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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
トレイズ編 第1章 「戦場は無くならない」
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特訓あるのみ part2

少し短めです!今回も宜しくお願いします!

〜祝祭日まで四日〜


「今日は一段階レベルアップするぞ。魔法もありだ。来い。」

「いいのか?」

「本当に大丈夫なのかトレイズ?」

「当たり前だ。少なくともお前らに魔法を当てられる程落ちぶれちゃいねえ。」


肉弾戦の訓練の翌日の朝、昨日と同じ場所にトレイズ、アトラ、カイルの三人はいた。唐突なトレイズの提案にアトラとカイルは驚くが、直ぐに戦闘態勢に移り魔言を唱える。


「ったく!死んでも恨むなよ!"ファイアボール"!!」

「それなら遠慮なくやらせてもらう!"ディスチャージ"!」


カイルの杖からは大きめの火の玉が、アトラの杖からは幾条もの雷が放たれる。


「甘いな。」

「避けられた!?」

「やられた!」


トレイズは飛んで来た火の玉を避け、胸に忍ばせていた空薬莢数個を空中に投げて避雷針代わりにして雷も回避する。


「外れたら次の詠唱の準備だろうが!」

「ぐあっ!」

「ならば!"天地鳴動灰燼世界、今此処に裁きの光は顕現する。昇る光柱は尊き御霊、光よ敵を等しく灰燼に帰せ!アルビト..."」

「させるかッ!」

「ぐっ!」


自分の放った魔法を避けられた事に気を取られていたカイルを蹴り飛ばす。カイルが蹴られている間に詠唱をしていたアトラも素早く蹴り、詠唱を阻害する。


「敵が何かに引き付けられてる間に魔法を撃ち込むのは良いぞ。だがな、詠唱の長い魔法は強力な分狙われ易い。混乱する戦場では速さが重要になってくる。これを忘れるな。」

「やっぱりダメだったかあ...。」

「範囲攻撃魔法はやはり戦争で役に立つ物だからな。ところで、どんな魔法を撃とうとしたんだ?」

「ハイエルフの古代文書にあった戦略級審判魔法だよ。いやーそろそろ撃てるかと思ったけど、僕の詠唱、遅かったかな...。」

「そうじゃねえよ!んな物騒なモン持ち出すんじゃねえ!!撃てても家が吹き飛ぶし撃てなかったらお前死んでたぞ!?」

「あっ...。ごめん。ついムキになった。」

「アトラはクールに熱くなるからダメなんだよ。一回そこら一帯の森燃やした挙句、魔力切らして気絶した事あったろ。」

「あれはちょっと張り切り過ぎたんだよ...反省してるさ...。」

「まあまあのバカじゃねえか。まあいい、続きだ続き!行くぞ!」

「今度こそ!」

「次こそ泡吹かしてやるからな!」


その後の特訓は昼まで続いた。アトラとカイルはまたもトレイズに一撃も与えられぬままボロボロになったが、それでも素早く動きながら魔法を撃てるようになる等、かなりの成長を遂げていた。

一方イシュは。


「ん...。トレイズ様......あれっ?」


窓から降り注ぐ日光に目を細くしながらトレイズを探していると、外から爆発音がする。そして、それで全てを察する。


「寝過ぎた...!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「トレイズ様〜!」


しっかりとドラム缶風呂でさっぱりとしてきたイシュが慌てた様子で走って来る。


「遅いぞイシュ。もう訓練は終わりだ。」

「起こしてくれても良かったのでは!?」

「気持ち良く寝てたんでな。」

「そ、そんな...。今日こそは参加したかったのに...。」

「そう落ち込むな。イシュには明日特訓に付き合ってもらう。勿論、アイツらみたいな事はやらんがな。」

「何をやるんですか?」

「明日になってからのお楽しみってか?」


そう言うとトレイズは疲れ果てて倒れているアトラとカイルを放置し、家の二階に行ってしまう。


「トレイズ様、待って下さ〜い!」


イシュもその後を追い掛ける。後に残されたのは倒れたアトラとカイルだけだった。


「ダメだ...立てん...。」

「魔力...使い過ぎたかな...?」

「トレイズの奴...もう少し手加減してもいいんじゃねえのか...?強過ぎだ...。」

「ははは...言えてる...。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて...始めるとするか。ふう...。」


トレイズは部屋で静かに両手の平をしたに広げ、頭の中で記憶を巡らせる。自分の持つプレシャススキル『物質作成』を試すのだ。

最初は最も有名なハンドガンと言っても過言では無い、M1911A1通称『コルト・ガバメント』をパーツから作っていく。イシュが寝ていた時に解体して直すを繰り返しパーツの構造などを覚え、頭の中にある銃のデータと照らし合せていたので作成には自信があった。


(頭の中で組み立て、上手く行けばそのまま完成品が出るハズだ...。)


一度深呼吸をし、目を瞑り静かに頭の中で40を越えるパーツを組み立てていく。解体し組み立て直す作業を思い出しながら、丁寧に進めていく。

間違っても信頼性の無い銃を使う訳には行かない。


(パーツの大きさを失敗したら終わりだな...。よし...マガジンは必要だな。そして最後にこのマガジンを入れれば...!)


頭の中で最後のパーツを組み立て、それをはめる。体から何かを抜かれる感覚と共に、手の平に確かな重量を感じる。そこには、元にした物とそっくりのコルトガバメントがあった。


「っふぅ〜...!かなり魔力を使っちまったが...コイツは良い意味で予想外の出来だ...!持った重みもそのままだ!後は弾を少しばかり作っておくか...。」


窓から外を見ると、昼間は空を覆う大木の枝が今は無かった。どうやら外はもう夜らしい。


「一体何時間経ったんだ...!?このスキル、時間が掛かっちまうのかあ...。仕方無い、弾作りをさっさと終わらせるか...って、ん?」


隣にはいつの間に来ていたのかイシュがベットですやすやと寝ていた。


「コイツはいつの間に...。全く、男の前で寝るなんてな...。」


イシュに毛布を被せ、弾丸製作の作業に戻る。疑う事を知らないイシュの無垢さに呆れながらも、『守らねば』と言う気持ちが一層強くなったトレイズだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


森の奥、そこで怪しいフードの人物と豪奢な礼装を着けた人物が密かに会談をしていた。不気味な位静かな森に、二人の人物の声だけが小さく聞こえる。


「だからあの時纏めて殺しておくべきだったのだよ。変な意地を張るからこうなる。」

「うるさいッ!不必要な犠牲など、主は望んでおられない!」

「だが、もうそれは出来ない。そうだろう?」

「ぐっ...。しかし...。」

「『森の御子』を、イシュ・メディアティオン・ケリドウェンを殺せ。あの黒い男諸共、な。その為の魔物も貸そう。」

「主は...殺戮者となる私を理想郷に受け入れて下さるだろうか...?」

「主は貴君の偉業を必ずや見て下さるだろう。その時こそ、我等は理想郷へと召し上げられるのだ。」

「理想郷......。」

「それでは期待しているよ。」


礼装の人物は音も無くその場から消える。そこに残されたのはフードの人物のみだった。


「これで、我等エルフは本当に救われるのだろうか...。」


フードの人物の嘆きは静かに夜の闇に溶けていく。

頑張って明日上げます...!最低でも長めのを深夜に...!

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