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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
トレイズ編 第1章 「戦場は無くならない」
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オーダーメイド part2

少し短めです!宜しくお願いします!

「本当にすまないと思っている...。」

「ごめんなさいでした...。」

「反省してるならいいが、俺が心配してるのはカレンの事だ。そろそろアイツの胃が持たないぞ。」

「確かにね...。カレンは昔から緊張しやすい奴だったからなあ。しかも今回はアルム家の長男に喧嘩を売ったんだ。カレン大丈夫かな〜♪」


ルイスはカレンを心配する様な発言をするが、表情はとても楽しげだった。


「心配してる様には見えんがな。そのアルム家ってのは?」

「皇帝の次に権力のある有力貴族『帝国七星』の一つさ。あっちの長男は何でも金で解決しようとするもんだから。親も甘いし、何やってんだか。」

「イシュが怪我でもしていたらそのアルム家を即潰しているところだ。以後こんな事が無いように。特にセルカ。」

「うっ!す、すまなかった。」

「ところで、今はどちらに向かっているのですか?」


トレイズが細い目でセルカを注意していると、イシュが目的地を尋ねてくる。


「そう言えば言ってなかったね。今から服屋に行くんだ!」

「服屋?」

「コイツの服も俺がデザインするんだと。...そうだ。イシュ、お前の服もついでに買おう。きっと似合う物がある。」

「わたしのお洋服ですか?わたしに似合う服なんてあるでしょうか...。」

「大丈夫だイシュ。お前は可愛い。絶対に似合う服はある。」

「ト、トレイズ様がそこまで言うならやるしか無いですね!えへへ...。」

「全く仲が良い...。」

「微笑ましいねえ。」


トレイズはイシュの服装が変わった所をあまり見ていなかったので、『今どき』の服に身を包むイシュを想像するとかなり興奮して来る。そんなトレイズと頬に手を当てて恥ずかしがるイシュを見てセルカは微笑を浮かべながら溜息をつき、ルイスはニヤニヤしながら嬉しそうに呟く。


「服屋到着!ここはお客が考えたデザインを形にしてくれるサービスがあるんだ。帝国でも結構店舗を展開してるし歴史もある店だよ。」

「便利だな。なら早速入るか。」


店は大きく扉は開け放たれており、外から見える店内には服が何着も飾られている。店内に入り近くいた女性の店員に話しかける。


「すまない。少し良いか?」

「はい。御用は...ル、ルイス様!?」

「驚かせたならごめんね。デザインした服を作って欲しくて来たんだけど、店長いる?」

「て、店長ですね!ただ今お呼び致します!」


女性の店員はそう言うと走って店の奥に消えて行く。暫くして出て来たのは、燕尾服のような物で身を包んだスラリと背の高い男だった。男の動作は滑らかで気品が溢れている。


「お久しぶりですルイス様。この度は二度目の御来店誠にありがとうございます。」

「うん久しぶり!こっちはデザインをしてくれるトレイズ達だよ!」

「トレイズだ。よろしく頼む。」

「『グレム洋服店』店長、ハーシー・グレムと申します。以後お見知りおきを。それではトレイズ様、奥の部屋にてデザインをお願いします。こちらへ。」

「ルイスの体のサイズを測ったりしなくていいのか?」

「ルイス様のデータは店の最高機密として保存してあるので大丈夫です。勿論、スリーサイズもありますよ?」

「ボクとセルカでイシュの服を選んでおくから!行ってらっしゃいな!」

「了解だ。行ってくる。」


イシュとセルカのセンスを信じで託し、ハーシーと共に店の奥に行く。ハーシーはテキパキとテーブルに大判の洋服の型が付けられた紙を広げ、ペン等の準備を済ませる。


「それではこちらにペンで大体のイメージをお願いします。気になった点等は質問をさせていただきます。」

「分かった。早速だが、まず生地の色は紺だ。」

「紺ですね。」

「次に襟から鳩尾部分に赤色スカーフが必要だ。」

「赤のスカーフと...。」

「襟の後ろ部分はこう、長方形になる。」

「ほうほう。」


紙に書きながらハーシーに説明をしていく。かなりうろ覚えだがルイスを見た時、ふと思い出した服なので似合うだろうと考える。


「下はスカートだ。アイツの事だから短めで良いとは思う。」

「短め、と。」

「後はだな...。」


更に細かい所をハーシーと相談しながら決めていく。袖の装飾についてやボタン等、ハーシーのアイデアも入れていく。


「見たことの無い良いデザインですね。名前等はあるのですか?」

「たしか『セーラー服』って名前だったはずだ。知り合いに見せられた時に衝撃を受けたのを覚えてる。」

「ご友人のアイデアですか。成程素晴らしい。」

「俺は戻る。服は何時ぐらいに出来る?」

「二日後と言ったところでしょう。ルイス様の服は魔力と良く馴染む素材である必要がありますし、加工にも職人の手が必要になりますので。」

「了解した。そう伝えておく。では頼んだ。」

「またの御来店をお待ちしております。」


奥の部屋から出ると、なにやらルイスとセルカが盛り上がっているのが分かる。


「あ!トレイズ来て来て!イシュすっごい可愛いから!じゃーん!」

「やはりエルフは何を着ても似合うのだな。」

「どどど、どうでしょう、か!」


イシュの掛け声で更衣室から出て来たイシュは、彼女に似合う控えめなベージュの洋服とスカートが一体化した物を着ていた。控えめながらもスカートからは細く美しい脚が見え、イシュのエルフとしての美しさがより映える組み合わせだった。


「凄い、綺麗だ。それに可愛い。」

「あ、ありがとうございます!」

「トレイズったらイシュの事になったら途端に反応変わるよねえ。いつもは『ああ。』とか『そうだな。』ぐらいなのにさー。」

「イシュは異世界から来た俺を受け入れてくれた大切な存在だ。そりゃ対応も変わるだろう?まあ俺も自分に女が出来るなんて考えてもいなかったから、自分でも驚きだが。」

「大切な存在、か...。」


イシュの着ていた服をそのまま買い、続けて夕飯を取れる宿屋を探す。トレイズはルイスの提案した宿屋に着くまでずっとイシュを眺めていたのだが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それでは、これより七星会議を始める。今回は...」

「皇帝陛下!その前にどうか私の話を聞いて下さい!」

「......ラデン、私の話を遮ってまでするその話、価値が無いと判断されればアルム家の取り潰しもあるが、良いか?」

「ぐっ...。我が息子が、冒険者と思しき女に一方的(・・・)に暴行を受けたと聞きました。その冒険者の特定と報復の許可を頂きたい!」


カレンは冷めた目でアルム家代表であるラデンを見る。


「私が聞いた話と少し違うな。」

「は...?」

「貴様の息子がエルフの女性に言い寄ったのだろう?一方的にな。それを貴様の言う冒険者の女性が止めたと、私は聞いている。そしてそれが真実だということも確認済みだ。」

「なんですと...?」

「貴様の息子は死んでいないのだろう?」

「しかし!死の恐怖を味わったと...!」

「その程度で済んで良かったではないか。」

「なっ...!」

「もしも、もう少しバカが殴られるのが遅かったならば......アルム家は今頃木っ端微塵だっただろう。さて、話は終わりだ。今回の議題は軍部の再編成ならびに対アスカントについてだ。」

「皇帝陛下...!」

「黙れ。私は貴様が思っているよりずっと短気だ......。それ以上喋れば、殺す。」


カレンの体から凄まじい程の殺気が迸る。これまで幾つもの修羅場を潜ってきたはずの七つの貴族達の代表の顔に汗が浮かぶ。ラデンは力無く椅子に座り、目線を下げる。


「申し訳...ありませんでした...。」

「分かれば良い。では会議を再開するが...」


会議はその後滞り無く進み、何事も無く終了する。私室に戻り一人になったカレンは、酒を飲みつつ読書に耽る。そんなカレンの目の前に黒い霧が唐突に現れたかと思うと、その霧は人の形になっていく。


「む、貴女ですか。こんな夜に何の用が...?」

「トレイズについて調べてみたのだ。奴には一切の記録は無い。奴は正真正銘、初めて(・・・)の異世界からの人間だ。」

「"イレギュラー"...確かに、奴の力は計り知れない物でしょう。」

「そうだ。記録が無い以上、直接調べるしかあるまい。私も闘技大会に参加し、直接奴の意思を確かめる。」

「貴女が参加すると...!?」

「トーナメント表を少し調整しておいてくれ。ではな。」


黒いフードで顔の見えない女性の声の人物はそう言って黒い霧になって消える。


「全く、人使いの荒い御方だ...。いつつ...胃薬は何処に置いたかな...。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねえトレイズ、トレイズは何でイシュと結婚したの?」

「何でルイスが...まあいい。」


食堂のある宿の広い部屋で四人一緒に寝る事になったトレイズは、隣にいた筈のイシュがルイスになっている事に困惑しながら質問に答える。


「俺は違う世界から来た。最初はとてもじゃないが信じられなかったし、此処が異世界だと認めた後も困惑していた。そんな時に出会ったのがイシュだった。」

「おおー。」

「初対面だがイシュは可愛いかった。今も可愛いが。そしてイシュと話し、魔物から護っていく間に好きになってた、のか?ここら辺は俺も分からんが、イシュと話していると異世界も悪く無いと思えた。」

「だから結婚したんだ?」

「まあ、そうだな。とても魅力的だったし、何より俺の好みだったな。知らない俺を受け入れてくれたイシュの優しさに救われたのさ。」

「少し、羨ましい...かな。」

「ん?何か言ったか?」

「何でもないよ。おやすみ。」

「...ああ。おやすみ。」


いつもは楽しげなルイスの表情がほんの一瞬だけ、悲しげな物に変わる。トレイズはそれが気になりながらも眠りに落ちて行った...。



休みなので頑張って上げれるようにしますが...!出来るかな...!

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