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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第1章「魔王国にて」
19/107

決着、そしてーーー

お陰様で1000PV達成です!拙い文ですがこれからも宜しくお願いします!

「覚悟しろ、ヨハン・リュカオン・シャクショール!お前が間違っていたって事を教えてやる!」

「ほう、私が間違っていたと?何故、そう思った?」


俺はヨハンの元に着くなり宣戦布告を敢行する。そうだ。コイツは一発殴って思想を根本から直さねばいけない。


「命を弄び、命の尊厳を貶めたのがお前の間違いだ。自分の部下も殺して、お前が欲しかったのは本当にそんな力か!」

「私は命をより良い形に変えただけだよ。それに、部下達は『国の役に立ちたい』と言っていた。十分、役に立ったよ!」

「ふざけるな!!やっぱり殴らないと分からないか!!」

「良かろう!来い!」


俺の言葉が開戦の合図になる。ヨハンは小瓶から出した水銀の様な液体を手に垂らすと、それは一旦手を覆った後に一対の剣の形になる。


「ハアアッ!!」

「甘いッ!」


俺はヨハンに殴りかかるも、剣で受け流され反撃を受ける。想定済みだ。その剣を掴み、手に力を込め刀身を砕く。


「ムッ!」


折れた剣は一旦液体に戻った後、再び剣の形に戻る。


「フッ!」


ヨハンが剣をXの字にしながら突撃して来たと思えば、剣を液体に戻し瞬時に槍の形に変えて突いてくる。


「面倒だな!」

「そんな攻撃はァ!」


懐に潜り込みパンチを繰り出すも、拳はヨハンの腹部を守るように広がった水銀に当たり防がれる。

ったく、どこの名門魔術師だお前は...!


「放つ!"アイシクルランス"!!」

「そんな魔法など!」


俺の左拳から出た氷の槍はカーテンの様になった水銀に防がれる。しかし、それを防いだ水銀は凍ってしまう。


「今だ!」

「甘いのだよ!」


水銀を一時的に失ったのはチャンスと思った。しかし氷は砕け、水銀は再び主を守る。


「全て凍らされていたら危なかったぞ!だが、これで終わりでは無いのだろう?」

「当然だ!"エンチャント"!」


右拳に炎を纏い、突撃する。剣による迎撃には赤熱化した拳で応える。水銀は蒸発し、ヨハンは丸腰になってしまう。


「"エンチャント"ごときの炎で私の開発した戦技水銀ジェミナスが蒸発するだと!?有り得ん!」

「そんな事知るかッ!食らえッ!」

「ぐおお!?」


ヨハンに腹パンを決め、そのまま持ち上げ魔言を唱える。


「零距離射撃だ!"ファイアボール"!!」


激しい爆発が起き、ヨハンは吹き飛ばされてしまう。だが、これで終わる訳が無い。案の定ヨハンはむくりと立ち上がり、こう宣った。


「貴様は王に楯突くだけの力を持つと認めよう。私の真の力を解放しよう。見よ、我等シャクショール究極の錬金術を!"秘金霊鳥ガルーダ神気天装アルケミア"!!」


魔言らしき言葉を唱えると、ヨハンの体は眩い光を放つ。


「なんだ!?何が起きている...!?」


光が収まると、そこには霊鳥ガルーダの如き翼を背中に持ち、神官の服装で双剣を構えたヨハンが立っていた。


「この力で私は人の世を、理想郷を創るのだよ!神の力など借りずとも!!」


ヨハンは凄まじい速さで斬りかかって来る。何とか防いだが、手がビリビリする。先程とは比べ物にならないパワーだ。


「ぐッうう...うっあああッ...!」


ヨハンは苦しそうに呻く。何をしたのかは分からないが、あの速さで肉体を改造したのだから、当然の代償か。

またもヨハンは突撃して来る。今度は双剣を掴み、互いに動けなくなる。


「何故人は神に縋るッ!?姿を見せもしない、救いもしない者に頼り、崇める!?何故、何故人はいるかも分からない神を巡って戦える!?」

「そりゃあ...!死ぬ程辛かったら変なモンに頼りたくもなるだろ...!」

「私は神を信じない...!私は救世主にならねばならない!うおおおおお!!」


ヨハンは先程とは違い、理性をいくらか失っている様だった。だが、その言葉から彼が人を愛している事は分かる気がした。


「人こそがこの世界の支配者と成るべきなのだ!」

「そんなの思い上がりだ!この世界は人間だけの物じゃ無いッ!」


ヨハンが強引に振りほどき、空中に飛ぶ。そのまま空中で翼をはためかせ、魔言を唱える。


「翼よ、刃となれ! "デッドリーウィング"!」


翼から離れた羽根が銃弾の様に俺に次々と襲い掛かる。落ち着いて、飛んで来る羽根を一つ一つ確実に落としていく。

しかし、羽根は更に数を増し威力も高くなっていた。時間が引き延ばされるあの感覚がする。世界はスローになり、羽根の軌跡が手に取るように分かる。


(見える!俺なら凌げる!)


全ての羽根を撃墜すると、ヨハンの顔は驚愕に染まっていた。


「まさか凌がれるとは...!ならばこれで終わらせるッ!魂魄錬金術発動! "我が身よ、世界照らす(サクリファイス)標となれ"(ホープ)!」


魔言を唱えたヨハンの体はみるみる内に肥大化し、身長は急激に伸びて3m近い大男になる。


「ワガヒガンノタメ、シヌガイイ!」

「なら俺はお前を倒すだけだ!その希望、粉々に砕いてやる!」


狂化されたヨハンは双剣で攻撃を仕掛けて来る。だが、先程とは比較にならない速さだ。


「キエロ!イマワシイリュウモロトモナア!」

「錬金術師風情が我を倒すと言うか。面白い。助太刀するぞ、セイエイ。」

「あ、ありがとうございます!」


ヨハンは高く飛び上がり、自身の周囲に小さい光の玉を作り出す。その玉を持つと、おもむろに地面に放つ。


「セイエイ!衝撃に備えろッ!」

「え?は、はい!」


刹那太陽の如き輝きが生まれ、割れんばかりの轟音が鳴り響く。


(うおおおおお!?なんだこの爆発!核でも落とされたか!?だが、耐えてみせる!)


発光と爆音は止み、静寂が訪れる。


「無事か?セイエイ。」

「なんとか...。一体何が?」

「我にも分からん。」


なんとか防いだ俺は、状況を確認する。すると、空中にいたヨハンが半ば堕ちる様に地面に着地し、血を吐き驚愕と苦痛で顔を歪ませる。いつの間にか姿は人に戻っていた。


「失敗か...。私の魂程度では星を、宇宙を創る等不可能か...ゴハッ!」

「宇宙を創るだって!?そんな事が出来るのか!?」

「魂とは純粋な無属性のエネルギー。宇宙を構成するエーテルその物だ。魂一つで星を創る事が出来るハズだった...。新世界、楽園を作る事等出来ないのか...?」

「ヨハン、お前の負けだ。シャクショールは滅んだんだ!」

「黙れ!生きている限り、負けではない!貴様も共に連れて行くぞ!」


ヨハンは最後の力を振り絞り、最後の突撃を敢行して来る。俺は、限界突破で迎撃をしようと構えるが限界突破はおろか、身体強化も出来ない。先程の攻撃を防いだ際、かなりの魔力を消費していたのだ。


(身体強化は、持って1、2秒か...。だが!1秒あれば十分だ!!)


ガントレットでガードを固める。


「食らええええ!!」


ヨハンの剣が俺のガントレットに触れる瞬間、身体強化を使いヨハンの脇に回り込む。


「なっ!?」

「これで、終わりだ。」


渾身の一撃をヨハンの脇腹に叩き込む。骨が折れる嫌な感触がする。ヨハンは後ずさりし、苦悶の表情を浮かべる。


「私が!こんな、こんな!私はただ人のあるべき姿を...!そうだ、私はまだ死ねない!私は」


いつの間にか現れた鎌の様なものがヨハンの首に添えられていた。


「な、なーーー」

「大人しく死を受け入れろ。」


ヨハンの背後にいた鎌を持つ人物はそう言うと一切の躊躇無く鎌を引く。ヨハンの首が飛び、血が噴水の様に吹き出る。


「ハァハァハァ...!何だこの悪寒は...!震えが、止まらない!!」

「我が恐れている...だと!?まさか、アレは、あのお方は!?」


俺の脳が、体がアレと戦ってはいけない。今すぐ逃げろと警告を発している。だが足は動かない。それに、リリアナのあんな顔を見るのは初めてだ。


「アズミセイエイ、異世界からの者よ。貴様の目的は何だ?」

「何で、それを...!」


黒い布そのもののような服を着て、顔が見えない程フードを深く被り手には巨大な鎌を持つその長身の人物の声は女性のものだ。

それ以前に、この女性は自分が異世界からの人間だと知っているのだ。


「目的、なんて、な、無い。」


震えのせいで上手く喋ることが出来ない。


「貴様の力は大き過ぎる。私の下で仕事を手伝え。それで貴様が害か否かを判別する。」

「な、なん、で...!」

「セイエイを連れて行くなんて私が許さない!」


戻ってきたアスィは会話が聞こえていたのか、フードの人物に斬り掛かる。


「死ね。」

「えっ?」


無慈悲な鎌がアスィに迫る。避けられない。


(アスィを殺させやしないッ!)


胸に熱いものが流れ込む様な感覚。力が漲る。動かないはずの体が動き、鎌とアスィの間に入り鎌を受け止める。


「私の鎌を止めるか。」

「ハハハッ!アンタ、なかなか良いカラダしてるな。服の上からでも分かるよ。そうだなあ、一晩抱かせてくれるなら付いてってやるよ。」

「良いだろう。私の与える仕事を果たせた暁にはこの体を一晩だけ貸そう。」

「えっあれっ?」


ここでザケンナオラァでヤクザキックじゃないの?


「セイエイ、付いて行っちゃダメ...!」


アスィも上手く喋る事が出来ないのか、か細い声で訴えて来る。ここで断れば、アスィは死ぬ...!なら...!


「見えているぞ。フンッ!」


フードの人物は突如何も無い空間に向かって黒い弾を放つ。その弾は何かに当たり、そこから出て来たのは...


「グッ!」

「お、お父様!?」

「魔王様、何故!?」


出て来た人物は魔王ハルバアスその人である。ホントに見てたのね...。


「ま、待つんだ...。ウッ...。」

「魔王でも手出しをするなら殺す。長居は出来ん。行くぞ。」


フードの人物は黒い渦の様なものを作る。おそらく、ワープのような物なのだろう。俺は、出せる限りの声でアスィの名を呼ぶ。


「アスィ!絶対に迎えに行く!だからっ!」

「セイエイ!私、セイエイの事ーーー」


最後アスィが何て言ったのかは分からなかったが、俺の意識は黒い渦に入った途端闇に沈んだ。


長くなった様な...?気がします!

未だに別の主人公視点に一旦移るべきか迷っています!

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