目覚めし錬金術の王
土日月更新出来ませんでしたすいませんm(_ _)m
「これも違うなー。なかなか使わない物しか無いや。」
俺は『魔法工学部門』の研究室を調査していた。使えそうな物は少なく、魔法陣記憶機能を持たせた魔鋼等、さっき見た所との共同研究が主だったようだ。
「セイエイの使える使えないの基準って何なの?」
「面白い武器を作ってもらう時とかに役に立つ物とか、戦う中で生存率を上げれるのに使える物かな。」
「私も新しい剣が欲しいわ!この剣とは全く別な物がいいなー!」
技術の使い道を考える俺とアスィを、壁にもたれて欠伸をしていたリリアナが急かす。
「セイエイ、早く済ませるのだ。先程と同じ騎士が来るかもしれぬ。」
「了解です!」
ふと、1冊の資料を纏めた物が目に入る。タイトルは...
(『高位エリクサー精製手順』?これはなかなか使えそうだ。)
調査を終えた俺は、リリアナに合図をして先程と同じ方法で部屋の資料を消しておく。次の部屋の調査をする間、暇だろうとリリアナとアスィには燻製を作ってもらう。
ここで一つある事実が発覚するのだ。実は研究室だと思っていた一階の6つの部屋なのだが、半分が食料庫や失敗作を捨てるゴミ捨て場と化していたのだ。なので調査する一階の部屋は次で最後という事になる。
これを知ったリリアナとアスィの感想は
「何か、自立出来てないわね...。」
「予想は出来ていたが研究者というのは...。」
だそうだ。
(次に調べるのは、『人造生命体研究部門』か。そのままだな。ここを調べれば二階の調査もしないといけないし、さっさと終わらせるか。)
扉を開け、魔石灯に魔力を注ぎ部屋を明るくすると、部屋には大小様々なガラスケースが並べられていた。そして、そのガラスケースには色々な魔物が薬品に漬けられて保存されている。
自分の知識に無い魔物もいた。
(これは、ドラゴンの幼体か。リリアナさんが見たら怒りそうだ。)
どこから取ってきたのか、ドラゴンの幼体も保存されていた。そして、部屋の奥には大きい浴槽のような装置があった。中は薬品で満たされており、人間が入っている。
(人造人間か...。やはり上手い使い方は見つからなかったのか。戦闘用にしても簡単な仕事しか出来ないしな。)
一応、部屋にあった書類には目を通して置く。
人造人間の作り方と装置の使い方について書かれた書類も見つかった。
(なるほど、あの浴槽みたいなのは人工子宮って事か。そして全員同じ顔なのは同じ遺伝子って事だよなあ。)
『究極の生命体"亜竜人"生成実験』というにわかには信じられない書類があったが、一応押収しておく。
部屋から出ると、リリアナに声をかけられる。
「む、早いな。もう良いのか?部屋を掃除するぞ?」
「この部屋は俺がやりますよ。ここから..."ファイアボール"!!」
俺の右拳から放たれたファイアボールは部屋に入ると大爆発を起こす。念の為、後二発ほど撃ち込んでおく。部屋に入り確認するが、ほぼ破壊出来ていた。改めてこの武器の凄さが分かる。
「ふう。」
「随分と荒いな。」
「いえ、こっちの方が早いかなって。」
「何を見たのかは聞かぬよ。取り敢えず燻製を食べるぞ。二階に向かうのはそれからだ。」
「分かりました。」
言われた通り、燻製を3人で食べてから二階に向かう。二階には『錬金術部門』と『兵器研究部門』の二部門と、所長と副所長室の四つの部屋があるだけだった。まず向かったのは二階右側の『錬金術部門』だ。
部屋の中はビーカーの様な物等があり、様々な実験がここで行われていた事が分かる。嬉しい事に書類が1箇所に纏められていた。その中から、使えそうな物だけを取っていく。
(『賢者の石へ至る道』か!この世界の錬金術師達もやっぱり目指す所は同じなのか?『魔鋼と肉体の親和性実験』か、この資料は押収って感じになるな。『熱光線機構と魔力転換装甲』とか凄そうだな。)
高速思考で使える書類を選んで行く。もう無い事を確認し、ファイアボールで部屋を掃除する。
次はいよいよ、『兵器研究部門』である。どうやらこの部門だけマッドサイエンティスト率が高い様だ。EXAMとか作ってそうだな...。
扉を開けると部屋の中は書類だらけだった。兵器の様な物は無く、ただメモや纏められた書類が置いてあるだけだった。
「な、何も無いわね...。」
「あっれぇ?」
「実験場は別にあるとみえる。セイエイ、書類を選定するのだ。実験場を見なければ始まらんぞ。」
「そうですね。作業開始します。」
兵器研究部門の資料は惹かれる物ばかりだった。『対装甲ブレード実証実験:結果追記』と書かれた書類や、共同研究したのだろう『魔力炸裂装甲』なんてのもあった。
大量にあったメモの中に"実験場は所長室にある扉から"という物があった。新人が書いた物だろうか?なんにせよ、手間が省けたからいいのだが、一階正面のあの部屋が所長室だったんだ。二階のはダミーか?
「アスィ、リリアナさん一階の所長室に行きましょう。実験場はそこから行けるらしいです。」
「えっ!アレ所長室だったの?扉開くんだ...。」
「我も"どうせ倉庫であろうな"としか考えていなかったのだが...。」
(所長室ェ...。)
気を取り直して倉庫兼所長室に向かう。
所長室を開けると、中は壮大な書斎だった。中央の古びたデスクには地球儀の様な物、金で作られた竜の彫像が置かれていた。
そして、部屋の奥には大きい扉がある。あの先に実験場があるのだ。
「行きましょう。」
「ええ。」
「警戒を維持しながら入るぞ。付いて来い。」
リリアナ、俺、アスィの順番で実験場に入っていく。
扉の先には広い空間があった。土の地面、そこかしこに放置された機械。ふと気付く。部屋の中央に何かある。あれは...棺桶か?
俺が観察していると、その棺桶が開き中から人が出て来る。
「おはよう、侵入者よ。」
金色の装飾が施された豪奢な衣装を着た、燃えるような赤髪の人物は開口一番そう宣う。
「人、か?」
「私は元人だよ。シャクショール第36代国王、ヨハン・リュカオン・シャクショールだ。私は君達をここから返す訳にはいかない。我等の"人生"そのものと言える研究の成果を奪いに来た君達を...!」
「黙れッ!命を軽視する愚か者共が!いい度胸だ。我が貴様諸共ここを消し去ってくれる!」
「人こそが!神として君臨するべきなのだよ!竜如きに我等の何が分かる!?起きろ!我がしもべ達。侵入者を生きて返すなッ!!」
(相変わらず血の気多いよリリアナさーん...!)
ヨハンがそう言うと、周りにあったガラクタが一斉に動き出す。いや、ガラクタでは無い。中には魔鋼強化兵士や人造人間もいる。そして王の後ろには巨大な武装ゴーレムが聳え立っていた。
「『ルテチオン』、起動。」
「何で、ここで待っていた!?何故ここに来ると...!まさか、あのメモ...?」
「そうか!アレを読んで来たか!注目する魔術を仕込んで置いたからな!アレを読めば侵入者は更に宝を求めて来る!私には確信があったのさ。フハハハハハッ!!」
あの膨大な量のメモからアレを見つけるなんて確かにおかしい話か...!
「では、始めようか。シャクショールに栄光あれ...!」
こうして俺達は悠々と待ち構えていた古代の錬金術の王との予想外の戦いに臨む。
寝ぼけて書いた所があるので誤字あるかもです!
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