表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

side /ハタノ(10)

なるべく、しれっと普通に聞こえるように言ったつもりだ。

イヤだと言われたら手を離す気だったが、言われないと確信していた。

案の定、言葉に詰まったユイの手を離さないままに歩く。

ハタノは今日の短時間で、ここ数ヵ月中にまったく気付かなかったことに気がついた。


ユイは案外と恋愛スキルが低い。

即物的な恋愛ばっかりしてるからだ、バカ。


普段の威勢の良さとは違う困った表情が頼りなくて、つい、からかいたくなった。

面白がっているうちに、ユイの表情から目が離せなくなった。

自分の視線にコントロールが利かない。墓穴掘ったか?

出店していた男に「誰にも貸さない」と言った時には、すでにそれが本音だと自覚していた。


そうだよ、認めるよ。もう、認める。

俺はユイをまるごと抱え込みたいんだ。

もしユイが拒否するんだとすれば、それはユイ自身が決めることだ。

そして今日のユイを見る限り、俺には拒否されない自信がある。


涼しげな芝生の上に腰をおろし、ペットボトルのお茶を口に含んだ途端、眠気が襲ってきた。

そう言えば一昨日は会社に泊まりで、昨晩寝たのは朝の三時だ。

腕を枕に寝転がると冷たい芝が心地いい。

「――ごめん、限界。十分だけ寝かせて。」

なんで眠くなるかな、こんな時に。

ブラック・アウト。


白っぽい眠りの中で、優しい手に髪を梳かれた感触がある。

甘い香りがして、何やらあたたかい気配が近付いてくる。

その正体を見極めようと、ハタノは気配を引き寄せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ