その1 〜 自由の女神さま 〜
おもしろくしようとネタをこねくり回していたら、初回からひどいことになりました。
あくまでも他意はありませんのでね、人類の歴史の一幕……ってことで。
うちの店長はブラックだ。なにを隠そう、ことあるごとにお客さまを神格化してしまうのだ。
〜 自由の女神さま 〜
「おい、新人」
「なんですか」
ある日の昼、店長は私をつかまえて教えてくれた。
「今入ってきた、松明とバイブルを持っていそうなベッピンさんがいるだろう」
「はい、あの高貴そうな女性ですね、ってなんですかその喩え」
「明白なる天命だ」
私と店長は、しばらくそのお客さまを注視していた。
「今日はなんだかイラついてるな」
「恋人と喧嘩でもしたんでしょうか」
「あるいはマミーとかもしれん。そんでウチへ来て気晴らししようって魂胆なんだな」
「ああっ、ナプキン噛んでますよ」
「ほら始まった、おひとりさま茶会事件」
「ああ、鉢植えの木にナイフぶっ刺してますよ」
「フランクリンに弁償させる気だな」
「ああ、こんどはテーブルにまで……やめさせなくちゃ」
慌てる私に、店長はきっぱりと言った。
「放っておけ」
「……え」
「放っておけ」
「でも……」
店長が言うには、こうだ。
「触らぬ客に祟りなし、だ」
「あ……、はい」
―― 私はか弱いバイトの身。黒いものには巻かれておこう。
海外にも、いろいろな歴史があるのですね……って話です。他意はありません。
好きですよ、ハリウッド映画。