side /ユイ(5)
学生時代の友達と会い、映画を見た後にお茶を飲みながら
ユイはふとハタノとの顛末を話す気になった。
「げっ!信じられない!よくそこまで好き勝手つきあわせたわね!」
途中までの説明で、友達は引き気味に評価した。
「そいつ、すっごいバカ?それともとんでもないお人好し?M? 」
言えない。
セクハラ上司に尻掴まれた話とか、やり逃げされた話とか全部聞かせちゃってること。
しかも6年振りに再会した時なんか、ハタノのスーツに。
うわ、あたし、サイテー!
「だって、フツーに友達だし、昔から面倒見のいいヤツだし」
言い訳がましく言って、ケーキにフォークを突き刺すと
「あたしだったら、寝オチ承知で呑み続ける女なんか捨てて帰る」と、指を突きつけられた。
「しかも、世話やいても何もできないって、メリットないし」
それは、確かに認める。ハタノにメリットはない。
「何にせよ、どっちかに相手ができたら、もう一緒に遊べないじゃない?」
「なんで?」
ユイの質問に、友達は笑った。
「あんただったら、自分の男が他の女と夜通し酒呑んでたらどう思う?フツーはね、酔っ払って泊ったりしたら、こいつら寝ちゃったんだって判断するわけ。カノジョに疑われてまで、酔っ払いの面倒みたりしないし」
ユイの思考停止状態の顔の前で、友達は手をかざした。
「おーい、今まで考えてもなかったって顔してるよ?大丈夫?」
考えてもいなかった。
そうだ、ハタノにだって可愛い彼女ができるかも知れないんだ。
それで、彼女に悪いから遊べないって言われたりして。
いや、ハタノの性格なら絶対彼女を大切にする。不安がらせたりしないはず。
ユイは固まった頭のまま、それを想像しようとした。
そして、それはとても。
「――イヤだ。」
思わず、声に出た。