表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界転生先で】アジュールの魔女【女装して菓子作り】  作者: 衍香 壮
第2ルセット「魔女、城で菓子作り」
11/57

第11話「魔女は名乗る」

「どうしてエディを……」

「ソイツも読唇術が出来るからだ。ついでに護衛も兼ねてあるから、好きに使え。構わないな? エディ」

「クソ王子のお世話をしなくていいなんて、この上ない幸福でございます。異論はありません」

「……ということだ。エディはメイドの真似事も出来る。身の回りの世話も任せるぞ」

「エディは王子の護衛なんですよね? 俺なんかよりクローディ……さんに付いてなくていいんですか?」

「敬語じゃなくて良い。敬称も要らん。余は自分の身くらい自分で守れるからな。心配は要らんぞ」

「そういうわけだ。よろしくな」

「でも……」

「お前は、今、自分が危険な立場に在ると分かっているか?」

「え?」

「お前がいくら男であろうが、見た目は女。しかも美人だ。菓子作りをする者なら、アジュールの魔女の噂も聞いたことがあろう。

 その魔女を城へ連れてきた。まず焦るのは誰だ? マディ」

「今現在〝城の大魔女〟を務めている者です」

「正解だ。では、エディ」

「魔女は当然、女。女の嫉妬は怖いからな」

「そういうこと。つまりいつ毒を盛られても、寝首を掻かれてもおかしくないというわけだ」

「おまけに花嫁の話もあるからね~、メイド達は躍起になって、王子の目に留まろうとしている中に美女登場。まぁ、嫉妬されちゃうよね~」

「そういうことだ。この城の女達は、敵だと思った方がいい。逆に男たちは、鼻の下を伸ばしていたからな。存分に女の武器を用いて味方に付ければよい」

「いや、俺、男なんだけど……」

「だからなんだ? お前がされて嬉しいことをしてやればいいだけだ。簡単ではないか」


 されて嬉しい事。以前の世界でも、今の世界でも恋愛事には、てんで縁の無かった俺。暫し逡巡するも、良い考えは全く浮かんで来なかった。


「ないな」

「乾いた男だな。まぁ、よい。好きに過ごせ、余は基本ココにいる。菓子を作ったら届けるのを忘れるなよ」

「はぁ……」

「なんだその間の抜けた返事は。我らは勝負をしているのだぞ? もう少し覇気がある声を出せ。

 離れに部屋を用意してある。生活に必要な物は一通り揃えてあるが、必要な物があったらエディに言え。大抵の物は見繕ってやる。それと、菓子作りに関して金に糸目を付けるなよ。足りない材料があったら言え。質問はあるか?」

「今のところは……」

「そうか。ところでアジュール殿。御前の名は何と言う」

「は?」

「アジュールは通り名だろう? 本名を教えよ」

「リシャール。リシャール・クラピソン」

「リシャールか。これはまた男か女か分からん名だな。愛称はなんだ? リクか? リッキー?」

「リク」

「そうか、ではそう呼ばせてもらう」

「分かった」

「晩餐を用意してある。エディに毒見させてから口にしろ。他の物も基本エディに与えてからだ。よいな。

 余はこの後、用がある。エディ、部屋まで案内してやれ、またなリク」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ