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疑念
見るも無残な転生者の体だったものが地面に転がったかに思えたが、目を開くとちゃんと生きていた。
というのも俺の体の周りは不思議な光が体を包み、落ちる寸前で浮いている。
そのままゆっくりと俺をやわらかな牧草に着地させた。
「助かったー」
安堵のため息をつく。流石に天使もいきなり地面に激突させるようなことはしなかったようだ。それにしたって扱いが雑な気がするが。
牧草を駆け下りて異世界の土を踏んだ。 …… と思う。
俺は異世界であることに確信を持とうと辺りを見渡した。
空は青く、白い雲が流れている。少なくとも日本ではないと確信できる広い平原。遠くに見える山々。
生き物と言えば元の世界にもいた牛と思わしき生物しか見当たらず、俺は首を傾げた。