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交錯
(違うんだ。俺は人間なんだ!)
着地した少女に向けて必死にコミュニケーションを取ろうとするが、自分の体は熱い蒸気を吐き出すばかりで何も発声してくれない。
(どうする?)
かといって攻撃に転じるのも駄目だ。この世界の法則もわかってないのだ。それこそ殺される。
背筋に悪寒が走った。
永遠とも思える一瞬の後、驚いたことに彼女は槍を降ろした。
「なんだ、あなたも同じ転生者だったの。能力なら3分経ったら消えるからそのまま動かないでね」
そのまま少女は倒れたエルフをお姫様だっこすると、そのまま少し離れた小屋まで去って行った。
どういうことだろうと俺が首を傾げていると、自分の体が光って目線が小さくなるのがわかった。
いつの間にか俺の体は元の姿に戻っていた。