16/35
先駆者
「じゃあ、まずはあなたがここに来た経緯を詳細に答えなさい。死ぬ前から死んだ後までね」
「えっ」
先ほどもそうだったが俺が転生者であることを知っている? どういうことだ。
彼女は手を後ろに回して頭を掻くと、俺が答えを発するよりも先に話す。
「実は私も転生者なの。きっとあの天使に言われるままほいほいここまで来たんでしょ。心配しなくても大丈夫。全部話して」
「お前もあの天使のことを知っているのか」
「ええ。年に1回くらいは会うわ。私の他にもう1人転生者が来ると言ってたけどあなたのことね」
会うのか。今度文句言っておこう。
とはいえ、目の前の少女が嘘をついている可能性は捨てきれない。
慎重に、俺は言葉を選んでいく。