D・T転生 アフターストーリー〜最終話のその先〜
この物語は、『D・T転生』の番外編となっておりおます
第一章 娘さんを僕にください!
…これは、僕とアリアさんが結婚する少し前の話
僕は今宵、アリアさんにプロポーズしようと意気込んでいた。
「…いらっしゃいませ」
「に、二名で予約したアンディ・ロードマンです…」
「はい、ご案内いたします…」
僕はアリアさんを連れて王都にある夜景が見える高級レストランを訪れた。
「わぁ〜、素敵なお店ですね〜!」
「えぇ、そうですね…」
「けど、このお店すごく高いんじゃないですか?」
「大丈夫です、料金は全部僕が持ちますから!」
「そうですか?では、ここはお言葉に甘えて…」
と、アリアさんと一緒に高級フルコースのディナーを堪能した。
「失礼します、こちら食後のドリンクでございます…」
ウェイターさんが食後のドリンクを持ってきてくれた、僕ら二人とも酒はダメなので果汁100%の高級なジュースを頼んだ
それに、今日は酔っ払っている場合ではない…
「美味しかったですね〜、今日は連れてきてくれてありがとうございます!」
「………」
「アンディさん?」
「えっ?は、はい!」
「どうかされたんですか?先程からお食事中も何か考えているご様子でしたけど?」
「いや、その…ア、アリアさん!」
「は、はい?」
「じ、実は…今日は、だ、大事なお話がありまして…」
「えっ…?」
と、僕はスクッと立ち上がり
「ア、アリアさん!その…ぼ、僕と!け、結婚してくださぁい!!」
緊張で胸が張り裂けそうになる中、僕はついに言った…腹の底から喉が張り裂けそうな勢いで…
周りの客や店員さん達もみんな僕らの方を見てる、超恥ずかしい…
そして、数秒の沈黙の後…アリアさんは漸く口を開いた。
「クスッ、アンディさんったら…あんまり危機迫ったお顔をなされてるから何かと思ってびっくりしちゃいました!ウフフフ!」
と、嬉しそうに笑うアリアさん
「す、すみません…あまりにも緊張しすぎて、声もデカかったですよね?ホントすみません…」
「いえいえ、アンディさんらしくていいと思います」
「そ、そうですか?…えと、では改めて…僕と結婚してくれますか?」
「…はい、もちろん喜んで!」
「!?」
アリアさんはプロポーズを快く受け入れてくれた。
“パチパチパチパチ!!”
その瞬間、店中の人達が僕らに向けて盛大な拍手をくれた。
「ヒュー、ブラボー!」
「お幸せにー!」
「ア、アハハハ…どうも」
・・・・・
『ホントですか!?おめでとうございます!先生!』
アジトに戻ってエルメスさん達にギルバイスでアリアさんにプロポーズしたことを報告する
今現在このアジトは僕とアリアさんの二人で暮らしている
エルメスさんは医者の資格を得る為に王都の大学に入学し、大学の寮で暮らしている
ザンナさんは僕らよりも一足早く結婚し、今は立派なお屋敷に貴族の旦那さんと暮らしている、ちなみに現在第一子を妊娠中とのこと
リリーナさんは演芸ギルドの代表に就任したとのことで故郷のイッショタームに戻っている。
『よかったではないか、おめでとう!』
『そっかぁ…ついにお前らも結婚かぁ〜、おいアンディ!アリアのこと絶対に幸せにしろよな!もし不幸にして泣かしてみろよ、フルボッコにして魔物のエサにしてやるからな!』
「ありがとうございます、皆さん…明日早速、アリアさんのご実家の方へ挨拶に行こうと思います…」
『アリアのお父上と言うと、あの騎士団長殿か…』
「えぇ、そうです…」
『なんか、すごく厳しそうですよね…』
『そうなんですよねぇ…できる限りの礼を尽くそうとは思いますが…』
『でもよ、アリアって貴族の娘なんだろ?そう簡単に許しがもらえると思わねぇけどなアタシは…』
『それを言ったら、先生だって元々は皇族の血筋なんですから申し分ないと思いますよ?』
『い、いやぁ…それにもう皇族の身分は返上しちゃいましたし…』
『えっ?マジで?えー勿体ねぇ…』
『まぁ何にせよ…お前がアリアのことを真に想っていることを伝えれば、アマロ殿にも伝わるのではないか?』
「そうですね、やっぱりここは男らしく誠心誠意を込めて話してこようと思います!」
『頑張ってください先生!私達も応援します!』
『あぁ、頑張ってこい!』
『ファイトだアンディ!負けんなよ!』
「皆さん、ありがとうございます!!」
みんなから励まされて少し勇気が湧いてきた。
・・・・・
【王都 ライサンダー邸】
そして、ついにアリアさんのご実家であるライサンダー家へやってきた。
ビシッとスーツを着てしっかりと菓子折りも持参して準備万端だ
「つ、ついに来た…」
「大丈夫ですか?アンディさん?」
「えぇ、もちろん…いきましょうか」
プロポーズの日以上の緊張を感じながらお屋敷の門をくぐる
「…おかえりなさいませアリアお嬢様、ようこそいらっしゃいましたアンディ様」
屋敷のメイドさんが出迎えてくれた
「では、旦那様のお部屋へご案内いたします…」
アマロ団長の部屋へ案内される、いよいよ緊張がピークに達してきた。
「失礼します、旦那様…アリアお嬢様とアンディ様がお見えになられました…」
「うむ、通してくれ…」
「では、どうぞ…」
「は、はい…失礼致します!」
部屋へ入る、そこでスーツ姿のアマロ団長がソファに座って待っていた。
「やぁ、待っていたよ…」
「ご、ご無沙汰しております!」
「あぁ、まぁ立ち話もなんだ…座りたまえ」
「し、失礼します!」
カクカクとぎこちない動きでソファに座る、自分でもちょっと変だと思いつつも緊張で体が強張りこんな動きしかできない。
「あ、あの…こちら、つまらないものですが…よかったら」
と、持ってきた菓子折りを渡す
「ほぅ…これはたしか、ヤマトの国の菓子である『ドラヤキ』だな…ふむ、これは美味そうだ」
「えぇ、アリアさんからアマロ団長はヤマトの国のお菓子に目がないというお話を伺いまして…」
「あぁそうだ…ありがたくいただくとしよう」
よかった、まずまずの好感触だ…
「それで?今日はどういったご用件で?」
来た!ついに来た!言うぞ、ここは誠心誠意を込めて…
「あの、今日は大事なお話がありまして…」
「ふむ…」
「あの、僕は娘さんを、アリアさんを心の底から愛しています!必ず、幸せにするとお約束します!ですので、今日はアリアさんとの結婚を認めていただきたく、参上致しました!」
「………」
「お願いでございます!どうか、娘さんを僕にください!!」
ソファから立ち上がり、渾身の土下座を披露する
そして、やや間を空けた後
「顔を上げたまえ、アンディ君…君が娘のことを真に想っていることは分かった…私も君という人間がどういう人物なのか重々承知している、君にならアリアを託しても構わないかもと思っている…」
「!?」
「一つ問おうアンディ君、君はこの先何があってもアリアのことを守りぬくことができるか?」
「えぇ、もちろんです!アリアさんは、僕が一生を懸けて守っていくと約束します!」
「アンディさん…」
「ふん、いい眼だ…ならばその覚悟が口だけではないと今ここで証明して見せよ!」
「えっ?」
「ついて来たまえ!」
と、アマロ団長に連れられて庭へ出る、一体何をするつもりなのだろうか?
すると、さっきのメイドさんが鍛錬用の木剣を二本持ってきた。
「旦那様、どうぞ…」
「うむ…」
スーツの上着を脱ぎ、木剣を受け取るとその内の一本を僕の足元に投げる。
「っ!?」
「たしか君は、かつて『剣定試験』を受けて六級を持っているそうだな?」
「は、はい…」
「ならば、その剣でこの私を倒してみせよ!さすればアリアとの結婚を認めよう!」
「えっ!?」
「お、おやめ下さいお父様!アンディさんは六級、実力的に考えて一級のお父様に敵うはずもありません!」
「アリアよ、お前は口を挟むな!これは男と男の真剣勝負、それに私は自分よりも弱い者に娘を託すつもりなど毛頭ない!」
「お、お父様…」
うわぁ、普通に断られるよりもよっぽど恐れていた展開が始まってしまった…
「安心したまえ、せめてもの情けだ…下級程度の魔法であれば使用を許可する」
「分かりました、では…お願いします!」
スーツの上着をアリアさんに預けて剣を構える
「それでは、いざ尋常に…勝負っ!」
開始するや否やもの凄い勢いで剣撃をくらわせてくるアマロ団長
「くっ!」
僕は得意の受け流しで攻撃をいなそうとするも、攻撃が重過ぎていなしきれなかった。
「どうした!?そんなものかぁ!?」
「くっ!『ファイヤーボール』!!」
僕は一旦距離を取り、術で牽制する
「フン!」
アマロ団長はそれを難なく弾き、一気に距離を詰める
「なら、これで!『グランドウォール』!!」
目の前に土の壁を出現させ視界を封じる
「小癪な、えぇい!」
と、強烈な突きで壁を破壊する、だが壁の向こうに僕の姿はなかった。
「何っ!?」
「もらった!」
一瞬の隙に後ろに回り込み木剣を振り下ろす
「甘いっ!」
と、すぐさま振り向いて僕の一撃を受け止める
「っ!?」
「ぬぉぉぉ!!」
そのまま力任せに僕を押し返し弾き飛ばす
「うおっと!?」
僕はすぐさま受け身をとって反撃に移る
「『サンダーネット』!!」
「くっ!ぐぁぁぁ!!」
網で動きを封じ電撃で痺れさせる、その隙に距離を詰め斬りかかる。
「やぁっ!」
「ぬぅ!だぁぁぁ!!」
網を力任せに無理矢理ふりほどく
(嘘でしょ?アイアンパイソンですら数分は身動き取れなくなるのに!?)
「うぁぁぁ!!」
「!?」
防御が間に合わずアマロ団長の渾身の一撃が僕の脳天にヒットする
「がはぁっ!?」
「ア、アンディさん!?」
「ハァ、ハァ…終わりだ、もう勝負はついた…諦めて帰りなさい」
すると、その時だった。
“ムクリっ”
「な、何ぃ!?」
ヨロヨロと立ち上がる、額からは血が滴り落ちてくる
「バカな…私の渾身の一撃をまともにくらっておいてまだ立てるというのか!?」
「……」
(こ、これは!もう既に気を失っているではないか!?バカな、そんな状態で立ち上がれるはずが…)
「…ハァ、ハァ、アリアさんは…僕が、守、る…」
その直後、パタリと倒れてしまう
「アンディさん!」
(何ということだ…気を失っても尚、この私に向かってこようとするとは…何という執念、いや…アリアのことを本気で守りたいと思うが故にそうさせたのか?何という男だ…)
「アンディさん!しっかりして!アンディさん!」
「心配するな、すぐに医者に診てもらえるように手筈は整えてある」
「お父様…」
「何とも天晴れな男だ…お前が選んだだけはあるな…」
「お父様…はい!」
・・・・・
気がつくと僕はお屋敷のベッドの上で目が覚めた
「あれ?ここは…」
「気がついたか?」
「あっ!アマロ団長!あっ…そうだ、僕は負けたんですね…」
「あぁ、たしかに君は私に敗れた…だが君は、私の想像を遥かに越えた覚悟を見せてくれた」
「えっ?」
「気を失っても尚、私に剣を向けようと立ち上がるあの姿からは…君の本気の覚悟が痛いほど伝わってきた!感服したよ…」
「アマロ団長…」
「オホンッ、アンディ君!改めて君とアリアとの結婚、喜んで認めよう!」
「えっ!?よ、よろしいので?」
「あぁ、娘のことを…どうかよろしく頼む!」
「いえ、こちらこそ…よろしくお願いします!えと…お、お義父さん」
こうして、晴れて僕達は正式に結婚することが決まった。
第二章 父と娘
この世界の結婚式はザンナさんの結婚式の時に見たことがあるのだが、向こうの世界と形式はほぼほぼ一緒であった。
…てなわけで、僕らの式の日も間近に控え、式や披露宴の準備に追われていた。
招待客のリストアップ及び招待状の作成と発送、当日の流れの確認、披露宴で出す料理の手配やウェディングケーキの発注などエトセトラ…やることがとにかく山積みでとにかく大変である
よく向こうの世界ではウェディングケーキの入刀の時に『夫婦初めての共同作業です』、とか言ってるけど実際はそうじゃない…実は共同作業はここから既に始まっていたのだ…。
結婚式の前日になって漸く全ての準備が整った、後は明日の本番を待つのみだ…
結婚式の前夜、今夜は独身最後の日…アリアさんは実家でお義父さんやお義兄さん達と嫁入り前のひと時を過ごしたいとのことで今夜はお屋敷で一泊するとのことだ。
一方で僕はエルメスさんとリリーナさんから食事のお誘いを受けてイッショタームへやって来た。
「ふーっ、いよいよ明日お前らも結婚すんのかぁ〜!」
「えぇ、今日はお二人ともお忙しい中僕の為にありがとうございます!」
「いえいえ!私は先生やアリアさんの為だったらいくらでも都合をつけます!明日の式にも必ず行きます!」
「ありがとうございます…」
「あーあ、これでウチらのパーティーん中で独身なのアタシとエルメスだけになっちまうのかぁ…」
「リリーナさんは結婚とか考えてないんですか?」
「全然ねーな、アタシはアタシで自由にしたいし、そうやってなんかに縛られるのって正直苦手なんだわ…まぁもし、アタシのお眼鏡にかなうようなイイ男でもいれば考えなくもないけどよ」
「そうですかぁ、なるほど…」
「そういうお前は?あ、でもエルフ族って結婚していいの大分先なんだっけ?」
「そうです、私達エルフ族が成人として認められるのは60歳からなので、まだまだ先ですね…」
「そうなんですね…流石長命種族は規格外だな」
「ま、んなこたぁいいじゃねぇか!とにかく今日はめでたい日なんだから、好きなだけじゃんじゃん食えよ!アタシもじゃんじゃん飲むし!おーいねーちゃん!ビールおかわりー!」
「私も、きのこサラダおかわりくださーい!」
「じゃあ僕も!」
と、とても楽しい食事会となった
みんながアジトを出てからというものの、僕とアリアさんの二人だけではとても静かすぎてこんなに賑やかな食事はホントに久しぶりだった、やっぱり仲間はいいなぁ…これからはアリアさんと一緒に笑いの絶えない幸せな家族を目指そうと心に固く誓った。
「じゃあなアンディ!また明日!」
「先生、また明日!」
「えぇ、また明日!」
・・・・・
【王都 ライサンダー邸】
【アリア視点】
明日、私はアンディさんのところへお嫁に行く…その前に家族揃って食事を楽しんだ。
お父様やお兄様達と幼少の頃の話をしたり、まだお母様がご健在の頃の話もしてくれました。
一度は勘当された身ではあるけれど、お父様とも無事に仲直りしてこうして戻ってこられて本当に良かった…。
こうしてお父様やお兄様達から祝福されて、私はとても幸せです…きっと、天国のお母様も私のことを祝福してくれているでしょうか?そう思うと自然と涙が溢れ落ちた。
その夜、お父様のお部屋の前を通りかかると…部屋から灯りが漏れていてまだお父様は起きている様子でした。
「…お父様?」
「ん?おぉ、アリアか…」
「まだ、起きておられたのですか?」
「あぁ、明日のことを考えると…なんだか眠れなくてな」
「…私もです、明日のことを考えるととてもドキドキしてしまって…」
「そうか…」
ふと、お父様のお顔を見ると…なんだか凄く悲しそうなお顔をされているのが一目でわかった。
「では、私はこれで部屋に戻ります…おやすみなさい」
「あ、アリア!」
「はい?」
「その…なんだ、少し…こっちに来なさい」
「は、はぁ…」
手招きして私を呼ぶお父様、言われるがままに私はお父様に歩み寄る。
「アリア…!」
すると、お父様は私を力強く抱き締めた
それと同時に肩を震わせ嗚咽を漏らしながら泣き始めました。
「うぐぅ…ひぐっ…」
「お、お父様…」
「スマン、アリア…やっぱりお前を、嫁になんてやりたくない!身勝手なことを言ってるのは重々承知の上だ!だがやっぱり、今暫し私の下にいてほしい!」
「お父様…」
私は泣いているお父様の背中を優しくさすりながらこう呟いた。
「お父様、安心してください…私は、アンディさんのところへお嫁に行ってもお父様のことはずっと忘れません、私はいつだってお父様のことを想っています」
「アリア…」
「アンディさんのことを信じてください…アンディさんはとても優しくて気さくで誰からも信頼される立派なお人です…私は、きっとアンディさんと幸せになります!なのでお父様には、笑顔で見送ってほしいです…」
「アリア…そうだな、悪かった!明日は笑ってお前を快く見送ると約束する!」
「お父様…」
「アリア…愛してるぞ!」
「私もです、お父様…」
・・・・・
【結婚式当日】
会場には沢山の招待客が駆けつけてくれた、バリウスさんやオカミさんを始めとした冒険者ギルドの面々、ガルバさんにリュウノスケ君、商業ギルドのソディアさんや職人ギルドのテッドさん、領主様やその娘のレムリナ様、ライサンダー家の関係者や騎士団の面々などなど…本当に沢山の方々が集まってくれた。
【新郎控え室】
「アンディ!」
「ザンナさん!」
ザンナさんも旦那さんと生まれたばかりの赤ちゃんを連れて駆けつけてくれた
ザンナさんの腕に抱かれたザンナさんの赤ちゃんは生まれたばかりだというのにも関わらずもう既に五歳児ぐらいの大きさだった…流石は巨人族の血を引いているだけあるなぁと思った。
「ザンナさん!来てくれたんですね!」
「当たり前だ、大事な仲間の門出だ…祝わないわけにいかんだろう」
「アンディ君、この度は結婚おめでとう!」
この人がザンナさんの旦那さんの『ダンデ・ハイネリッヒ男爵』
もじゃもじゃの茶色い髭を生やし、まるで熊かゴリラかのようながっしりしたガタイに2mは余裕で越えていそうな立派な巨体、一見怖そうだがその優しい表情からは穏やかな印象を窺える。
この人は大の筋肉フェチで結婚する女性も筋肉質な女性がいい、とずっと言っておりおかげで長いこと結婚できずに悩んでいたがザンナさんに一目惚れしてから猛烈アプローチし、結婚に至ったらしい。
「ところでエルメスやリリーナは?今日来ると聞いたのだが?」
「あぁ、ついさっきザンナさん達が来る前に挨拶に来ました、多分もう会場にいると思います」
「そうか、入れ違いになってしまったか…まぁいい、とにかく結婚おめでとう!また今度、五人で集まって改めてお祝いしよう…」
「えぇ、もちろん…」
「では、また後で…」
控え室を後にするザンナさん夫妻
それと入れ替わりに今度はお兄さんが入ってきた。
「邪魔するぜ、アル…」
「お兄さん、あれ?今日はお一人で来られたんですか?」
「当たり前だ、今日は皇帝としてではなく…イチ新郎の親族として来たからな、部下や家来達は宿に置いてきた…」
「何にしても、来てくれてありがとうございます!」
「当然だろ?我が弟の一生に一度の晴れ舞台だ!兄としてしかと見守らせてもらうぞ!」
「ありがとうございます!」
すると、式場のスタッフが入ってきて
「失礼します、新婦様のお支度が整いました…」
「おっと、これ以上俺がいると邪魔だな…じゃあまた後でなアル!」
「えぇ…」
「では、こちらへどうぞ…」
スタッフに案内され、新婦の控え室へ通される
実は、アリアさんのウェディングドレス姿を見るのはこれが初めてだ…式の当日まで楽しみはとっておきたいと思ってウェディングドレスを選ぶ際は僕は敢えて遠慮した。
いよいよ、ウェディングドレス姿のアリアさんとご対面だ…
僕は緊張する面持ちの中、ゆっくりと控え室のドアを開ける、すると…
“ペカー!”
あまりの美しさと神々しさに眩しく発光しているかのように見えた。
「アンディさん…」
「アリアさん…素敵、とても素敵です!まるで女神様のようです!」
「ウフフ、アンディさんったら…アンディさんもタキシード姿、とてもお似合いですよ」
「え、い、いやぁ…」
「ぐぅ、アリアぁ…よく似合っているぞ…」
アリアさんの横で堪えきれずに涙を浮かべるお義父さん
「父上、まだ泣くには早いですよ…」
「もう、お父様!昨夜笑顔で見送ってくださるって約束したじゃないですか!」
「す、すまん…でも、ホントに綺麗だ…ほら見えるか『マリアーナ』!あの小さかったアリアがこんなにも美しく…まるで昔のお前のようだ…うっ、うっ、うっ…」
と、亡くなったお義母さんの写真を掲げる
「失礼します、ではお時間となりますのでご準備をお願いします…」
「はい、じゃあアリア アンディ君!また後ほど…ほら父上!いつまでも泣いてないで!」
「わ、分かっている…すまない」
「ウフフ、では…参りましょうか?」
「えぇ、もちろん!」
…それから、式は滞りなく執り行われ、その後の披露宴でもリリーナさん率いる演芸ギルドの皆さんが大いに盛り上げてくれて、一生の思い出に残る結婚式となった。
第三章 愛の結晶
…あれからあっという間に年月が立ち、僕らが結婚して一年が立った。
僕は19歳に、アリアさんは18歳になった。
改めて夫婦となってからも僕らの生活は何ら変わらない、元より今までずっと一緒に暮らしていたからそんなものかな?
でもしかし、改めて夫婦になってからこそできることもあった…
そう、『子作り』だ。
結婚した当初からアリアさんとは子供はできるだけ沢山ほしいと話していた
僕もアリアさんも子供は大好きなので僕もできれば子供は沢山ほしいと思っていた。
しかし、そこに至るまでにある問題に直面していた。
僕もアリアさんも互いに『初めて同士』だったからイマイチ上手くいかなかったのだった…
向こうの世界だったらいざ知らず、ネットで調べればすぐにでも分かるようなものなのだが、この世界にはネットはないし性的なコンテンツもあまりにも少なすぎる為知識を得ようにも得られない
僕自身も性に関する知識は大人のビデオで見た程度でしか分からないのでいざ実践となると上手くできない…。
それと、問題がもう一つ…
僕の自慢のマグナムがあまりに大きすぎて入らないのだ…
何せ女性の初めてはかなり痛いらしい…その上僕のマグナムが大きすぎるせいで僕が挿れようとした途端にアリアさんがとても痛がってしまった。
それから、何度かトライしてみたもののやはりダメで痛がるアリアさんを見ていたらなんだか急に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
そんなこんなで結局最後まではできないままずるずると時間だけが過ぎてしまい現在に至る。
最近では、めっきり行為をすること事態が減り、少々ご無沙汰である…
でもやっぱり、二人とも子供を持ちたい気持ちは変わらずに持っていたのだった。
・・・・・
【アリア視点】
私はアンディさんとの『夜の営み』のことで一人悩み、一先ずリリーナさんに相談してみました。
「プハハハハ!アッハッハッハ!」
「わ、笑いごとじゃないですよ!こっちは真剣に悩んでるんです!」
「悪りぃ悪りぃ悪かったって!…そうだよなぁ、たしかにアイツのチ◯コハンパねぇぐらいデカいもんな!アタシもアンディと何回か風呂入ったから分かるけどありゃ相当デカチ◯だぜ…」
「………」
リリーナさんがあまりに卑猥な単語を連発するので恥ずかしくなって私は少し顔を下に向けた。
「んー、そうだな…生憎アタシもそっちの経験ないからなんとも言えねぇなぁ…」
「そ、そうなんですか?私てっきり…」
「あぁ、昔ウチの演芸ギルドにさぁ経験人数千人越えの超ドエロい踊り子の姉ちゃんがいてさ、その人から色々教わったんだよ」
「へ、へぇ〜…」
「とにかくこの件はアタシじゃ役に立たなそうだな…悪りぃな」
「いえ、相談に乗っていただいてありがとうございました…」
リリーナさんのところを後にして、次に私はエルメスさんのところを訪れた
エルメスさんだったら医学的な観点から解決方法を見出してくれるかとそう思った。
「…なるほど、そういうことですか…」
「何とかどうにかなりそうですか?」
「方法は、ないことはないです…ただ」
「ただ?」
「あまりこの方法はおすすめしたくありません…」
「何ですか?教えてください!」
「…わかりました、これもお二人の将来の為です!お教えしましょう!」
「ありがとうございます!」
「では、少し時間をください…明日また来ていただいていいですか?」
「は、はい!」
…翌日、言われた通りまたエルメスさんの部屋を訪れました。
「お待ちしてました、これを…」
と、エルメスさんが手渡してきたのは小さい瓶に入ったピンク色のシュワシュワした薬でした。
「こ、これは…?」
「これは所謂、『媚薬』です…」
「び、媚薬!?」
「これを飲めばたちまち体が火照って性欲が向上します…それはもう、獣の如く…」
「け、獣…ですか?」
「かなり強力な薬なので、飲み物などに数滴混ぜるだけで効果は十分です」
「わ、分かりました…ありがとうございます」
「…その、頑張ってください!」
「は、はい!」
・・・・・
ある日の仕事帰り。
「ただいま帰りましたー」
「アンディさん、おかえりなさい…お夕食の用意できてますよ」
「ありがとうございます、じゃあ先に食事をいただきます…」
「ふぅ、美味しかった…ごちそうさま」
「お粗末様です…あ、そうだ!今日エルメスさんが来てこれを…」
と、アリアさんが取り出したのは『エルフのジュース』だった
「あ、それ!エルフのジュース!」
「はい、エルメスさんのご実家から送られてきたそうで…私達にもお裾分けを、と…」
「そうでしたか、また今度エルメスさんにお礼言わないとな…」
「今、お注ぎしますね…」
と、グラスにジュースを注いで持ってきてくれた
「どうぞ…」
「ありがとうございます…ん〜、イイ香りだ!いただきます」
“ゴクリっ”
「ん〜!やっぱりいつ飲んでも美味しいなぁ…って、あれ?」
ジュースを飲んだ直後、なんだか身体がポカポカと温かくなった…いや、それどころか段々と熱くなってきて胸がドキドキしてすごく、ムラムラしてきた…
「ア、アリアさん…これは?」
と、ふとアリアさんの顔を見ると…アリアさんも同じように息を荒くしておりとろんとした目でこっちを見ていた。
「アンディさん…ごめんなさい」
と、いきなり僕に抱きついてものすごいキスをしてきた
「…っ!?」
「アンディさん…ベッド、いきましょ?」
「…はい」
それから二人は獣のように本能のままに混じり合い狂ったかのように営みに勤んだ。
「…ハァ、ハァ、ハァ」
「…ハァ、ハァ、ハァ」
営みが終わる頃には二人とも少し正気に戻り、達成感と何とも言えない快感を覚え、二人揃ってしばらく感慨に浸りながら天井を見上げていた。
「…どう、でしたか?」
「…えぇ、少し痛かったですけど…とても、気持ち良かったです」
「僕もです、あの…アリアさん」
「はい?」
「その、できれば…もう一度」
「もう、アンディさんのえっち…でも、いいですよ」
…結局、その晩は朝になるまでずっと営みに勤んだ。
・・・・・
それから数ヵ月が経った…
あの晩以来、僕らは毎晩のように夜の営みに勤んだ。
最初の頃とは大違いで、今となってはすっかり開通してお互いとてもイイ感じだ。
そして、ある日のことだった…
「ただいま帰りましたー」
「アンディさん!おかえりなさい!」
と、いつもよりもウキウキした様子で僕を出迎えるアリアさん
「? 何かいいことでもあったんですか?」
「えぇ、実はその…」
ちょっと言い出しづらそうにもじもじするアリアさん
「じ、実は…アンディさん、私…妊娠しました」
アリアさんの口から思いがけない一言が飛び出し僕は数秒間思考が停止する
「…えっ?」
「…実はここしばらく生理が来なくなって、少し体調もあまり良くなかったので病院に行って調べてもらったんです…そうしたら、妊娠二ヵ月ぐらいですって!」
すると僕は次の瞬間無言でアリアさんを抱き締めた
「…よがっだ、ホンドによがっだ!」
嬉しさのあまり僕は滝のような涙を流す
「ウフフ、私も…とても嬉しいです、これから頑張って二人で育てていきましょうね?」
「ズズッ、あ゛い゛っ!」
・・・・・
…次の日、早速僕はお義父さんに子供ができたことを報告に訪れた。
「…ということで、僕達…子を授かりました」
「…そうか、アリアが…妊娠、か」
するとお義父さんは手で顔を覆い肩を震わせて泣き始めた。
「そうか…ついに、ついにこの私に、初孫が…」
「お、お義父さん…」
結婚してから何かにつけてお義父さんの泣く姿を見てきた気がする…
いつも普段は騎士団長としてかなり厳しい印象が強いけど、本当はすごく涙脆い人だったんだなぁ…
「すまない、少し取り乱した…それで今日はアリアは?」
「今日は家にいます、大事な時期なのでまだ少し安静にしてた方がいいとお医者様が…」
「そうか、そうだな…で?男の子か?女の子か?」
「や、まだ流石にそれは…少し気が早すぎでは?」
「おっとスマンスマン、喜びのあまりつい気持ちを急いてしまった…ところで一つ折り入って頼みがあるのだが…」
「…はい?」
「もし、男の子が産まれた暁には…私に、名前をつけさせてもらえないだろうか?」
「お、お義父さんが…ですか?」
「あぁ!男らしい逞しく立派な名前をつけてやろう!」
「え、えぇ…一応帰ったらアリアさんにも相談してみたいと思います」
「そうか!よし、そうと決まればこうしてはおれん!おーい誰かいるかー?至急紙とペンを用意してくれー!」
ま、まだOKはしてないんだけどなぁ…相当浮かれてんなお義父さん
無理もないな、僕達にとっても初めての子供だけどお義父さんにとっても初めての孫だもんな…
よく孫は目に入れても痛くないって言うけど、お義父さんの場合あの勢いだと目に入れるどころか丸飲みしちゃいそうな勢いだ…。
・・・・・
お腹の子は順調に育ってきてもうすぐ臨月を迎える、ここまで来るまでに本当に大変だった。
最初の頃はあまりにもつわりが酷くて何も食べられず、ほとんど寝たきりになってしまい、どうしたらいいか悩んでザンナさんに相談したらオレンジやレモンなどの柑橘系のフルーツをいっぱい分けてくれた、ザンナさんも当時つわりが酷くてご飯もロクに食べられなかったそうだけど、実家から送られてきたフルーツのおかげで救われたらしい。
ザンナさんに分けてもらったフルーツを持って帰ってアリアさんに食べさせると、喜んで食べてくれた。
それから段々とお腹が大きくなるにつれて腰痛などに悩まされエルメスさんに薬を作ってもらったりマッサージをしてあげたりと懸命にケアをした。
つわりが終わる頃になると今度は食欲が爆発して食べても食べてもお腹が空いてしまうのだという…恐らくお腹の赤ちゃんにも栄養がいっている影響だろうか?
大分お腹も大きくなってきた頃、お腹の中で赤ちゃんが度々動いたりお腹を蹴ってくるのだそうだ
元気に育っている証拠だと、二人で喜んだ。
…そして、年が明けた頃
僕は朝起きて家事をしていると
「ア、アンディさん!た、助けて!」
「!? アリアさん!」
見ると、アリアさんが苦しそうな顔でお腹を抱えていた。
「アリアさん…ま、まさか!?」
「えぇ、多分…『陣痛』だと思います」
「何ですって!?どうしよう?」
陣痛が始まり、慌てふためく
すると、その時だった。
「ちーっす、邪魔するぜー!見舞いに来てやったぞー」
「あ、リリーナさん!大変です!う、産まれそうなんです!」
「何っ!?分かった!任せろ!」
リリーナさんのドラゴンに乗せてもらい、大急ぎでアリアさんを王都の病院まで運ぶ
病院についた頃には一旦陣痛は治まった、万一のことを考えてこのまま病院に入院することとなった。
「アリアさん、大丈夫ですか?」
「はい、今は大分落ち着いてます…リリーナさんも、ありがとうございました」
「いいんだよ水くさい、おっと!そろそろギルドに戻らねぇと、悪りぃまたな!」
「はい、ありがとうございました!」
と、病室を後にするリリーナさん
するとそれと入れ替わりに今度は女の先生とエルメスさんが入ってきた。
「あれ?エルメスさん!」
「あっ!アンディ先生!アリアさん!」
「あら?あなた達知り合いだったの?」
「はい、お二人は私の仲間でアンディ先生は私の魔法の師匠です」
「いやぁ師匠だなんてそんな…」
「あぁ、あなたが噂の冒険者ギルドの若き代表ね!お会いできて光栄だわ、担当医のレイチェルよ」
「ど、どうも…それでエルメスさんが何故ここに?」
「現場実習です、今はレイチェル先生の下で助手として勉強させてもらっているんです、今回のお産にも僭越ながら携わらせていただきます!」
「彼女、実習生の中でもとびきり優秀なのよ!勉強熱心だし、患者さんからの評判も良いしね…」
「そうなんですね、流石はエルメスさん…」
「エヘヘ、アンディ先生に褒められると嬉しいです…」
「ウフフ…っ!?」
「アリアさん?」
「…うぅ、また…陣痛が、うぅ!」
「いよいよかもしれないわね…エルメスさん!すぐに準備して!」
「はい!」
と、分娩室へと運び込まれるアリアさん
「あ、あの!僕も、アリアさんの側にいてもいいですか?」
「もちろんよ!」
「ありがとうございます!」
「うぅ〜!」
アリアさんがいきんでいる隣で僕はアリアさんの手をギュッと握り締める。
「アリアさん!頑張って!」
「は、はい!」
「頑張って!少し頭が見えてきたわよ!」
「はいぃ!うぅ〜!」
「頑張って!アリアさん!」
思わずアリアさんの手を握る僕の手にも力が入る
「うぅ〜!あぁ!!」
「アリアさん!」
約小一時間ほどの格闘の末、ついにその時は来た…
「…オッギャアァァァァァァ!!」
「!?」
「う、産まれた…」
元気な産声とともに僕とアリアさんの愛の結晶がこの世に誕生した…。
「3200g、元気な『女の子』ですよ!」
「おめでとうございます!アリアさん!先生!」
「私の、私達の赤ちゃん…」
生まれたばかりの我が子をそっと抱き締めるアリアさん、その光景を見て僕は感動のあまり涙を流す。
「やった、僕…父親になったんだ!」
「アンディさんも、抱いてあげてください…」
「…はい!」
アリアさんから娘を受け取る
「オギャアァァァァ!!」
「ハハ、元気だなぁ!初めまして、あなたのお父さんでちゅよ〜」
・・・・・
無事に出産を終えて病室へ戻る、するとお義父さんとウェイドお義兄さんが物凄い勢いで病室へ駆け込んでくる
「「ハァ、ハァ、アリアぁぁぁぁ!!」」
「お、お父様!ウェイドお兄様!病院では静かにお願いします!」
「あ、あぁすまない…アンディ君から生まれたと連絡をもらっていても立ってもいられなくなってしまってついな…」
二人ともよほど慌てて来たのか騎士の鎧姿のままだった。
「で?男の子か?」
「女の子です」
「なんだ、女の子か…折角良い名前を沢山考えたのに…」
「まぁまぁ父上、そう落ち込まずに…」
「それで、名前は考えてあるのか?」
「えぇ、名前はアンディさんが考えてくれて…」
「えぇ、もちろん…」
「ほぅ…で?なんて名前だ?」
「はい、『アニー』です!」
「アニー?」
「アンディさん、その名前ってたしか…」
「はい、あの方が僕をこの世界に導いてくれたからこそ、こうして僕はアリアさんと出会うことができた…だから、感謝と尊敬の意味を込めて、『アニー』と名付けたいと思います」
「たしか、以前話してくれた君の前に現れたというアーニャ様の化身か…いいじゃないか!なぁウェイドよ!」
「はい!アニーちゃ〜ん!ウェイドおじちゃんでちゅよ〜!」
「あ!ウェイド貴様!父を差し置いて抜け駆けは許さんぞ!ほらほらアニーちゃ〜ん!おじいちゃんでちゅよ〜!」
「…うぅ、うわーん!!」
「あらあら、もう!お二人とも!アニーが怖いですって!」
「おっと、ス、スマン…」
・・・・・
アニーが誕生してから一週間、無事退院して我が家に帰ってきた
「さぁ、アニーちゃん…今日からここがあなたのお家ですよー」
「あぶー」
「あ、可愛い♡」
生まれたての頃は顔はしわしわで目もあまり開いてなく、髪の毛もあまりなかったが、今となっては顔立ちもはっきりとしており髪の毛も少し生えてきた。
アリアさんにそっくりなパッチリとした目で瞳の色はアリアさんと同じく緑色、髪の色もアリアさんと同じくクリーム色だ
この娘は将来絶対アリアさん似の美人に成長するだろう…将来が楽しみだ。
「おーいアンディー、アリアー!出産祝いしに来たぜー!」
「先生ー!アリアさーん!」
ドラゴンに乗ったリリーナさんが空から呼びかける、後ろにはエルメスさんもいる
「アンディ、アリア!出産おめでとう!これは私と旦那からだ、受け取ってくれ…」
と、ザンナさんもお祝いに来てくれた
手には花束を抱えている
「アールゥゥゥ!!」
「お、お兄さん!」
「水くさいじゃないか!聞いたぞ!娘が生まれたんだってな!」
「す、すみません…落ち着いてから手紙で報告しようかと…というか、どうやってその情報を?」
「ふん、我が帝国の情報網をナメてもらっては困る!それより、顔を見させてもらっても構わんか!?」
「え、えぇ…もちろん」
「おぉ、これが我が姪か…フフフ、将来は絶世の美人になること間違いなしだな!お?よく見たら鼻の形がアルにそっくりだな!」
「あーホントだ、アリアさんにばっか似てるから気づかなかった…」
「当たり前じゃないですか、私達の娘ですもの…」
「それもそうですね!」
「アハハハ!」
終章 幸せな家族
…あれから十年、アニーは10歳となり冒険者養成学校に入学した
まだ10歳にして既に下級魔術をマスターし中級魔術までもいくつか使えるようになってしまった、ホントに我が娘ながら末恐ろしい…。
それと、この十年の間にアリアさんとの間に男の子を二人設けて僕らは三人の子供を抱える親となった。
アニーの四つ下の弟で長男の『アウロ』は現在6歳
髪と瞳の色は僕譲りの銀髪と薄紫の瞳で、最近では祖父である騎士団長のお義父さんに憧れており、将来は立派な騎士になりたい、とのことで毎日ライサンダー邸に通ってはお義父さんに剣の稽古をつけてもらっているらしい、お義父さんも孫と一緒に剣の稽古ができてとても嬉しいらしく、ウチに来る度にアウロとのことを楽しそうに話してくれる。
そして、つい最近生まれたばかりの次男の『ヴァレン』
髪は銀髪で瞳の色は緑色
まだ生まれたばかりで将来どうなるかはわからないけど、僕もアリアさんも剣士でも魔術士でもはたまたそれ以外でもヴァレンの望む通りの道へ進むといいな、と考えている。
「父様母様!聞いてください!私、昨日の魔術の試験で満点を取ったんですよ!」
「僕も昨日おじい様に剣がすごく上達したって褒めてもらったよ!」
「そうかそうか、アニーもアウロもすごいなぁ…努力したな!よし、父様も負けてられないな、今から三人で特訓だ!」
「「わーい!!」」
「ウフフ、ちゃんと手加減してやってくださいね?」
「えぇ、もちろん!」
「うぅ、びゃあぁぁぁぁん!!」
「あらあら、はいはいヴァレン〜…ママはここでちゅよ〜!」
「いくぞ〜!父様覚悟っ!えぇい!」
「おっ?やるな!流石我が息子!」
「いっけぇ!『アイススティング』!!」
「なっ!?派生術式!?すごいなアニー!」
「へへ、すごいでしょ〜?」
「みんなー、そろそろご飯の時間ですよー!」
「おっ?ご飯の時間だ、いくぞ!アニー、アウロ!」
「「はーい!!」」
…この世界へ来てから、色々な苦労を乗り越えてアリアさんと念願の暖かい家庭を築くことができた。
三人の子供達を育てるのはとても大変だけど、毎日とても幸せだ。
これからも僕は、大事な家族を守る為…力の限り頑張ろうと、そう固く決意したのだった。
The END…
ご愛読ありがとうございました。
近日中に新たな新作を掲載する予定なのでお楽しみに!