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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
トレイズ編 第1章 「戦場は無くならない」
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この武器凄いよォ!流石弓矢のお兄さん!

大変遅くなりましたすいません...。

タイトルはまあ、ね?

トレイズが第七混成部隊の隊長となり一週間が経った。隊員達はセルカの訓練(と称した乱闘)と、トレイズの少年兵を育てる訓練により確実に練度を上げていた。


昼の休憩時間にモンシアは、友人である牛男(ウェアブル)のコネ准尉と訓練場のベンチに座っていた。モンシアは空を眺めながら独り言の様に呟く。


「少佐が隊長になって一週間か...。荒っぽいけど今迄で一番良い気がするわ...。」

「確かにな...それにイシュの姐さんも可愛いし姉貴は美しいし...!姐さん達眺めに来てる様な感じあるな...。」

「それはあるな...。」

「誰が荒っぽいって?」

「そりゃあトレイズの旦那で...って...振り返れねえ...。」

「隊長...何時からそこに?」

「お前らが寛ぎ始めた所からだ。」

「はええ...全然気付けなかった...。」


話を聞いていたらしいトレイズはどうやったのか、いつの間にかモンシアの座るベンチの直ぐ後ろに立っていた。


「まあいいんだがな。ところで、会議で小耳に挟んだんだが、来月ある"帝国大隊 軍事合同演習"ってのは何なんだ?眠すぎて聞いてなかったんでな。」

「合同演習か...もうそんな季節か...。」

「あー旦那、合同演習ってのは帝国の大隊がチーム組んで戦闘訓練やるイベントっすよ。」

「ドンパチやんのか?」

「簡潔に言えばそうです。ウチらは大体見下されて来たんで、まあどうでもいいんですけどね。」

「ほおう...?モンシア、全員を集めて整列させろ。少し話がある。」

「え?あ、了解です。」


モンシアは素早く走って行き、少しすると他の隊員とイシュとセルカ、そして眠そうにするルイスも連れて来る。隊員達は素早く整列し、イシュ達はトレイズの横に移動する。


「トレイズ、なに話って?」

「トレイズ様、何かありましたか?」

「お前ら、来月に合同演習があるのは分かるな?今年はこれに全力で力を注ぐつもりだ。毎年毎年楽しくねえイベントだとは思うが、今年こそは連中に吠え面かかせてみせようじゃねえか。」

「おおお!今年はやるぞ!」

「今回はいける気がする...!」


トレイズの演説で隊員達は途端にやる気を見せるが、モンシアだけは腕を組み何かを考えていた。


「隊長、二つ程いいですか?」

「何だモンシア。言ってみろ。」

「俺達には接近線の訓練がもう少し必要だと思うんです。そこで、姉貴との一体一で鍛錬をしたいです。」

「ほう、良いぞ。」

「ありがとうございます。後一つは合同演習なんですが、ウチらが本気出すとかなり変わってきます。それに、問題は何処の隊が敵に回ってもヤバイんすけど、一番は衛生兵大隊です。アレが敵になったらほぼ終了ですわ...。」


モンシアが青い顔で呟くと、他の隊員も何かを思い出したのか少し青褪める。


「何で衛生兵が脅威なんだ?」

「あっちの隊長のシュトルヴ中将は掛け値無しのバケモノです...。元超一流の冒険者で五騎士に入った後に惜しみもせずに軍の衛生兵大隊に入ったんです。その後の軍に入ってからの戦い方から『戦場の熾天使』なんて異名が付いたぐらい凄まじい戦い方です。それに部下も全員が不死身かってぐらいの勢いで突撃して来たりで、もうわけが分かりません。」

「ただの看護師でも無いってか。面白い...。セルカ、早速訓練だ!お前ら何時もの指名して一対一だ!全員やったら今日は終わりで良い!」

「「「う、うおおお!」」」


イシュとセルカ、そしてルイスが隊員と共に一対一をやっていると、訓練場に白衣の男がフラフラとした足取りで近付いて来る。目にはクマがあり、見るからに体調が悪かった。


「ううっ...おおい!ここにトレイズ少佐はいるか!?」

「ん...?何だお前...って、第四機械化大隊の、ロ、えー...ロンス!だったよな?」

「俺は良いがコレンは敬語を使わないと怒るぞ。さてお前の持つその武器なんだが、闘技大会での話を聞くと興味が湧いてきてな。少し見せては貰えないかと交渉しに来た次第だ。勿論、俺も何かしらの事をしてやるつもりだ。」

「いいんだが、俺は結構人使いが荒いぞ?」

「フッ...徹夜には慣れてるんだよ。よし交渉成立だ。俺の研究室に来い。」


トレイズはロンスに連れられそのまま立ち去ってしまう。そんなトレイズを見ていた隊長達は無意識に止まっていた呼吸を再開する。


「ッ...ハァッ...!何でロンス少将がこんな所に居るんだよ...!?」

「あー心臓に悪いわこれ...ダメかも...。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「大した研究室だ...流石は帝国軍少将ってか?」

「俺は興味のある物を研究していただけに過ぎん。そして真理にたどり着く為に自らを実験体として使って行った結果、こうして予算が降りる様にまでなった訳だ。」

「要するにただのアホって事か。」

「薄幸と言ってくれ。」

「言わんだろ。」

「ん?」

「ん?じゃねえよ。ボケてんのか?」

「少し頭がボーッとしただけだ...。やはり一日寝ただけではダメか...。」


トレイズは第四機械化大隊の区画にある地下のロンス専用研究室に居た。研究室はとても広く見たことの無い道具がバラバラに置かれていたりした。


「ここは私の部屋も兼ねている。研究室で寝泊まり出来るのはかなり便利だ。この前は声を掛けられるまで机に向かって研究をしていた。確か一週間だった気がする。流石に死にかけた。」

「本当に何でお前少将にまで上がれたんだ...?」

「魔力灯の復活や魔物の錬成召喚、まあ色々作ってたら上がっていただけだ。」

「そいつは凄いんだが、ほらよ。大切に扱ってくれや。弾は抜いてるから何処を触ってもいい。」


そう言ってトレイズはロンスに銃剣を手渡す。ロンスは銃剣を隅々まで観察し、何回も首を捻る動作をする。


神鋼(オリハルコン)なんて久しぶりに見たぞ。しかもこんなにも大量かつ最良な物は。刃まで...。トレイズ、これはどうやって使う?どういう時に使うんだ?」

「遠距離にいる目標を撃つ為だ。」

「これでか?やはり実際に見ないと分からんな。試しにやってみてくれないか?」

「いいぞ。貸せ。"リロード"。」


トレイズはロンスから銃剣を受け取ると、魔言を唱え弾丸を補充する。


「今のは魔言か?」

「ああ。俺にしか使えんがな。今ので打ち出す弾丸を入れた訳だ。」

「仕組みだけ教えてくれ。それを知った上で見たい。」

「了解だ。この武器の名前は『銃剣』だ。...これが弾。」


トレイズは手っ取り早くライフル弾を作成し、手の平に乗せてロンスに見せる。


「これが敵に飛んで行くのか...。どう飛ばす?やはり風関連の魔法か?魔法陣が刻印されているのか?となるとテオドール家の技術か...?」

「違う。この『引き金』ってのを引いて銃剣の中にある『ハンマー』ってので弾の尻を叩くと、中にある火薬が爆発して先に付いている部分を飛ばす訳だ。」

「成程火薬か。となるとその武器はそれを魔法無しで工夫だけでやって退けるのか!?魔力を使わない遠距離攻撃なんて汎用性があり過ぎる...!ダガー投げが!槍投げが死ぬのか!ハハハハ!それは気味が良い!つまりは弓矢の完全上位互換な訳だ!さあ見せてくれ!どんな風になるんだ!?」

「怖いよお前。急に変わりすぎだろ。待ってろ、的はどこだ?」

「ああ!あるとも!この瓶を撃ってくれ!掃除は俺がやるから心配するな!さあ存分に撃て!」

「了解だ。」


トレイズは片手で銃剣を構え少し離れた位置に置かれた小瓶に狙いを付ける。


「FIRE。」


爆発音と共に銃口から凄まじい勢いで弾丸が放たれる。弾丸は真っ直ぐ小瓶に飛んで行き、小瓶を綺麗に砕く。


「うおお!凄い!これが魔力消費無しだと!?凄すぎる!教えてくれ!一体これを誰が作ったんだ!?もしやトレイズ、君か!?」

「あーうるせえうるせえ。俺も誰が作ったのかは知らん。気付いたらこれを持ってたんだよ。」

「誰が作ったのか分からんのか...。知りたい。これを作った者を知りたい!世界の知識や魔法を全て把握していたつもりだったが驕りだったのか...。ああ知りたい!」

「ど、どうしたんですかロンス?」


興奮し独り言を叫びながら狂喜するロンスをトレイズが冷ややかな目で見ていると、執務室からこの研究室に来る為の階段から猫人(ウェアキャット)の女性が降りてくる。


「ん?あーアンタは...。」

「トレイズ少佐まで!あ、キュレルです。キュレル・リッジ大佐です!第三魔術師団団長の!」

「ああ思い出した。それで、何だってここに?」

「私はロンス少将の婚約者ですので...。もうロンス!しっかりして下さい!」

「ハッ...キュレルか?聞いてくれ!トレイズの武器は凄いんだ!」

「分かりました分かりました。今夜一緒に寝てくれるなら聞きますとも。」

「それは難しい。アレの仕組みを私なりに考えたいのだ。」

「バカ!またそれで体を壊すんですか!?ていうか私の作ったお弁当食べてないし!」

「そ、それは本当に済まないと思っている...。縮小版魔法陣の改良が出来てしまってそれの応用を...。」

「はああ...頼みますよ...。少将なんですから責任感をもう少し持たないと。」

「忠告痛み入る。」


ロンスは自分より階級の低いはずのキュレルに説教をされる。ロンス自身悪いという自覚はある様で、バツが悪そうな顔で腕を組んで唸っていた。


「そうだ。ロンス、頼みなんだが...。」

「おお何だ?なんでも言え!これから末永い付き合いになるんだ。俺に出来ることならなんでもしよう。職権濫用でも何でもするぞ!」

「職権濫用だけはやめてくださいね...。」

「俺とお前で『銃』を作らないか?ありとあらゆる技術と俺の知識でな。どうだ?」


ロンスはトレイズの提案聞いた瞬間、一瞬固まったかと思うとトレイズの手を握り目を輝かせてしきりに頷く。


「ああやろう!俺達で時代を変えるんだな!」

「時代は変えちゃいかんが、交渉成立だ。」

「「ハハハハ!!」」


肩を組み合い高笑いをするトレイズとロンスをキュレルは驚きと呆れに支配されてしまう。


「子供、ですね......。」

明日更新できるか分かりません...。努力はしますがまとまるか不安です...。

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