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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第1章「魔王国にて」
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宴は続かない

遅くなりましたが、今回も宜しくお願いしますm(_ _)m

ルリィさんに報告した後、伝言で言われた通り『コロナル亭』に向かう。外はすっかり夜になっていたが、『コロナル亭』の場所はガングさんが知っていたので無事辿り着けた。

『コロナル亭』は木造の建物だった。二階建てで、建物自体の大きさはコンビニくらいだろうか?

入口は大きくドアが無かったので、冒険者達で盛り上がっている様子が外からでも分かった。


「サナリィ!席、空いてるか?」

「ガングさんこんばんは!あちらの席、空いてますよ。」

「ありがとよ!行こうぜセイエイ。」


ガングさんは店に入るなり女の店員さんに話しかけ、素早く席を確保する。常連らしく名前を覚えられていた。

店の中はテーブル席が四つとカウンター席があり、二階は大きい円卓の席が二つあった。ちなみに厨房はカウンター席の奥にある。


「あの、セイエイ様でいらっしゃいますか?」

「え?あ、はい。」

「クリス様がお待ちになっています。」

「何だ?...ああ!確かお前の上司が待ってんだったな!すまんすまん。で、何処にいるんだ?」

「はい。カウンター席の端におられますよ。」

「あっホントだ。」


入った時は気付かなかったが、確かにカウンター席の左端に、長い銀髪に鎧を着けた人物が座っている。

...てか何であの人寂しそうに牛乳飲んでんだ?


「クリスさーん!遅くなりましたー!」

「遅いぞ!」

「す、すいません!ルリィさんに色々質問されたりしてまして...。」


クリスさんを呼びながらカウンター席に向かう。若干嬉しさの混じる言葉の勢いから、相当暇だった事が伺える。クリスさんの隣に俺、その隣にガングさんと並んで座る。

あ、このグラスに入ってるのやっぱり牛乳だ。


「で、そこの貴様は誰だ?」

「この人はガングさんです。門兵をしている方で、ルーキーの俺を心配してくれまして。奢ってくれるんですって!」

「紹介に預かったガングだ。門兵をやってる冒険者で、ランクは銀。それで、アンタがセイエイの上司さんか。名前は...」

「クリスだ。ランクは白金。セイエイの上司をやっている。」

「はああ...白金の冒険者を見るのは初めてだ。にしても、いやあ...エラい美人さんだ。」


クリスさんにガングさんを紹介する。ガングさんはクリスさんのランクにも驚いていたが、それ以上にクリスさんの美しさに驚いたようだった。


「クリスさんが飲んでるのは何なんですか?」

「ハチミツ牛乳だ。美味いぞ。」


アンタはポニョか!?


「お酒とか飲まなかったんですか!?」

「そ、それはその...。私はその、あれだ。酒が飲めない...。」


クリスさんは恥ずかしそうに呟く。何がそんなに恥ずかしいかは分からないが、凄い可愛い。


「え?の、飲めないんですか?」

「少し飲んだだけで酔ってしまうのだ...。私も飲みたいさ!だがな、コップ一杯の酒で泥酔してしまうんだよ!」

「飲んで慣れようとしたりとか、しなかったんですか?」

「酒はあまり良い物では無いと部下から聞かされていて、ずっと飲まずにいたのだ...。だが聞けば!酒の席でこそ話は弾むと言うではないか!」

「でも飲めないんですよね?」

「(しゅん...)」


クリスさんはあからさまに落ち込んでいた。落ち込んでいるクリスさんも可愛いなあもう!


「ガッハハハ!!クリスさんは酒が飲めない質か!白金の冒険者にも出来ねえ事はあるもんだ!!」

「(´・ω・`)」

「ガングさん追い討ちやめて!結構気にしてるみたいだから!!」


どうやらクリスさんは酒が飲めない体質な上に酒を飲まずにやって来たせいで、本当にお酒がダメらしい。

ガングさんの追い討ちにより、クリスさんはもう泣きそうな表情になっていた。


「まあいいじゃねえか!これから慣れれば良いのさ。サナリィ!ルクエワインと適当に料理をくれ!」

「はーい!かしこまりましたー!」


止めを刺した事に気付いていない様子のガングさんは、先程の店員さんを呼びつけワインと料理を頼む。


「それもそうだな...!今夜は飲もう!」

「そうですよクリスさん!飲んで慣れて行けば良いんですよ!」


クリスさんを何とか宥めていると、ワインの入った瓶と料理が運ばれて来る。


「はーいこちらルクエ産ルル鳥のステーキに、ルクエワインになります!」

「おお!来た来た。ほら、注いでやるからコップ寄越せ。」

「あ、はい。あれっ?」

「よし!来い! 」


ガングさんにコップを渡した時に気付いたのだが、俺まだ二十歳じゃないけど大丈夫か?法律違うとは言え抵抗があるな...。

俺とクリスさん、そしてガングさんのコップにワインがなみなみと注がれる。真紅のワインはアルコールの匂いの中に爽やかな葡萄の香りのする物で、これなら俺でも飲めそうだった。


「それじゃあ、セイエイの初依頼達成を祝って!乾杯!」

「ああ、乾杯!」

「有難うございます!乾杯!」


ガングさんの音頭に合わせてコップのワインを飲み、三人ほぼ同じタイミングでコップを空にする。

このワイン、美味しいな...。飲みやすいし、ちゃんとお酒って感じもする。


「あー美味い!やっぱりルクエワインはイイもんだ!」

「美味しいですねコレ!」

「だろ?クリスさんはどうだ?これなら...ってあれ?」


クリスさんの頬はほのかに赤くなっており、目は泳いでいた。


「セイエイ!」

「はっはい!?」

「お前はりゅーきーのくせににゃまいきなんらよ!私の忠告を聞いていたはずにゃのにホイホイ付いていったりして!ひんぱいする私の身にもなれってんらよ!」

「そ、それは本当にすみませんでした!もし本当にルーキー狩りだったら、ここでやらなきゃって思って...。」


本当にコップ一杯で酔いやがった...!てかここまで綺麗に泥酔してる人初めて見たわ!

だが呂律の回らない状態で、顔を赤くしたまま言いたい事をまくし立てるクリスさん可愛い。

待って叩かないで!戦闘服の防御力貫通して来てるから!痛い!


「ガハハッ!それくらいにしてやってくれよクリスさん!コイツも反省してるって!」

「そ、そうですよ!」

「なんらと〜?」

「「えぇ...。」」


ガングさんがクリスさんを諌めようとすると、気に入らなかったのか、クリスさんは腰の剣を抜く。

酔っ払いマジめんどくせえ...!この人に勝てるハズ無いしまじでヤバイ。


「そ、そうだ!白金の冒険者の元で働けるなんて羨ましいぜセイエイ!いやあ俺も入りたいぜ!」

「ガングさんも来ませんか!?まだ二人ですし、枠なら空いてますよ!どうでしょうクリスさん!?」

「ゑ?」

「そうらな〜。いいぞ〜!ガングは今日から私たちのパーティーらよ!そらっ。これを準備金にでもしろ!ヒック!」


何故か上機嫌のクリスさんは剣を持ったまま、ガングさんに金貨を一枚投げる。


「えっ!こ、こんなに!やるしか、ねえのか...?」

「死神のパーティーにようこそガングさん...!」

「不吉な事言うんじゃねえ...。」


間違った事言ってないし?


「アハハ...。あ、このステーキ美味しいですね!」

「だろ?ルクエ産のルル鳥は身が締まってて美味いんだよ!ここの味付けもルル鳥と相性が良くてな。最高だぞ!」


ルル鳥のステーキは地球で食べた鶏よりも歯応えがあり、胡椒に似た香りと少し濃い味付けとの相性が良く美味しかった。これはお酒が進む理由も分かる。


「もう少し飲みたいんですけど、これ以上は...。」

「そうだよなあ...。」


酔ったら剣を抜く白金の冒険者がいるのに、楽しく酒なんて飲める訳が無い。少し早いが、お開きになりそうだ。


「ほら、クリスさん。行きましょう。」

「んむ...もう飲めんぞ...。」


アンタ一杯しか飲んでないぞ。


勝手に酔い潰れて寝言を呟いていたクリスさんを背負って店を出る。次は男同士で飲みたいものだ。


「今日は有難うございました。その、パーティーの件何ですけど...。」

「パーティーか?それなら心配するな!俺が入って三人だから、もう少し増えれば旅団(ブリゲード)が組めるな。」

「入ってくれるんですね!旅団(ブリゲード)というのは?」

「説明、受けて無かったのか?なら明日パーティー手続きついでに説明受けろよ。昼頃にギルドで待っとくぜ。」

「はい!それじゃあ、おやすみなさい!」

「ああ、おやすみ!」


待ち合わせの約束を交わし、店の前でガングさんと別れる。俺とクリスさんは店の裏にある宿屋を借りる事にした。こういうサービスは嬉しい。

料金は明日払う事にして、二階の部屋を一つ借りる。


「よいしょっと。」


ベッドに寝かせようと、クリスさんをお姫様抱っこで担いで降ろそうとした時である。


「おりゃあ!」

「のわあっ!?」


いつから起きていたのか、クリスさんにベッドに引き倒される。唐突過ぎて受け身が取れず、胸鎧に顔面を強打してしまう。

酔っ払いマジめんどくせえ...。


「鎧を脱がせてくれ!暑くてたまらん!」

「え、えぇ〜。」

「体が上手く動かせないのでな、頼む。」

「そうは言ってもですね...。」


女の人の服(鎧)脱がすのも抵抗無い?しかも酔ってるんだから尚更である。


「肩の留め具と腰の留め具を外してくれれば、後は脱ぐだけでいいのだ。頼む。」

「分かりましたけど...。」


言われた通り、両肩の留め具を外すと腕を覆っていた防具は簡単に取れた。胴鎧もクリスさんに両手を上げて貰って脱がせる事が出来た。最後に腰の金具を外して脱がせば、鎧が全部外れた事になる。

この人中の下着がシースルーのワンピースにパンツだけだから、後半目をつぶりながらだったし...。


「一緒に寝るぞ。寂しい。」

「はあ!?このままじゃ俺クリスさんを襲っちゃいますよ!?」

「?...分からんが、来るなら来い。返り討ちにしてやる!」


違う!そうじゃない!


「つべこべ言うな!来い!」

「そんなっ!?」


俺はそのままクリスさんの豊かな胸に顔を埋めながら、俺の意識は二つの意味で落ちた。


(い、息が...。)

未成年の飲酒を助長するものじゃないから要注意ですんでそこら辺はお願いします!


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