ルーキー狩りを狩る
書きかけの小説が消しちゃうわ内容忘れちゃうわでこんな時間に!!!
申し訳ないです(´・ω・`)
「お前...誰だ...?」
セッツの顔は恐怖で歪んでいた。なぜなら、先程までルーキーと侮っていた相手が、魔物とも言えるモノに豹変していたからだ。
目の前にいるのは、殺意を持つだけの魔物だ。これ程の重圧の前では、初めて魔物と戦った時の恐怖等霞んでしまう。
「誰だ?なんて、心外じゃねえかァセッツう?可愛いルーキーじゃねえかァ。」
「...本当に、ルーキーなのか?」
ドルジも驚きを隠せないでいた。体中から汗が吹き出し、体は無意識に強張る。
「どんな魔法を使いやがった!?ルーキー如きが"限界突破"なんて使えるわけねえ!」
「キャンキャンうるせえ!」
魔法の可能性を叫ぶベラントの目の前にセイエイは瞬時に移動し、軽く蹴り飛ばす。
「うああっ!速いっ!?ぐへえっ!」
吹き飛ばされたベラントは壁に打ち付けられ、気を失ったらしく倒れたまま動かなくなる。
「ベラントをよくも...。ルーキー如きがランク金の俺に勝てると思うなよ!!」
「やっぱりランク詐称してたか。めんどくせえ。」
ベラントが不意打ちで倒されたのを受け、怒るドルジは背中の大斧を振りかざし突撃して来る。
詐称していたとは言え、ランク金の冒険者であるドルジの突撃は十分威力があるはずなのだが...。
「遅い。やり直し。」
「ガハッ...何だ、と?」
ドルジの振り下ろした斧はセイエイには届かず、右のガントレットに掴まれ止められる。そのままセイエイはドルジを引き寄せ、蹴り飛ばす。
「ぐううっ...!」
「大丈夫かドルジ!クソッよくも!」
「俺はテメエらが狩ってきたルーキー達の怨霊だよ。テメエらも同じ目に合わせてやるからよォ!簡単に死んだら...殺すぞ?」
「そんな訳っ...!?」
呻くドルジと気絶するベラントをセッツは庇うが、もはや恐怖と怒りが混ざり頭の中はパニックに陥っていた。
「ううう!うおおおお!!」
「おお?真っ直ぐ向かってくるたァいい度胸だ!!」
錯乱したセッツは背中の大剣を構え、セイエイに向かって突進する。
「クソおおお!死ねええ!!」
「おせえんだよォ!!そらァッ!!」
「ぐぎゃああああ!?」
突っ込んで来るセッツの攻撃を躱し、背後から手刀で両腕を切り落とす。
「お、俺の腕、がぁ...!」
「魔力で身体強化してるか?遅過ぎて話にならんぞ?」
「魔力で身体強化出来る冒険者なんざ、世界に数える程しかいねえはずなのに...!!アズミィィィ何でお前がァァ!」
「ゴチャゴチャうるせえ。オラッ。」
「ぎいっ!?うぐっぐぅ...。」
両腕を無くしさらに錯乱するセッツの両足を、手刀で切り落とす。余りの痛さでセッツは気絶してしまった。
「おっと、傷口を塞いどかなきゃ死んじまうか。死んでもいいが、約束だからなあ。よっと。」
治癒魔法でセッツの両手両足の傷口を塞ぐ。神魔回復を使えないので、傷口が塞がるだけで新しい手足は生えてこない。
「クソッ!クソッ!このバケモノめ!」
「ご自慢の魔法を撃ってみろよォ。効くかもしれないぜェ?」
「舐めやがってえええ!!死ねぇ"フレアウォール"!!」
意識を取り戻したベラントはセッツとの戦いの一部始終を見ていたらしく、その目はセイエイを人とは見ていなかった。錯乱してしまったベラントは簡単に挑発に乗り、魔言を唱える。ベラントの杖から凄まじい勢いの炎の壁が吹き出る。
「つまんねえなあ。」
「はっ?はっ?」
炎の壁はセイエイの突き出した右のガントレットの手の平に吸い込まれて行く。自分の奥義があっけなく無効化された事に、ベラントは驚きを隠せない。
「ラ、ラ、ラルド石...だって...!?そんな大きさ、く、国が動くぞ!?何で!?何でっルーキーがそ、そんな物を!!」
「テメエが知る必要はねえ。黙って死ね。」
「あああ待ってくれ!待っ」
ベラントがその言葉を最後まで言う事はかなわなかった。セイエイがベラントの顔面を殴打し、ベラントの顔は上半分が粉々になってしまった。
上半分の無くなった頭から血を吹き出しながらベラントだった死体は倒れる。
「ベ、ベラント...。セッツ...!許さん!!許さんぞ!!"獣化最大"!!」
ベラントを殺され、セッツを達磨にされたドルジは怒り狂い、自身の中の獣を出して理性を捨てる獣人の切り札である魔法"獣化最大"の魔言を唱える。
すると、180cm程あった身長はみるみる内に肥大化し、3mにまで巨大化する。体中は鈍銀の毛に覆われ爪も急速に伸び、その姿はまさに狼男そのものであった。
巨大な狼男となったドルジはセイエイに向って爪を振りかざし、獲物を狩る狼の如く向かって来る。
「ガアアアア!!!」
「なのに遅いとか、ゴミか?テメエは。」
その爪は左のガントレットに掴まれセイエイには届かず、そのまま右拳のストレートによる反撃で心臓を撃ち抜かれる。セイエイの右拳はドルジの心臓を掴んだまま、貫通していた。
ドルジは声を上げることも無く絶命し、体に空いた風穴から夥しい量の血を流しながら倒れる。
「終わったから変わるぜ相棒。つまらな過ぎる。」
俺の意識はまたも一瞬だけ飛び、今度は体をちゃんと動かせるようになっていた。
(今度はもう少しマシな獲物をくれよ?それじゃあな。)
(確かに...かな?ご苦労さん。)
「さて、ルリィさんにどう説明すれば穏便に済むかな...?」
もう一人の自分を労いつつ、気絶した達磨状態のセッツを抱えダンジョンを出る。外はもう夕方になっており、空は薄紫色に染まっていた。
ルクエに戻る際門兵に驚かれ、ガングさんは俺の生存を喜びつつもルーキー狩りを返り討ちにした事に驚いていた。
そりゃあ人間達磨抱えて来たから仕方ないか...?
「セイエイ様!聞きましたよ!ルーキー狩りの三人を返り討ちにしたって!しかも相手はランクを詐称していたって言うじゃないですか!!」
「そうらしいですね。でも弱かったですし、この通り怪我もありません。」
「金ランク冒険者を弱いだなんて...。あっ!クリス様から伝言を頼まれているんです!」
「なんて言ってました?」
「『コロナル亭』という所で待っているから来いとの事です。」
「分かりました。ガングさん!行きましょう!」
「上司さん見つかったのか?」
「ええ。行きましょう。」
「おうよ!今夜は俺の奢りだ!」
その後、ガングさんにもルリィさんにも、そして都市ルクエにも大きな転機が訪れる事になるのだ。
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