放ってくる。


「遅い。次はこちらの番だ。ハッ!」

「あだっ。痛ってえ...。こりゃ今までとは段違いの攻撃だなあ。なら頑張りますかねー。"ヒールバインド"。」

「むっ!?中々やる...!」

「はあ。そんなあっさり避けられたらやる気ってもんも無いんすけど。」


セルカの拳を食らったハティスはわざとらしく痛がりながらも拳を構え魔言を唱える。一瞬セルカは一瞬硬直するが、直ぐに解除し少し後退する。


「肩凝りが治っているだと...!?貴様、何をした?」

「対象の体の自由を奪いつつ治癒を施すっていう技ですね。中には言っても聞かない人が居るんで、こういう技も必要なんすよ。」

「こんな時に言う事かは分からんが、最近肩の凝りに悩んでいたのでな。礼を言う。」

「いえいえ。姉貴なら何時でもタダでやりますんで。治癒には自信ありますよ。伊達にあの鬼に鍛えられて無いんで。」

「今度頼もうか...。まあ何にせよ再開といこうか!行くぞ!」

「あいさー。」




「トレイズ少佐ァー!貴様の腕、とくと見せてもらうぞおお!」

「うっわ。面倒が走って来たぞ。」

「ガイドか。苦手なタイプだ。俺は下がっておこう。」

「あ、待てコラ。」

「どおっせい!!」

「うおおっぶねぇ!」


ガイドが地響きにも似た音を立てながら突撃する姿を見たロンスはそそくさと後方に下がって行ってしまう。それを引き止めようとしたトレイズのすぐ後ろに、ガイドが思い切り振った戦鎚がめり込む。


「ほおう、今のを避けると来たか!」

「面倒だな。実験体にでもなってもらうしかねえか!"リロード"!」


トレイズは頭の中でイメージを作って行きライフル弾の威力の散弾を作成し、装填まで完了させガイドに銃剣を向ける。


「撃てたら御の字ってな!喰らえやァ!」

「ぬおおっ!?」


銃剣から弾丸の嵐が吹き荒ぶ。散弾を恐ろしい速度で連射している為、ガイドの体に凄まじい数の弾丸が当たる。


「なかなかぶっぱなしたんだが、流石に威力を高められんか...!」

「ふうおお...今度の第七は一味も二味も違うッ!滾るぞおおお!」

「俺はてめぇなんざ相手にしたくねえよ!!」

「トレイズ、戻って来たぞ。」

「うおっ!?なんだお前か。闘えるな?行くぞ!」

「ああ。出来るだけの事はするとしよう。」

「ロンス、お前とやるのも初めてだ!今回は楽しめそうだぁッ!」






「やはりお前の相手は私にしか務まらんな、シミュル。」

「ヒヒヒ、単に溢れちゃっただけさあね。俺じゃお前に勝てないしなあ。」


シミュルの前には腰の長剣を抜いたコレンが立っている。シミュルも巨槍の柄を地面に立て、飄々としながらも目は真剣そのものだった。


「本気も出していないのにか?」

「出せんのさ。」

「道化め。」

「シミュル少将、お供します。」


シミュルが自嘲気味に笑いながらゆっくりと槍を引き抜き、力を抜きながら構えているとキュレルが緊張した面持ちで援護に駆け付ける。


「そりゃ褒め言葉だあなあ。んじゃ、キュレルちゃん一緒に凌ごうか。あ、俺後衛ね。」

「そこは倒すと言って下さい!士気的に!それに魔道士前に出す前衛が居ますか!?」



また遅れたら申し訳ない...( ˇωˇ )

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