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トラウマ
突如として彼の体が光った。
「な、なんなの!」
アジスは本能的に危険を感じて後ずさる。
「俺にも何やなんやら!」
彼はみるみるうちに大きくなっていく。
「え、ええええ!」
驚き、全力で回れ右をして走る。
彼女の立っていた場所は土がえぐれ、砂埃が舞い上がる。
「あ、あれは」
振り返ったアジスの顔に長い首の影が落ちる。
大きい体。長い首、爬虫類のような鱗。閉じた長い口から漏れ出る赤い炎。
あれはあの日見た恐怖。
彼女の顔が一気に青くなった。
「あ、あれは …… きゅー」
そのドラゴンは彼女を見下ろしていた。
アジスが死を覚悟したその時。
「こらーぁ!」
そこへまた別の少女が襲い掛かった。