主の盾
遅れたなんてもんじゃないですがどうぞ。短いですが、続きをなるべく早く書きます。
「アーサー、前方に大きい魔力反応。迎撃準備を整えるまでの時間稼ぎの戦力かと。」
「早々に突破して侵攻する。全軍、戦闘準備!」
アルハムの掛け声でシュレア兵士は進軍の速度を速める。
直ぐに前方から敵の姿が視認出来た。が、それを見てルインは驚愕する。
「馬鹿な...!たった数人で!?こちらは五万だぞ!?」
「魔力反応の大きさと数が合わない...。アスカントは本気で時間を稼ぐつもりの様だ!全員構えろ!敵は聖騎士だ!」
アルハムがそういうやいなや前方から光の剣が飛来する。
「ぐああ!?」
「ぎゃっ!」
「面倒な魔法だ...だが。」
光の剣に王国側の兵士や冒険者が貫かれていく中、クリスは大剣を前方に思い切り投げる。
「ッ!?」
「反応は良かったが、それだけだ。」
聖騎士の一人は咄嗟に魔法で光の壁を作るが、クリスの投げた大剣はそれを易々と中の聖騎士ごと砕く。
聖騎士を砕いた大剣は勝手に動きクリスの手元に戻って来る。
「まずは一人。」
「その剣どうなってんです?」
「『魔剣』というやつだ。使い勝手が良い。」
「アルの持つのとは違うんですか?」
「『聖剣』は持ち主の精神状態に大きく左右されるが、これは持ち主の魔力に左右される。気持ちでどうにもならんやつだな。」
「なるほど、って戦闘中でした。」
聖騎士達の魔法の弾幕に慣れない兵士達は必死に防ぐか、出来ずに当たるかのどちらかだった。聖騎士達は押すと引くを繰り返し、着々と損害を与える。だが『円卓の騎士』達は違った。
「ハッハァ!!死に晒せぇぇぇ!!」
「なんだ!?」
「聖騎士さんよォ、俺と遊んでくれや!!」
「賊がッ!」
「邪魔っ!」
「卑怯...なっ!」
「おおっと、息の根はきっちり止めなきゃな。」
「ぐぇっ。」
アモンの剣を防いだ聖騎士は後ろから飛ぶように移動するアスィに大盾で殴打され、アモンにとどめを刺され息絶える。
「頃合いね。」
「撤退を。私達が時間を稼ぎます。」
「了解。貴殿らに主の御加護があらんことを。」
「一人逃げるぞ!」
「アレは...翼!?」
「誰か狙えないのか!?」
「あれは...天使翼か!」
「となると、顔が見えませんでしたが、アレは恐らく隊長格でしょうか...。」
「取り敢えず、今は目の前の敵を倒す。どうやら退く気は無いらしい。」
「了解しました。」
翼を出した人物はとうに魔法で狙えない高さまで舞い上がっており、追撃は出来なかった。そしてそれを追わせまいと残りの聖騎士が道を阻む。
「どいてぇぇ!...どけぇぇぇぇ!」
「ああっ!?」
「ブリック!ぐおおっ!?」
しかし凄まじい速さで突進して来るアスィの速さを捉えきれず、二人の聖騎士は呆気なく大剣で斬り飛ばされる。
「よっと!」
「小癪なっ!!」
「すみませんっ!」
「ぐぅ...!?」
ガングさんが注意を引いている間に後頭部を殴打し聖騎士を気絶させる。周りを見ると動く聖騎士は居なかった。
「セイエイ!大丈夫!?」
「無傷だよ。アスィは凄いね。それを持ったままあんなに動けるなんて。」
「これ直接殴ったりも出来るからたまに便利なのよね。まあ剣の方が早いんだけど。」
段々と増していくアスィの力が気になるが、今は進軍の方に目を向ける。
「全軍前進する!アスカントまで後少しだ!」
兵は減ったがそれでも被害は少ない。王国軍はアスカントへの侵攻を再開する。
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「見えるかセイエイ、あれがアスカントだ。」
「城壁が高い...。それに...。」
「変に時間を稼がれたせいで準備を整えられたな...。」
アスカントはシュレア王国より高い城壁に囲まれていた。既に軍が展開しており、白銀の鎧に身を包んだ騎士達が整列していた。そしてちらほらと装飾の施されたゴーレムもいた。
「敵の数はこちらより少ないが...」
「前方に聖騎士、その先頭に『金剛』シェイズ・ユース。戦力差はあまり無いかと。」
「アスカントの五騎士の一人がまさか聖騎士隊の隊長とはね。だが相手にとって不足は無い。さて、開戦の合図を...」
「その必要は無い。」
クリスはアルハムの声を遮りながら、大剣を構えそのまま上に上げる。
「一撃で終わらせて見せよう...。」
「クリスさん...!?何をする気だ!」
「猛ろッ!」
クリスの声に応えるように大剣はその大きさを増していき、終いには天を衝く程の巨大な剣が出来上がる。
「潰れろオォォ!!!」
天を衝く大剣はそのままアスカント軍を粉砕するかと思われた。
「...何?」
「巨大な...バリアー?」
「構うものか!...ハァァァァァ!」
クリスは大剣を持つ手に更に力を込め、壁を割らんとするが、壁は一向に壊れる気配が無い。
「チッ...!シェイズの魔法だなこれは...。」
クリスは舌打ちをしながら大剣を元の大きさに戻す。
「クリスさん、勝手な真似はやめて下さい!今のは国ごと切りかねなかった!」
「どうせ教皇と枢機卿はとうに逃げている。構わんだろう。」
「しかし罪の無い非戦闘員が...!」
アルハムの指摘を受け、クリスはハッとして顎をさする。
「......失念していた。以後気をつけよう。」
「?クリスさんらしくない...。とりあえず今は迎撃!全軍続け!」
アルハムの号令でシュレア王国軍は一斉にアスカント軍へと向かっていく。
「主よ...いえ、今はもう私の信ずる神は居らず...。クリス様...例えこの戦いが間違っていても、私は戦います。お許しください...。」
また遅くなるとは思いますが、一応続きは書きますので...




