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フェンリル派遣

“七つの頭と十の角を持つ獣が、底知れぬ淵からやってくる。

創造のはじめから命の書に名が記されていない人々は、あの獣に王の力を与えるだろう。”




「――先遣隊が、全滅?」


 横須賀のシェルター『ワダツミ』へのフェンリル派遣が決定してから、三日。


 派遣チームのリーダーを任じられたのは『ヴォルフ』のトップである六花だ。

 雪のように白い髪と、大きなアーモンド型の青灰色の瞳を持つ彼女は、総じて美しい容姿を持つハルファスの中でも一際目立つ存在だ。


 ネフィリム対策研究室極東支部の最高傑作と称される彼女は、実戦における個人討伐数こそ目立ったものではないが、その統率力と状況判断能力は群を抜いている。


 彼女が率いる『ヴォルフ』は、個人技に頼りがちな他チームに比べ、実戦での人員及び装備の損耗率が極めて低い。

 そのため、今回『ラオデキア』の精鋭を集めて編成した『ワダツミ』派遣チームのリーダーに彼女が選ばれたときも、異論を挟む者はいなかった。


 主なチームメンバーは、精神的にまだまだ不安定なフェンリルの専属サポーターでもある『ヴォルフ』のセカンド冬騎、『フォーゲル』のサード壮志、『レオパルト』のセカンド芽依、『レーヴェ』のファースト陽人。


 彼らはそれぞれ『ラオデキア』トップクラスの実力の持ち主であり、陸上高機動車の運転技術にも優れている。


 二台の高機動車で『ワダツミ』への最短距離を突っ切る予定だったのだが、数時間後に出発を控えていた彼らのもとに、先遣隊全滅の報が入った。


 広々とした待機室で、高機動車の最終チェックを待っていた仲間たちがざわつくのを、六花は軽く右手を挙げるだけで制する。


 報せを持ってきたのは、陸上自衛隊の制服を着た壮年の男性。

 六花たちが幼い頃に、近接戦闘の基礎を叩き込んだ教官でもある彼の名は、三隅裕吾。階級は准尉だ。

 彼は持ちこんだ地図で先遣隊のロスト地点を示しながら、よく響く重い声で状況を説明する。


「先遣隊六名は、対ネフィリム甲一種装備だった。アズラエルタイプが相手でも、全滅する前に現場を離脱し、シェルターに帰投することは可能なはずだ」


 六花は、軽く柳眉を寄せた。


「わたしたちの進行方向に、アズラエルタイプ以上――上位種のネフィリムがいる、と?」

「そうだ。『イスラフィールタイプと遭遇』という報告を最後に、先遣隊の反応がロストした。もし彼らの報告が正しければ、とんでもない大物が潜んでいたことになるな」


 そうですか、と六花はうなずく。


「了解しました。――先遣隊ロスト地点を迂回するルートを選択した場合、『ワダツミ』到着が最低でも八日は遅くなります。それでは、完全抗体サンプルの保冷ケースが保ちません。また、迂回ルートに別種のネフィリムが存在している可能性も否定できないでしょう。このままのルートでイスラフィールタイプを排除、『ワダツミ』に向かいます」


「そうか。……おまえたち以外に、イスラフィールタイプを討伐できる者はこの国にはいないだろう。上位種が生きている限り、いずれにせよ我々に未来はない。自分の力と仲間を信じろ。おまえたちは、我が国最高のハルファス部隊だ。訓練通りにやれば、必ず任務をまっとうできる。――全員、生きて帰ってこい」

「はい!」


 三隅の命令に六花たちが敬礼を返したとき、「ふにゅう……」と緊迫感とはほど遠い、緩みきった声がした。


 部屋の隅に積まれた荷物の陰で、頭から毛布にくるまっていたその声の主は、もそもそと体を起こすと手の甲で目元を擦った。かふ、と小さくあくびをする。

 そして部屋の中心で自分を見ている三隅に気がつくと、きょとんとした顔で首を傾げた。


「おじさん、だぁれ?」


 三隅は一瞬で『謹厳実直な指導教官』から『気のいい近所のおじさん』モードにシフトした。


「やぁ、はじめまして。おじさんは六花たちの先生をしている、三隅という。きみは、新堂拓己くんだね?」

「う、うん……あ、はい。そうです。えと、みすみ、先生?」


 あどけない口調で確認する拓己に、三隅はにこりとほほえんだ。


「ああ。今日はきみたちが旅に出ると聞いてね。見送りにきたんだ」

「あ……ありがとう、ございます?」


 しどろもどろに答えながら、不安げに視線を揺らす拓己に冬騎が駆け寄る。

 黒銀の髪の保護者を見た途端、拓己はほっと表情を緩ませた。


「冬騎お兄ちゃん」

「おはよう、拓己。大丈夫だぞー、このおじさんは見た目はちょーっと怖いが、中身は編み物とパッチワークが趣味の愉快なおじさんだから」


 拓己は遠方への旅立ちを前によほど緊張していたのか、昨夜はほとんど眠れなかったらしい。

 出発前に少しでも眠っておけと、問答無用で彼を毛布にくるみこんだ冬騎の言葉に、拓己は目を丸くする。


「編み物と、パッチワーク?」


 自衛隊の制服に身を包んだ三隅は、短く刈りこんだ髪と太い首、がっちりと鍛え上げられた体躯を持つ堂々たる偉丈夫だ。

 口ほどにものを言う拓己の目が「そのごっつい手で、どうやって編み棒や裁縫針を持つんだろう」と三隅を見つめる。

 三隅は厳かにうなずいた。


「編み物もパッチワークも、集中力の鍛錬にとても役立つんだよ。六花たちが小さな頃には、よくセーターやマフラーを編んでやったものだ」


 拓己がぱちくりと目を瞬かせる。


「お母さん?」

「……せめて、お父さんにしておいてくれないかね」


 三隅ががっくりと分厚い肩を落とすのを、ハルファスの少年少女はそのときはじめて目撃した。


 末っ子らしく少々人見知りの強いところのある拓己だが、どうやら三隅のことは『怖くないひと』だと認識したらしい。

 立ち上がり、改めてぺこりと三隅に会釈する。

 それから彼は、ふと六花に視線を移した。


「六花お姉ちゃんも、編み物できる?」


 六花は指揮官モードの無表情のまま、淡々と答える。


「わたしが三隅教官から学んだのは、近接戦闘と武器の扱い。編み物やパッチワークの技術は、教わっていない」


 そっかぁ、と残念そうに眉を下げた拓己は、次いで冬騎を見た。


「冬騎お兄ちゃんは?」


 冬騎は苦笑し、ひょいと肩を竦める。


「右に同じくだ。一応言っておくが、壮志も芽依も陽人も、編み物とパッチワークは習ってねぇと思うぞ」


 そこで、すっと右手を挙げた者がいた。

『フォーゲル』の壮志。

 白銀の髪に褐色の肌、見る者に鋭利な印象を与えるアイスブルー色の瞳を持つ彼は、メンバーの中で最も小柄だ。

 しかし、その華奢にも見える体躯には、自分よりも遙かに大きな相手でも一撃で仕留められるだけの力が秘められている。

 普段からあまり愛想がいいとは言い難い性格の彼が、作戦関連事項以外を口にするのはかなり珍しいのだが――


「おれは三隅教官から、編み物とパッチワークの技術も一通り学んでいる。拓己くんが望むなら、そのうち披露させてもらおう」


 あっさりと告げられた言葉に、拓己は驚いたように目を見開き、そのほかのメンバーは仰け反った。


 拓己は、『ヴォルフ』の六花と冬騎以外のメンバーとは、今日が初対面である。

 今朝の顔合わせで一通り挨拶はしているものの、そのあとすぐ冬騎に毛布の中に押し込められたため、壮志とまともに会話をするのはこれがはじめてだ。

 じっと自分を見上げてくる彼に、恐る恐る口を開く。


「えっと……壮志、お兄ちゃん?」

「ああ。『フォーゲル』の壮志だ。きみに会えるのを楽しみにしていた。よろしく頼む」


 拓己が戸惑った顔で冬騎を見る。

 冬騎は、黙ってうなずきを返した。


「……よろしく、お願いします」


 ぎこちなくだが、確かに壮志に笑顔を向けた拓己を見て、『レーヴェ』の陽人と『レオパルト』の芽依がぐっと拳を握りしめる。

 そんなふたりに、三隅は何食わぬ顔で声をかけた。


「陽人。芽依。編み物とパッチワーク技術を学びたいなら、いつでも言え。俺はいつでも歓迎する」


 途端に、メンバーの中で最も体格のいい陽人と、同い年の少女の平均より十㎝ほど背の高い芽依が、同時に三隅を振り返る。


「結構です! つーか、俺がそーゆー細かい系の作業、どんだけ苦手か知ってんでしょうが! いやみか!」


「私も手先の作業は苦手だが、最初からトライもせずにあきらめるほど惰弱ではない。――三隅教官、フェンリルの『ワダツミ』派遣護衛任務から戻ったら、ぜひご指導ください」


『レオパルト』の芽依は、金褐色の髪を少年のように短く整え、健康的な浅黒い肌にすらりとしなやかな体つきをしている。

 鮮やかな緑色の大きな瞳が印象的な、美しい少女だ。


 彼女に『惰弱』と言われた陽人が、くわっと金色の目を吊り上げて喚く。


「誰が惰弱だ! 俺は、適材適所という言葉の意味を正しく理解しているだけだ!」


 芽依は、はん、と鼻で笑った。


「図星を指されたからといって、大きな声を出すな。見苦しい」


「――陽人。芽依」


 そこに、三隅の低い声が響く。


「子どもの前で、喧嘩をするな」


 陽人と芽依は、再び同時に拓己を振り返った。

 冬騎の背中にひっついて、怯えたように彼らを見ている拓己の外見は、芽依よりも背が高い二十歳前後の精悍な青年である。

 見た目だけならチーム内で最年長なのだが、その中身は九歳のお子さま。


 男らしく端正に整った容姿の青年に、幼く無垢な瞳で「けんかは、よくないと思います」とうるうる見つめられ、獅子の少年と豹の少女は顔を引きつらせた。

 ぎくしゃくと互いを見て、ぎぎぎ、と油の切れた機会のような動きで両手を挙げる。

 中途半端な高さで、ぺち、と手のひらを触れ合わせる。


「ア、アミモノ、ガンバレー?」

「ウン、ガンバルー」


 そんな彼らの様子を見ながら、冬騎はひそかにため息をついた。


(『ヴォルフ』以外の連中は、今まで接触がなかった分『人類の希望』にやたらと夢見ちゃってるカンジなんだよなー。……まぁ、コイツがキレたところを一度でも見りゃあ、どん引きコースか崇拝コース……。どうかどん引きコースであってください、お願いします)


 崇拝コースに入った大多数の『ヴォルフ』メンバーを見ていると、つくづく勘弁してくれと言いたくなるのだ。

 そういった連中は、必ず冬騎に対して「いいなー、いいなー」という視線をびしばし向けてくるため、鬱陶しくて仕方がない。


 ――今回、冬騎が拓己に言って聞かせてあるのは「『ラオデキア』のほかにも、非難した人々が収容されているシェルターがある。もしかしたら、そこに姉の沙弥がいるかもしれない」という、ひどい嘘だ。


『ワダツミ』に収容されている子どもたちの中に、新堂沙弥の名前はない。

 あちらの医療施設で、名がわからないまま治療を受けている者たちの中にも、彼女の年齢と外見情報に合致する少女はいなかった。


 それでも、拓己に自らの意思で『ワダツミ』に向かわせるために――たとえ彼を守る自分たちが全滅しても『ワダツミ』へ進む道を選ばせるために、冬騎は笑って嘘をついた。


 存在しない望みを見せて、彼の幼い心を踏みにじって。

 すべては、今この国に生きている者たちを、おぞましいウイルスの恐怖から解放するために。


 陽人と芽依が言い争いをやめたのを見て安心したのか、拓己がほっと息を吐く。


「さっき、寝てるときにね。お姉ちゃんの夢を見たんだ」

「……夢?」


 振り仰いだ冬樹に、拓己は嬉しそうにうなずいた。


「ちゃんと待ってるから、ゆっくりおいでって。何か危ないことがあっても、お姉ちゃんが守ってあげるから大丈夫だって、笑ってたよ」


 ――夢は、見る者の願望を映し出すもの。


「どうせなら、お姉ちゃんが今どこにいるのか、ちゃんと教えてくれたらいいのにさ」


 しょんぼりと言う拓己の背中を、冬騎はぽんぽんと軽く叩く。


「……沙弥ちゃんも、おまえと一緒に夢を見てたんだろ。だったら、少しくらいぼーっとしてたって仕方ねぇさ」


 そうだね、と拓己が笑う。


「ぼくも、夢の中だといろんなこと忘れちゃうし。お姉ちゃんに、冬騎お兄ちゃんたちの名前を教えてあげよう、って思ってるんだけど……。なんか、いっつも忘れちゃうんだ」


 へにょりと眉を下げた拓己は、ふと何かを思い出したように瞬きをした。


「あ、そうだ。お姉ちゃんが、ぼくのそばにいる大人のひとに伝えなさい、って言ってたんだった」


 拓己の幼い瞳が、三隅を映す。


「これからぼくたちが行くところにいる、でっかい化け物ね。お腹がすきすぎて動けなくなっちゃったから、普段は砂の中で寝てるんだって。人間が近づいたら、目を覚まして襲ってくるから気をつけて、って」


 三隅は一瞬、目を細めた。

 それからすぐに、にこりと笑って拓己を見返す。


「……拓己くん。その――沙弥ちゃんは、どんな化け物だかは言っていなかったのかな?」


 拓己はきょとんと目を丸くしてから、眉を寄せてむーん、と考える顔になる。


「なんか……すごく、でっかいって言ってて。あとは……えと、すごくうるさい、のかな? 耳栓がいるよ、みたいなこと言ってたような……? ごめんなさい、あとは忘れちゃった」


 申し訳なさそうに拓己は体を縮めたが、その場にいた面々は彼の言葉に驚きを禁じ得なかった。


 彼らの進行方向にいると思われる、イスラフィールタイプのネフィリム。

 その特性は、彼らの持つ特殊な声帯による音響攻撃だ。

 人間の集中力を、著しく減退させる周波数の音を発して獲物の動きを鈍らせ、捕食する。


 急激に成長した体が安定し、それと同時に発現した熱量支配能力をある程度使いこなせるようになった時点で、即実戦投入された拓己は、ネフィリムの種類も特性もほとんど知らない。


 それに彼は、三隅と六花がイスラフィールタイプが存在する可能性について論じていたとき、まだ眠りの中にいたはずだ。


 なのになぜ、拓己はイスラフィールタイプに対する警告を口にするのか――これもまた、彼の未知なる異能のもたらす福音なのだろうか。


 内心はどうあれ、表面上は平静を保っていた三隅が「そうか」とうなずく。


「大丈夫だよ、拓己くん。きみたちが装備しているイヤープロテクターは、うちの技術開発部の自信作だ。六花が指示を出したら、すぐに装着するんだよ。お互いの声も聞こえなくなってしまうが、彼らは優秀だ。ハンドサインだけでも、きちんと連携して戦うことができる。安心して、任せていなさい」


「いやーぷろてくた?」


 こてんと首を傾げた拓己は、冬騎を見る。

 冬騎は彼のウエストに装着されているボディバッグのひとつを勝手に開き、中からイヤーフックタイプの装備品を取り出した。

 未開封のパックを破り、彼は手のひらに載せたそれを拓己に見せる。


「Rって書いてある方が右耳で、Lって書いてある方が左耳用な。一度、つけてみろ」

「うん。――これでいい? のかな?」


 冬騎はうなずいた。


「拓己。オレの声が聞こえるか?」

「え? わぁ、すごいすごい! ホントに全然、聞こえないね!」


 はしゃいだ拓己は、しかしすぐに顔をしかめてイヤープロテクターを外した。


「……声が聞こえないって、ヤだ。なんか……すごく、不安になる」


 拓己の聴覚は、獣の特性を持つハルファスほどではないが、通常の人類よりも遙かに鋭い。

 さまざまなタイプのネフィリムとの戦いに備え、視覚・聴覚・嗅覚を封じた状態での戦闘訓練を重ねていない彼にとって、音声情報を遮断される状態は非常に心許ないものなのだろう。


 冬騎は苦笑し、手を伸ばして拓己の髪をわしゃわしゃと撫でる。


「仕方ねぇだろ。六花がこれを付けろって言ったら、おまえはオレがいいって言うまで車の中でじっとしてろ。敵の出す音で、頭がぼんやりしたおまえに仲間が焼き殺されたり、氷漬けにされたりするのはごめんだからな」


 一体どうやって個体識別しているものなのか、拓己はどんなひどい暴走状態に陥っているときでも、冬騎だけは攻撃対象としたことがなかった。

 もちろん、これからもずっとそうであるとは限らないため、常に注意を怠ってはいない。

 だが今現在、確実に拓己のストッパーとなれるのは、彼に保護者認定されている冬騎だけだ。


 拓己は、むぅ、と唇を尖らせた。


「そんなこと、ぼくしないもん。火だって氷だって、だいぶ上手に使えるようになったんだから」


「わかってる。でも、これから行くところはオレたちもよく知らない場所なんだ。おまえに勝手に動かれると、戦いにくくなっちまう。いい子だから、言うこと聞きな」


 冬騎の言葉に、拓己はこくんとうなずいた。

 それから不安げな顔になって、冬騎のジャケットの裾をぎゅっと握る。


「けがしたら、やだよ。冬騎お兄ちゃん」

「……ああ。わかってる」


 ――これで拓己の外見が中身通りの九歳児なら、非常にほほえましい情景なのだろう。

 しかし、現在彼の外見は二十歳前後の立派な青年である。


 普段からあまり拓己と接触する機会がなく、『人類の希望』というフィルター越しに拓己を見ている者たちには、彼が何をしようとオールオッケーで問題ないのかもしれない。


 冬騎自身はといえば、拓己が今の姿に変容する過程をずっと見守っていたせいか「いくらナリがデカくなっても、コイツはオレが拾った庇護対象のチビ」という意識が完全に刷り込まれているようだ。


 いつでもどこでもどんなときでも、群れの子どもを世話する年長者として、実に甲斐甲斐しくめんどうを見ている。


 だが、常日頃から彼らと行動をともにし、すでに拓己に対して『黙っていれば美青年、口を開いたらただのガキ、戦場では取扱要注意の最終兵器』という認識を得るに至っていた六花は、指揮官モードの無表情の下で思った。


 早くほかのメンバーたちがフェンリルに対する『人類の希望』というフィルターを破棄して、彼らの仲睦まじい姿を見るたび自分と一緒に微妙な気分になってくれないかな――と。

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