闘技大会 二回戦!
二回戦(一回戦含む)ですね!5000pv越えてました!ありがとうございます!
「次はいよいよトレイズ様ですよカレンさん!」
「そうだな。彼には我が帝国の未来を担って貰わねばならんからな。期待している。」
「そうでした、カレンさん今お仕事モードですね?」
「そうだ。」
「さあ一回戦第四試合は二人目の無名の冒険者、『トレイズ』選手!対するは百発百中の狩人!『キエリィ』選手!『千里眼』の異名を持つキエリィ選手を相手にトレイズ選手はどう距離を詰めていくのかー!?それでは試合開始!!」
「キエリィだ。よろしく頼む。」
「トレイズだ。まあよろしく。」
「さて、やろうか。」
「ああ。」
「フッ!!」
「喰らいやがれッ!」
「ヌッ!?うおお!」
キエリィは素早く後退しながら腕を素早く動かし瞬時に数本の矢を飛ばして来る。それぞれ違うタイミングで、かつ正確にこちらを狙って来る矢をトレイズは弾道を見切り避ける。同時にキエリィに向けて戦車砲を三発程撃ち込む。キエリィは爆風に吹き飛ばされるが、すぐさま受身を取る。
「奇抜な技を使う...!しかも正確に狙ってきたか...!」
「次は避けらんねえぞ?蜂の巣になりなァ!!」
「何だ!?"硬化"!」
トレイズの銃剣から凄まじい数の弾丸が乱れ飛び、キエリィに迫る。キエリィは背中のマントを広げ魔言を唱えると、マントは瞬時に鋼鉄となり飛来する弾丸からキエリィを守る。が、鋼鉄のマントはそれきりでボロボロと崩れ落ちていき、灰となってしまった。
「これを使わされるとは...!何という武器!」
「...殺しは駄目だな。行くぞッ!"リロード"!」
「な、なんと!?」
「ぶん殴るんだよ!」
トレイズは弾丸をばら撒き牽制しながらキエリィに近付いて行く。キエリィも一方的にやられるだけでは無く、時折正確な矢を放って来る。明らかに銃口を狙った一本をトレイズは反射的に掴みこれを阻止する。
「これを見切るとは...俺も鍛錬が足りないか...。降参だ...。」
矢を掴まれた時点でキエリィは力無く弓を落とし、片膝を着く。
「ん?そうか。おーい!」
降参の意を汲み取ったトレイズは遠くに居た司会の男に大声で呼び掛ける。
「え?は、はい!」
「降参するそうだ。」
「キエリィ選手の降参ですか?了解しました!一回戦第四試合は『トレイズ』選手の勝利ー!!弓矢対不思議な魔道具の対決を制したのは『トレイズ』選手でした!下克上が炸裂する今大会、楽しみになって来ました!!」
「ま、こんなモンか。さて次はクリスってのと当たるらしいが...果たしてどうなるか。」
選手控え室に戻ると、セルカが茶髪の美少年に何やら言い寄られていた。
「姉様!さあ僕に魔術を、戦い方を教えて下さい!」
「せめて大会が終わってからだろう...?というか何でお前はそんなに元気なんだ...?」
「あんな言葉を掛けれれば男なら寝て等居られないでしょう?」
「そ、そうなのか?」
「何やってんだお前ら。お前は、さっきのか?」
セルカに一生懸命言い寄っていたのは、先程のセルカの対戦相手であるロッシェだった。
「ロッシェ・ランドールと申します!地方貴族出身でして、ランドールの名を上げる為に帝都に冒険者として来ていたのですが、まさかセルカ姉様の様な方と出会えるとは!」
「俺はトレイズ。よろしく頼む。ところで早速聞きたい事がある。」
「はい。何でしょうか?」
「お前のあの剣はどうなってるんだ?」
「アレはランドール家特製の魔剣です。魔鋼製の剣に魔法陣を書き込み、更に魔力を貯める性質のある水晶を組み合わせる事で、好きな時に魔力を貯めて必要な時に直ぐ魔法を出せる物なんです!どうです!凄いでしょう?しかも一度に複数の魔法を撃つ事も出来ますし、事前に貯めておけば戦う時の魔力消費はありません!」
ロッシェは自分の家の発明品を熱く語る。業績を上げている辺り魔剣の強さが分かる。そんなロッシェの熱い話がうるさかったのか、座るセルカの膝を枕にして寝ていたルイスが目を覚ましゆっくりと起き上がる。
「ふむ...いずれ世話になるかもな。その時はよろしく。」
「ええ!」
「ふわぁ...あっトレイズおめでとー。一回戦突破だね。」
「ああ。次はクリスってのと当たるんだろ?」
「多分ね。」
「クリス選手とトレイズ選手はいらっしゃいますか!試合が始まりますのでお急ぎ下さい!」
「なかなか間髪入れずに来るな。さて、行って来る。」
「言っとくけど、生き残るのが最優先だからね!」
「大丈夫さ。俺は悪運が強いらしいんでね。多分死なない。」
トレイズは銃剣を肩に担ぎながらゆっくりと一階の入口に降りて行く。
「次はクリス対トレイズ君か...。」
「トレイズ様頑張って下さーい!!」
(流石に殺しまではしないだろうが...如何せんあの人は熱くなってやり過ぎる時がある...。備えてはおくかな。)
「キャー!トレイズ様カッコイイですー!!」
(まあ大丈夫だよね...。)
「さあ二回戦第一試合は!正体不明の剣士『クリス』選手対不思議な魔道具使いの『自称ルーキー』、『トレイズ』選手!クリス選手の技が決まるか!トレイズ選手の魔道具で素早く終わるか!?決勝戦進出を賭けて試合開始ー!!」
「ハアッ!」
「うおおおッ!?ヘヘッ!殺す気で来やがったな...!上等だァ!」
「!」
司会者の男が試合開始を告げた瞬間、クリスは大剣を巨大化させ横一文字に振ってくる。それをトレイズは銃剣で受け止め、押し返しすかさずクリスに向けて弾丸を集中して撃ち込む。
クリスはそれを巨大化させた大剣で全て防ぐ。
「貴様がトレイズだな?」
「あ?俺の名前を知ってんのか?」
「知っているさ。初の異世界からの旅人を知らない筈が無いだろう?」
「...テメェ、どこまで知ってる?」
「それは戦いが終わってからだ。なに、この一戦で貴様を見極めるだけの事ッ!」
「何だッ!?」
クリスは会場中央まで走った後、大剣を地面に突き刺しそのまま巨大化させる。クリスは一瞬で会場上に飛び、空中で身を捻り地上に向けて巨大化した大剣を高速で十字に振る。大剣からは衝撃波が放たれ、会場に十字の穴を穿つ。凄まじい衝撃に会場は揺れ、トレイズも余波に当たる寸前で回避する。
「こんなのアリか!?」
「今ので死なんか。ならば...ハアァッ!」
「ふざ...けんなっ!!」
「何だと!」
トレイズは頭の中である戦艦の主砲を思い浮かべながら弾丸にして行く。その戦艦は『ヤマト』。最強の戦艦でありながら不運の内に沈没して行ったと聞いていた。
その『ヤマト』の主砲、46cm砲を想像し銃剣に篭める。そして銃口をクリスに向け、引き金を引く。
「じゃあな!地獄で会おうや!!」
銃剣から大地を震わさんばかりの轟音が鳴り響き、『超弩級』に相応しい砲弾が放たれる。そしてその砲弾は大剣を構えていたクリスに直撃し、大爆発を起こす。爆風に空気が揺れ、先程の衝撃波に耐えた観客達の中にも気絶者が出た。
「流石にやり過ぎたか......。 ん?待て待て。...おいおい、なんつうバケモンだクソッタレ!!」
煙が晴れて視界が戻ると、最初の位置にクリスが大剣を構えて立っているのが見える。クリスのフードは何故か動いておらず、未だに素顔は見えなかった。そして、クリスは大剣を地面に刺して楽しそうにそっと呟く。
「良いセリフだ。『地獄で会おう』、か。フフフ...なかなか私には似合いの響きだ。さあ、続きと行こうか?」
明日の夜には上げたいですが、遅くなりそうです。今回短かったかも...。