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第十七話 ヘベウラート領へ

時間が空きまくって申し訳ありませんでした。

生まれつき病的に飽きっぽい性格であり、気力が完全に尽きておりました。

こんな短いのに……。

一応次の話まではできていますが、少々気に入らない出来なのでもしかしたら次の更新も遠くなるかもしれません。

「……その、アーレ」


 いつもと同じ無表情のアーレに対して、迷いながら言葉を投げかける。


「……」


 アーレは無言だ。これからの運命を薄々察しているのだろう。


「まだ婚約の段階で、結婚すらしていないのに、自分は死ぬし、この国も滅ぶかもしれません。本当、婚約者失格ですね」


 今回死ぬのはほぼ確定だろう。


 将軍を味方に戻すだけでもキツイのに、その後に攻め寄せてくる西国とも戦わねばならないのだから。


 いや、恐らく俺が将軍の元へ行っている間に、宣戦布告が行われて攻め込まれるだろう。


 それをわかっていてなお、ヌハマ様やガングニル四世陛下は指示を出したんだと思う。


 極わずかの可能性にかけるために。


 この世界での戦争では、兵糧の準備などは必要ない。


 稲の刈り入れ時を待つ必要などないのだ。


 だって従軍者はせいぜい50人ほどなのだから。


 選りすぐりの強者50人がそれだ。


 掟破りで5人から漏れた強者も使って不意打ちを仕掛けないとも限らないからな。


 まず起こり得ないことではあるが。




 田んぼは今はまだ青田の段階だ。


 しかし、そういう状況なゆえに簡単に攻め込んでくるだろう。


 そうなった場合、将軍も俺も間に合わないし、何もできずにアーレを殺されて終わる。


 村の人たちも圧政に苦しむだろう。


「すみません、ただ、いつかどこかの未来では、きっと……」


 意味のないことを言ってしまった。通じないだろう。

 

 全く意味のないことだろう。


 しかし、アーレは何かを感じ取ったようだ。


「無事に帰ってきて。まだ結婚してもいないのに、未亡人にはなりたくないし、唯一仲良くなれたアリアを失いたくない。だから、これ……」


 アーレが懐から何かを取り出した。


 ……小袋だ。そしてそれを俺に手渡す。


「これは、必勝祈願のお守り。アリアならわかるはず」


 多分、この中にはアーレの右中指の爪と髪の毛、それと血を染み込ませた紙の切れ端が入っているはずだ。


 現代日本的な価値観から見れば、愛が重すぎると取ることもできるが、実際は違う。


 アーレからの俺への恋愛的な愛は2ミリほどしか含まれていないだろう。


 接していてよくわかっている。これは親愛だ。


 『男』としては無念極まりないが、繰り返した後に恋情を育めばいいだけだ。


「……必ず帰ってきます」


 自分でもありえないと思うセリフを吐いてしまった。


 そしてこれは故事の再現でもある。


 有史以来2つ目の戦乱の時代を統一した皇帝、繁永帝メルオドが戦場に向かう際に妻に手渡されたお守りであり、またメデアス戦争の女傑であるサイアが代名詞とも言える戦いの前に妻から貰ったものでもある。


 特に前者のエピソードが有名だが、この場合は後者と掛けているのだろう。


 両カップルとも、人目を憚らずにいちゃつくレベルで仲睦まじく過ごしたというし、俺たちもそうなれることを願おうか。


 そうして、俺はヘベウラート将軍の領地に赴くことになった。






「ここがヘベウラート将軍の領地ですか……」


 領地は将軍の姓であるヘベウラートと同じ名前で、武器製造が盛んだ。


 この世界での武器製造は一点物の製造が主になる。


 小競り合いでは農民同士の戦いなんかも稀に起こるけど、それにしても用心棒あたりが主戦力となる。


 故に、この地では名工が多数誕生した。


 ……あまり栄えてはいないな。


 民たちの表情は特段暗くはないが明るくもない。


 謀反を起こしたのにこの程度で済んでいるので、もしかしたら名君なのかもしれないが。


 まあ、武に重きを置く人だから、あんまり内政とかは得意ではないのだろう。


 人には得意不得意があるものだからここは仕方がない。


 しかし、将軍に密使を送ったところ、一応城へ入ることは受け入れてくれたな。


 望みがゼロというわけではないのだろう。


 普通なら西国への心象を良くするために来た手紙を握りつぶすか、そのまま西国に送り届けるかだ。


「もし、そこの兵士さん」


 門番をしている兵士がいたので、王直筆の手紙を手に取って話しかけた。


「ん、なんでありましょうか、お嬢さん。……いや、待て……その紋章は、オーディン王家の紋章!曲者であります!であえ!であえ!」


 証として王家の紋章が刻まれた首飾りをかけているので、どうやら勘違いされてしまったようだ。


 他の兵士には話が行っているらしく、困り顔でこちらを見ていた。


「……本当に曲者であるのならば、こんな目立つものをぶらさげて、堂々と関所を通ることすらできなかったはずですが?」


「……む、たしかに。これは失礼いたしました。……ンジャハ殿、これは一体どういう」


 なにやら兵士たちでコソコソ話をしているようだが、身体能力がだいぶ上がったせいで聞こえちゃうんだよね。


 まあ、機密事項とかは漏らしてないようだけど。


 残念だ。


「さあ、お通りを」


 んじゃあ、道筋だけでも見つけに行こうか。

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