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ティーチャーライフ  作者: 新崎 真
創と数裏の章
2/5

思い出

俺が卒業したとき、悲しんでくれた奴がいた。

『先輩っ…先輩やだっ、行かないでっ…やだっ』って。

そんなことは初めてでとても嬉しかったのを憶えてる。

そいつはもうそんなこと忘れてしまったかもしれないけど、それでも、今でも俺は憶えてる。

…数裏が俺を大切に思ってくれてたこと。

あの時の俺は誰も信じられなくて、夢をただ一心に追いかけていた。教師になるって夢。少しして、数裏に出会った。数裏はあんまり今と変わってなくて。今と違うって言ったら、泣き虫じゃなくなったこと。

あの時の数裏はずっと俺の後を追いかけてた。部活でも学内でも、『先輩っ先輩っ』って。そんな数裏が可愛くて『こっちこっち』なんてからかったりしてた。

……卒業する時まであいつは泣き虫で、泣やますのに苦労したことを憶えてる。





「生家先生…?」

そんなことを考えながら歩いていると隣から声が聞こえた。

「あ、あぁ駒替先生どうしました?」

「あ…えっと……そこ…どけてもらえますでしょうか……」

みればそこには、数裏の授業道具が置いてあった。

「あ、あぁ…すみませんね。これですね…はい」

俺は数裏の授業道具を渡す。するとありがとうございますっって言って授業の準備を始める。相変わらず可愛い。

生徒の中ではプロ学のお姫様っていうあだ名で通ってるらしい。まあ実際男ばっかりの中で、数裏はかなり可愛くて女の子みたいだけど。

プロ学では、中等部から授業は強制参加ではなく、自主参加制度になっているが数裏の授業はいつも席が全て埋まっている。

数裏は自分ができるなら生徒たちが楽しめてそれでいて生徒たちのためになる授業をしているから、生徒たちは絶対休まない。これはどんな生徒に聞いてもどんな先生に聞いても同じ答えが返ってくると思う。


授業が終わる。数裏のところにはいつも、質問の人だかりができる。丁寧に説明してくれるから生徒も聞きたくなるんだろう。次の授業が始まっても、数裏の授業がない限りは質問に答えてくれるし、もし、その場で聞けなかったとしても、事前に言っておけば数裏はいつでも教えてくれる、もちろん授業のない時間に。

そんな数裏だから、みんな数裏が大好きなんだ。

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