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事故は起こるものさ
「あんた、そのまんまなの?」
赤いツインテールが左右にゆっくり揺れた。
「サイトウさんですね。アジスと申します。よろしくお願いします」
未だにアジスの唇は震えている。名前を考えるよりもエルフへの好感度がゼロ吹っ切れてマイナスだということに俺は焦りを覚えていた。
どうしたものかと頭を掻く。
「ちょっと、あんた!」
すると、突然チェムが焦った。
「どうしたんだ? うわっ」
自分の体が光り始める。
「どうなってるんだ!」
「あなた、能力使ったでしょう!」
チェムが怒鳴る。
「ええっ、どうすればいいんだ」
俺はチェムに目で助けを求めた。
ということはまたドラゴンになるのか。
あんな大きさになったら小屋も突き破ってアジスさんを踏みつぶす。それだけは!
チェムが槍を構える。
エルフに嫌われるくらいなら、エルフをこの手で(事故)殺してしまうくらいならいっそのことそうしてくれ。
俺は目を閉じた。




