4.リアルマジックガールの相談室(後編)
こんにちは!
遅くなりましたが、リアルマジックガールの相談室、後編です!
「にゃーるは、恋の方法が分からなくて来たにゃす……」
オレンジの瞳をうるませ、ニャーラルさんは言った。
これが、俺の、初相談の内容だ。
うぅ、緊張してきた……!
深呼吸、深呼吸………。
「───ふぅ。じゃあ、早速、相談室を始めますね」
「待って待って〜。始めないで〜」
と、ドアを開けて入ってきたのは………え!?
ヒロさん!?寝てなかったっけ!?
「な、何にゃすか!?変態さんは、出ていくにゃす!!!」
「だから〜、あれは熱を図ろうと……あ〜、そんな事より、これ、差し入れだよ〜」
と、両手で優しく持っていた白いカップを、ニャーラルさんに渡した。
ふわり、と甘い匂いが部屋に広がった。
────あ、キャラメルマキアートの匂いだ。
母さんが、よく飲んでたな〜。
「な、何にゃす!?これに毒薬でも入ってるにゃすかあああ!?」
「誰が入れるか。ヒロさんが入れるわけねーだろ」
「入れそうにゃす!人は見た目が0.5%にゃす!」
「低いわ!どこのデータだよ!」
「まーまー、落ち着いて。それより、このクリームすごくない?」
真花に言われ、俺たち2人は、コップの中をのぞいた。
「にゃっ!クリームが白猫になっているにゃす!」
「すっげえ!クオリティ高っ!」
そう。キャラメル色の海の中に、眠そうに目を開いた白猫の島があった。可愛い!
「えへへ〜。僕の実家、喫茶店なんだ〜。だから、よくやってたんだ〜」
にこにこ笑いながら、ヒロさんは言った。
こく、こく、こく、、、、、ごくん。
「おいし……わ、悪くは、ないにゃす!」
「よかった〜。うれし〜」
細い目をいっそう細くして、ヒロさんは笑った。
────って。そろそろ始めなくては。
「こほん。ではでは、今度こそ相談室を始めます。今回担当させていただきます、『下宮理雄』です。早速、お名前、出身地、お誕生日を教えてください」
「にゃすっ!にゃーるは、ニャーラル・クマージ!魔界出身で、10月20日生まれにゃす!」
「えーと、10月はトルマリンね。」
桃色のメモ帳に、赤のシャーペンで書いていく真花。
……あ、記録係の仕事か。何しているのかと思った。
「───あ、私のことは気にせずに、続きをどぞ。」
「あ、おっけい。では、ニャーラルさん、確か、相談内容は、『恋の方法を知りたい』でしたよね?なぜ、知りたいのか、理由を教えてください」
「は、はいにゃす。えと、、、、、、、、、理由は、にゃーるの妹にあるにゃす。名前は、ご存知にゃすよね?」
「え?そもそも、妹がいることすら、存じておりません」
「にゃす!?前回の後書きで話したでしょうが!!」
「あ〜、そうだった〜。ミヤリオくんと2人で話してた〜」
「あ、そうでした(๑>•̀๑)」
「気持ち悪いにゃす( ˙-˙ )とにかく、にゃーるの妹、ミーラル・クマージには、マジックスクール小等部2年生の頃から彼氏がいるにゃす。………もちろん、本気の恋で、付き合っているにゃす……。だから、格差を感じてしまって………」
「なるほど。妹に負けたくない、その思いで悩み始めたのですか。」
「ちなみに、ニャーラルちゃんは、告白されたことある?」
「にゃす?そうにゃすね……12回ぐらい?にゃす?」
「………あ、そうなのへーすごい」
「格差…」という言葉が聞こえたような?
「あ、えーと、恋の方法を知りたいんだよね?それなら、めっちゃいいものがあるよ!」
と、ずっと抱えていたニャーラルさんの服とメモ帳をベッドに置き、戸棚から、何冊かの本とパンフレット、丸めたポスターを取り出した。
ちなみに、ココは、真花の部屋。昨夜、ヒロさんが看病する代わりに、真花がヒロさんの部屋に泊まった。
───んで、この本のタイトルは……
「───こ、こいこいサクラ?詐欺系?」
「ちっがう!!!桜から始まる恋愛短編集!!!」
「あ〜。この前、映画化されてたよね〜」
「イエス!ヒロさん!私10回は観たよ!」
「10回にゃす!?同じものを!?」
「イエス!ニャーラルちゃん!だって、見飽きないもん☆」
すげー、この人。
「短編小説が10巻まで発売されていて、マンガは3巻!ゆっくり恋を知っていってね☆」
「うにゃ!ありがとにゃす!」
ニコッと2人は笑った。
「あ、そうそう!1巻読み終わったら、相関図を書いてみるといいよ!」
「ソウカンズ?何の図にゃす?」
「相関図はね、登場人物の関係を表したものなの!
例えば、太郎─♡→花子 みたいなものかな♪」
「にしても、書く意味あるのか?」
「まだまだですな、下宮くん。だってさ、たまに関係が分からなくなる物語ってあるじゃん( ̄ー+ ̄)」
うわ、ドヤ顔。腹立つ( ˙-˙ )
「にゃるほど〜!参考にするにゃす!!!」
オレンジの瞳をキラキラさせながら、ニャーラルさんは言った。
てか、あとはニャーラルさんが恋の方法覚えるだけじゃん。なんか、寂しいな、俺が相談員なのに( ˙-˙ )
「あはは〜、下宮くん、スネてるね〜」
と、首だけ向けて、ヒロさんが笑った。って!!
「す、スネてないですって!!!!!」
ドンッ
と、ヒロさんを押した。
それに、少し力をこめすぎてしまった。
ヒロさんは態勢を崩し、白いカップを持ったニャーラルさんに突っ込ん………
ど ん っ
「「──────────────。」」
「「か、壁、ドン!!!!!!!!」」
真花と俺の黄色い声が重なった。
顔の赤い、黙りこくったヒロさんとニャーラルさんを見つめながら、俺たち2人は、爆笑したのだった。
───☆初相談、無事解決☆────
「にゃーるが乗ってきた箒は、魔法の杖に呪文をかけたものにゃす!この魔法の杖は、呪文をかければ何にだってなれるにゃす!」
「すごいね〜。魔女って奥が深〜い☆」
「にゃす!もっと教えてあげるにゃす☆」
まだまだ、顔の赤い2人であった。