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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
トレイズ編 第1章 「戦場は無くならない」
35/107

勉強会

法事で遅れました。申し訳ございません!

トレイズは狼型の魔物との戦いの後、少し休んで村長の家で待機していた。部屋ではイシュが寝ていたので入って休む事が出来なかった。トレイズがリビングで座っていると、長老がやって来る。


「聞いたぞ。大活躍だったらしいではないか。」

「よく言うぜ。まだ魔法もスキルも教わって無い時に来られるなんて、考えて無かったぞ?」

「大丈夫じゃて。今日は魔法とスキルについて知ってもらう事にしよう。お主が疲れていないのなら、今すぐにでも始めても良いぞ。」

「大丈夫だ。あんなのは準備運動だ。さっ、早くやろうぜ。」

「了解じゃ。まず魔法と言うのは魔言を唱え、自分の体の中にある魔力を使い初めて成立する。昨日も言ったが、いきなり使えもしない魔法を使うと魔力切れで死ぬぞ。無いとは思うが、気を付けるんじゃな。」

「俺に使えそうな物はなにか無いか?試してみたい。」

「そう焦るな。次にスキルじゃな。まず、色々な行動を補助する役割を持ち、様々な方法で獲得可能な"スキル"、生まれつき持つ呪いや才能の類の"トゥルースキル"、そして神に与えられし異能"プレシャススキル"。主にこの三つじゃな。この中でも"プレシャススキル"を持つ者は、世界中を探しても数えるには両手で足りてしまうじゃろうなあ。」

「かなり貴重なんだな。例えばどんなスキルが過去にはあったんだ?」

「そうじゃな...。『白神竜グローリー』の持つプレシャススキルの一つに『陰陽逆転』という物がある。これをグローリーの持つトゥルースキル『陽光変換』と言う、光を自らの魔力に変換すると言う物と組み合わせるのじゃ。

『陰陽逆転』は太陽と月の位置を逆転させるスキルでな。流石のわしでも見た事は無いがの。この意味が分かるな?」

「なんつーか...規格外だな...。」

「みんなこんなもんじゃぞ?」


初めて聞くプレシャススキルの内容は、自分のいた地球の科学力でも不可能な事だった。余りにやり過ぎな物だったので、自分は持っていないと考えしまう。


「自分の持つ"魔法"、"スキル"を確認する方法じゃが、至極簡単じゃぞ。頭の中で"ステータス"と念じれば文字通り自身のステータスが出て来るぞ。後は持っている武器やスキルの詳細等も、念じれば見れる様になっておる。この一種の"軌範魔法"とも言うべき物は、神の作ったものというのが有力な説で......」

「何言ってんだ?まあいい。"ステータス"」


声に出しながら頭の中で念じる。すると、頭の中に画面の様なものが浮き出るように出現する。


「うおっ!」

「久しぶりに見る反応じゃな。落ち着いて確認をしろ。焦る事は無い。」

「分かった...。」


新鮮過ぎる経験だったが、落ち着いて出現した画面を観察するように見る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:トレイズ


年齢:25


状態:健康


装備:タラキ・ホルアクティ


保持スキル

プレシャススキル:『物質作成』『短距離瞬間移動』

トゥルースキル:『弾丸作成』『想造弾丸』

スキル:『心眼』『長剣術 Lv.5』

称号スキル:____


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お?プレシャススキルあるぞ?」

「なんじゃとおおお!?」

「うるせえ!」

「内容は!?どの様なスキルなのだ!?」

「うるせえうるせえ!分かったから離れろ!」


プレシャススキルと聞いた途端血相を変えて掴みかかってくる様に質問する村長を、力ずくで引き剥がす。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『物質作成』:自身の記憶にある物質を魔力を消費して作成出来る。複雑な機構を持つ物は頭の中で完璧に動作を完了する事で作成出来る。


『短距離瞬間移動』:短い距離を魔力を消費する事で瞬時に移動出来る。目に入る場所になら瞬間移動可能。但し移動する距離に応じて消費する魔力が増大する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「便利そうだな。」

「便利どころでは無いわ!!まさかプレシャススキルを二つ持つ者をこの目で見る事になるとは...。」

「そんなにか?それより気になるのは...。」


最初に見た時に気になったトゥルースキルの欄を見る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『弾丸作成』:魔言"リロード"を唱える事で魔力を消費して弾丸を作成し、装填する。


『想造弾丸』:『弾丸作成』と組み合わせる事で自分の想像した弾丸を作成出来る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「まあまあ、ってとこか?」

「聞いたこともない単語だらけじゃな...お主の正体がますます分からんくなってきたぞ...。」

「まあ大丈夫だろ!ところで、武器の詳細を見るのもスキルと同じ事すればいいのか?」

「何が大丈夫かは知らんが、頭の中で武器欄を見ればええぞ...。」


言われた通りにステータス画面の武器欄を見る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


装備:タラキ・ホルアクティ


種類:複合剣


命名者:???


製作者:???


スキル


・『陽は我が父』

効果:太陽が出ている時のみ身体能力を大幅に強化する。一日に一発ずつ『太陽弾』『豊穣弾』が作成出来る。※作成しなければ作成出来る数はストックされていく。

『太陽弾』:太陽の如き熱を秘める弾丸。魔力を込めれば込める程太陽に近付いて行く。

『豊穣弾』:太陽の恵みを具現化する弾丸。撃てばあらゆる生物の持つ生命力を活性させる。植物に撃てば豊作、病気への耐性等の効果が得られる。


・『月は我が母』

効果:月の出ている時のみ魔力が大幅に増え、死霊への直接攻撃が可能になる。一日に一発『月霊弾』を作成出来る。※作成しなければ作成出来る数はストックされていく。

『月神弾』:着弾した対象を癒す。撃つ際に魔力を込める程効果が増大する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「なかなか凄いな。」

「銃...?これがか?大砲を小さくした様なものか?」

「まあ、そんなところだ。」

「『豊穣弾』じゃったか?あれは凄い!是非この村の作物に使ってみて欲しい!」

「後でやってやるさ。」


村長とスキルについて話していると、二階の部屋からイシュが降りて来る。


「おはようございますトレイズ様、お爺様。」

「ああ。おはようイシュ。」

「アンタの孫だったのか。」

「トレイズ様申し訳ありません。待っている間につい寝てしまって...。」

「いいんだよ。本当なら普通に寝ていた時間だったしな。」

「ところで、お爺様とトレイズ様は何をやられていたんですか?」


イシュは目を輝かせて尋ねてくる。


「スキルと魔法の勉強じゃよ。トレイズはプレシャススキルを二つも持っておる。才能に溢れた若者じゃ。」

「若者?トレイズ様はおいくつなんですか?」

「25だ。」

「えっ...。あっ、私エルフでした。そうでした!人は寿命が短いんでしたよね!」

「エルフが長過ぎるだけだろ...。」

「そうなんですか?」

「そうじゃな...。イシュは今度の誕生日で800歳じゃったか?」

「はい!成人まで後200歳です!」

「あっという間じゃのう...。ワシも少しはあやつらに顔向け出来るわい...。」

「もう!その話はしんみりしちゃうから止めてください!」

「すまんすまん。ついつい口に出てしまうわい。」

「あやつらって誰だよ?」

「その話はしてもいいが、お主の魔力上限がどのくらいかも見なければならんしの。その後じゃ。」

「分かったぜ。」

「あの...それ、私も入れて下さい!私も魔法使いたいです!」

「エルフはまず弓からじゃろう...。まあ、お主のステータスもまだ見とらんし、それから決めるのも悪くは無いのう。」

「すてーたす?」

「それも含めてやるぞ。こっちに来い。練習用の場所ならあったはずじゃ。」


村長に連れられ、イシュと一緒に家の裏側に回る。そこには、広い敷地があった。少し離れた場所には暫くは使われていなかったであろう、的のようなものもあった。


「ここじゃ。この広さならある程度の魔法は使っても大丈夫じゃろう。」

「射撃場にもなるな...!」

「それじゃ始めようかの。」

「いよいよ魔法を使えるんですね〜!!」


イシュの嬉しそうな顔を見て、トレイズは思わず自分もそう微かに微笑んでいた事に気付く。


(この世界に来てよかったと思える唯一の点だな...。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


村を囲う森の中に一人の人物が静かに立っていた。その人物はフードを深く被っていたが、尖った耳がみえていた。しばらくすると、その人物の近くに人影が音も無く出現する。


「次の魔物を頼む。急造でもいいから、もう少し強力な物をだ。もう日が無い。」

「了解した。我が主の為に。」

「頼む。我が主の為に。」


フードの人物はその人影に喋り掛けると、人影はそれに対して返事を返す。フードの人物がその返事に対して返すと、人影は一瞬で姿を消した。


「呪子め...!必ずやこの手で...!」


フードで表情は覗けなくとも、その目には決意の火が爛々と燃え盛っていた。









解説回になってしまいました。次は色々書きたいです!

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