指数関数ってどんなもの?
私達は線形関数の世界に住んでいる。少なくとも体感的には。
「コンビニでコーヒーを一杯買うと百円、二杯買うと二百円」
当たり前の光景だ。この常識に喧嘩を売っているのが非線形関数。困ったちゃんなあんちくしょうである。
線形関数、これは一本の直線で表される。紙に右上がりの直線を引けば、それが線形関数だ。式に直すと
y=x
となる。これのふるまいを見ていってみよう。
x=1 のとき
y=1
x=2 のとき
y=2
x=3 のとき
y=3
というふうに、xが大きくなれば、yも同じだけ大きくなる。これはxがマイナスの場合も同様。
x=-1 のとき
y=-1
x=-2 のとき
y=-2
素直に反応を返してくれる。
さて問題の非線形、今回扱うのはその中でも指数関数と呼ばれるものだ。これは曲線で表される。ローマ字Uのような形だ。式に直すと
y=x^2=x*x
このようにxを二度掛け合わせている。さっそく見ていってみよう。
まずはxが 1 よりも小さい場合。
x=0.5 のとき
y=0.5*0.5=0.25
x=0.9 のとき
y=0.9*0.9=0.81
このように、入力した値に対して、返される値は小さくなる。
xが 1 になると
x=1 のとき
y=1*1=1
ここで線形関数と合流するのだが、彼らの蜜月はこの瞬間のみ。
xが 1 より大きくなると
x=2 のとき
y=2*2=4
x=3 のとき
y=3*3=9
x=10 のとき
y=10*10=100
このように、入力した値に対して、返される値は大きくなる。xが大きくなるほどこの特徴は強くなる。 x=10 に注目してほしい。xとyの差は実に 10 倍。彼らに遠距離恋愛は向いていなさそうだ。
ここは街の喫茶店。コーヒーの値段は一杯百円だ。あなたは無理を言ってコーヒー半分を注文してみる。気の良い店主は快く応じてくれた。さて会計だ。
「半分なのだから 50 円かな」
考えながらレジに向かう。
「半分なので 25 円です」
25 円得してしまった。
翌日。気を良くしたあなたはまた喫茶店にやって来た。気分はもう常連客。店主との会話も弾む。結局コーヒーを三杯も飲んでしまった。さて会計だ。
「三杯なのだから 300 円かな」
考えながらレジに向かう。
「三杯なので 900 円です」
店を出たあなたがまっすぐ向かうのは警察署。
「ボッタクられました」
奇妙なふるまいをする指数関数だが、xがマイナスになったときのふるまいも特徴的だ。
x=-1 のとき
y=(-1)*(-1)=1
x=-2 のとき
y=(-2)*(-2)=4
x=-3 のとき
y=(-3)*(-3)=9
このように、入力されたマイナスの値に対して、プラスの値が帰ってくる。無理やり現実に当てはめるとこんな感じだろうか。
「コーヒーを三杯飲んだら九杯に増えた」
謎の永久機関の誕生だ。