言葉のゲーム
コトノハの国は国ってわりには小さいです。バチカン市国くらいです。人口もそのくらいです。
「くそっ!!愚民共のせいで大損じゃないか!!くくくっ、まあいい。損した分はしっかりと取り戻させてもらうからな。」
全世界に向けて発信するゲーム中継の準備をしながら大きな黒い影はほくそ笑んでいた
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こんなことが許されるのだろうか。
昨日まで毎日が憂鬱だった。だが、それも昨日までの話だ。
今は毎日、一日中自分の好きなことだけをして生きていられるのだ。
働いている人や勉強する人などは一人たりともいなかった。
滅茶苦茶な生活に後ろめたさを感じなくなってきたあの日
入国者は自身の怠慢と軽はずみな好奇心の代償を支払うことになった。
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「愚民共っ!!今の生活で満足か!?どいつもこいつも少し甘やかしてやるとダラけてばかり…。非常に残念だ!こうなっては仕方がない。不本意だがお前たちには一つのゲームに参加してもらう。そのゲームで勝ち残った者だけを我が国の国民と認めてやる。」
突然スピーカーから発生した大統領の怒声はコトノハの国全域に響いた。
大統領は全国民に国の中心にある巨大な競技場に集まるように指示した。『従わなかった者は殺処分だ』と脅しながら。
そうして集められた国民全員に銃とゴーグルを配布しながら『これは本物なのか?』という国民の不安と疑問を無視して言い放った。
「お前たちには命をかけたゲームに参加してもらう。詳しい説明は後ほどお前たちの自宅のパソコンに表示させるので確認しておくように」
説明を終えた大統領は国民の罵詈雑言を背に浴びながら静かに何処かへと去っていった。
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パソコンに表示される文字一つ一つが僕を戦慄させた。
『一日一回、抽選により対戦相手を決定する。ゲームは一日に5つ同時進行される。』
『ゲームに勝利するための条件は二つ。一つはゴーグルを使用しながら対戦相手の銃を視認し自宅のパソコンにキーワードを入力すること。二つは銃を用い対戦相手を殺害すること。』
『ゴーグルを用い対戦相手の銃を視認した場合、対戦相手のキーワードが表示される。対戦相手のキーワードを自宅のパソコンに入力すると対戦相手の銃とゴーグルがロックされ勝利することが不可能な状態となる。キーワードを入力されたプレイヤーは殺処分される。』
『制限時間が終了してもどちらのプレイヤーも生き残っている場合は引き分けとし、翌日再び抽選で別の対戦相手を決定する。』
『ゲームに勝利するとポイントが1つ加算される。ポイントを3つ入手したプレイヤーは勝ち抜けとする。』
『ポイントを3つ入手する前に対戦相手がいなくなってしまったプレイヤーは殺処分される。』
『最初のゲームは明日8時より開始される。抽選結果は7時に発表されるので確認すること。』
「なんだよこれ…。本気で殺しあわせるつもりなのか…?」
僕がパソコンの前から離れられずにいると自宅のチャイムが鳴り響いた