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目玉焼き
カコが襖を開け、ヨウコが雪見障子と竹引戸がある部屋に案内してもらう。
畳の上の絨毯にテーブルとイスが置いてある。
ヨウコを部屋に残し、カコは台所へ行く。
(ガラスが張った厚い机に、緑の石がついた漆の椅子は、きっとどこかの国の物なんだろう。透かし彫りされた植物は何て名前なのかな)
雪見障子から太陽光が漏れる。
ヨウコが下のガラス戸から庭を眺めると、モミジの木と池がそよ風で揺らぐ。
(半分二重障子で半分ガラス戸のは、雪見障子だって教えてもらった。そっから見える庭がぼんやりと眩しくて、目を細めていると、とろんとした気分になった。そういえば、いつも浴びている太陽より近いようで、心なしかポカポカと眠気を誘っているようだった)
カコが目玉焼き(半熟の黄身が二つ)を持ってきて、テーブルに置く。
(待っていると、いかにも高級そうな白いお皿に出来立ての『あの料理』が運ばれてきて…)