お前は真なる聖女じゃないと婚約破棄された姉です。追放されたので、辺境で薬草師をしていました。そうしたら真の聖女と認定されたはずの妹の能力詐称がわかったので戻ってきてくれと言われましたが…
「聖女ってどういう存在なのですかしらねえ」
「…この国をすべからく救うお方だと…」
「そういいますわねえ」
私は薬となる薬草と森で摘みながら、ふうとため息をつきました。
聖女様に救われたという声が多く届くようになりましたが…まあ私には関係ないですわ。
「…でもエリヤ姉ちゃんは髪と目の色だけだよな、聖女様と似てるの、あとは全然だもん」
「…まあそうですわね」
私は手伝ってくれるつもりかもしれませんが、手伝いになっていない少年たちをちらっと見ます。
私の普段の世話をしてくれているシトロンだけは手際よく葉っぱを摘んでます。
シトロンは私の手伝いをするために来てくれた女の子ですが、どうも謎が多いです。
所作などはとても綺麗で、ただの村の子供とは思えません。
でもまあ、私はろくに家事などやったことなどなかったので本当に助かっています。
「エリヤ様、メールの葉の次は」
「今日はこれでいいわ、シトロン、ありがとう」
私はこの森で薬草師をしています。もう1年になりますか…。
一応私は貴族令嬢だったのですが…。
「エレイン・リード。お前は妹のルビーの聖女としての力を奪い、偽聖女として、神殿をだました。その罪により婚約破棄する!」
私は侯爵の令嬢であり、王太子の婚約者でした。
聖女である癒しの力を持ち、その力で人々の怪我や病など癒していましたが…。
ある日突然力が使えなくなり、その力が妹にうつったと…そんなことは聞いたこともなかったのですが。
たしかに癒しの力を使えています。
私は偽聖女としてぽいされることになり…。
そのあと、妹が殿下と婚約したと聞きました。
「…人の能力を奪うアイテムってあるようですね」
「ああそうね」
私は妹からもらったネックレスが消えていたことにある時気が付きました。
身に着けた人の能力を奪い、己のものにする道具があると聞いたときあれかと思い至りました。
「…多分、それを使ったのでは?」
「そうね、まあ元聖女なんて肩書もうないに等しいし、シトロンには愚痴ったけど気にしなくていいですわ」
私は奪った能力で、聖女と呼ばれる妹のことは腹が立ちますが、立証できませんしと笑います。
「…立証はできます」
「んー、もういいわよ」
シトロンがお皿を洗いながら、無欲な方ですねと笑いました。
年齢は三つ下の14のはずですが私より大人びています。
そんな毎日を送っていましたが、ある日突然、王家から使者がきて無理やり城まで連れていかれました。
「…はい?」
「ルビーの聖女としての力が消えた…それで」
「私も聖女としての力はもう使えませんわよ、それにエリヤと名前を変えて薬草師になりましたの」
私は試しに癒しの呪文を唱えると…いえなぜか発動しました。
するとおお、やはり真の聖女はエレイン様だったとか勝手なことをいう人たち…。
「使えるな、では…」
「私もう聖女にはなりません」
「お前!」
王太子殿下が、妹のルビーなら追放したと言ってきます。いえそうなれば私も聖女の力がまたなくなれば同じ道をたどります。
いやですというと、今度は私の頬をぶとうとしたのか手をあげました。
「…殿下、聖女様に手をあげるというのはどうかと思いますが…」
神官長様が止めます。確か、私が偽聖女と認定された後にその地位に就いた方でしたわ。
「聖女様はご不安なのです。偽聖女と言われ追放された後に、本当はそれは間違いだった戻ってきてくれといわれてすぐ納得できましょうか?」
長い銀の髪に青い瞳、そういえばシトロンも珍しい色でしたけど、まったく同じって…。
私はうんうんと頷きます。
「…ならどうすればいい?」
「数週間ほど期間をおいて考える時間を…」
「そんなに待てるか!」
私は絶対に嫌と首を振ります。すると神官長様がみなと話し合い、一度私は今までの住まいに帰されることにはなりました。監視付きで…。
「エリヤ様!」
「シトロンごめんね」
シトロンが家の扉をあけてたたっと走ってきます。馬車で帰された私の横にはなんと神官長様…。
監視といってもさすがに高位の方すぎません?
「アルス兄さま!」
「え?」
「シトロン、世話をかけたね」
兄さまって? 私が目を白黒させて驚いていると、いやあ実は妹を聖女様のお世話をするために送り込んだんですよと笑う神官長様。
私はシトロンと神官長様を似ていると思いましたが、兄妹だったとは!
「偽聖女であるとあなたの妹のことはすぐわかりましたので、力を奪った道具とやらのことを調べてみたら、力がうつった段階で消滅するタイプとわかり…中々力を本来の人間に戻す方法を調べるのに時間がかかりまして」
アルス様曰く、妹の力が借り物とすぐわかったので、調べたそうで…そして私が辺境の森にいるのを調べて妹を手伝いとして送り込んだと…。
そして、どうにかして妹の力を私へ戻すことができたというのですが。
「どうしてそこまでしてくれるのですか?」
「偽の力なんてすぐどこかで破綻しますし、あなたの妹って聖女って性格でもないから、評判も悪くて」
アルス様は笑いますが、いや、でも評判は悪くなかったみたいですけど、シトロンがあれはお兄様が悪い評判をできるだけもみ消していたからですと苦笑いします。
「いやあ男を連れ込むわ、金は使い放題、かなりすごい妹さんですね」
「あれは昔からああでして…」
「…なので、なんとかしないとなと」
「でもねえ、私、聖女として戻るのはいやですわよ」
妹は甘やかされ、自分が一番! と思うようになり、やりたい放題のわがままでしたわ。
しかし聖女になってもそれとは…。
でもねえ、聖女として戻るのももういやかなと、だって聖女の力は年を取れば無くなります。
そうしたらまたぽいになりそうですわ。
「…なら、癒しの力ではなくて、あなたの薬草の腕をメインに活動はどうでしょう!」
「はあ」
「薬草師として戻ってきてください。あの偽聖女のおかげで神殿もがたがたでして…」
うーん、そういわれたら、なんだか気の毒になってきましたわ。私は殿下ともう婚約しませんし、王家と距離を置けるならとその条件で承諾しました。
あと、シトロンがついてきてくれることが条件でね。
神殿に戻りましたが、まあ薬草師としては元の生活と変わりません。
神官長様は有能みたいで、神殿の評判も元に戻りつつあります。
あ、殿下は聖女を追放した罪で廃嫡になり、第二王子が王太子になりましたが、婚約の件はお断りしました。
「神官って妻帯できるんですよねえ」
私はなんとなく呟いてみると、そうですねとシトロンが薬草を煎じながら頷きます。
「お兄様はまだ独身です」
「…」
シトロンがにこっと笑ってお姉さまというので、まだですわと私は首を振ります。
実は彼に告白されまして、付き合っていますが、結婚はまだです。
でもまあ結婚はできるみたいだし、そろそろかななんて思っています。
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