13/35
ツインテールの少女
ドラゴンになったのでわくわくしたのも束の間。戻り方がわからないことに焦る。
(天使に使用方法の詳細とか聞かされずに落とされたからなあ)
空を仰げば頭上高く上った太陽のような光が俺の目を照らす。
眩しくて鱗のある瞼を閉じた時だった。
「こらぁ!」
目を閉じる直前太陽を背に飛んでくる一人の少女の姿がそこに映った。
それは赤髪のツインテールを揺らしながら槍をこちらの目へと突いてきた。
(危ねえ!)
その槍は瞼に弾かれて終わる。とはいえひやひやものだった。いかにドラゴンでも無防備な目玉を狙われてはひとたまりもない。
攻撃してきた少女はエルフではなかった。
少なくとも見た目には人間に見える。
この高さを跳躍してきたというには華奢な体をしていて全体的にスラっとしていた。
ただ、構え方がいつでもこちらを突き刺してきそうで怖かった。敵意のある吊り目こちらに向けられる。
(どうする?)
思考を巡らす。
永遠とも思える一瞬の時間が流れた。