表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
29/33

13.予告状の相談室(前編1)

「理雄っ!」


パチ


……見ると、どんよりとした曇り空の下、お下げ髪の少女が俺をじっと見ていた。

あ、たまに見る夢の世界か。ここ。


「やーーーーーーーっと起きた!もーこんなに会えないの合宿ぶりだよー!」


────あ、はい。


「反応うすっ。あ、ねーねー最近どうだった?」


────どうって……色んな相談者さんが来て、解決していったよ。


「そっかー!あ、私の先輩格言聞いた?演劇の!」


先輩格言?………あ、あれか。秋宮兄妹のときの。


────うん。すごく。おかげで一歩踏み出せたよ。


「良かったー!……あ、もう目がとろんとしてる!はーやーいー!」


確かに眠……あぁ……もう……終わり……か………


────また………会おう………な……


「えっ」


ほおを赤らめた少女。

もう少し見ていたかったけど、残念ながら意識が途絶えた。

「おはようございます」

夢見心地な幸せ気分の俺に対し、この世の終わりのような雰囲気をまとい、珍しく1番遅く起きてきた真花。


「おはよう。どしたん」

「真花ちゃ〜ん、具合でも悪いの〜?」

「悪くない……です……」

声が暗い。そのまま、いつもの真ん中の席のカウンター側に座り、机につっぷした。


「ぶへっ」

「大丈夫か。本当にどうしたんだよ」

「……聞きたい?」

「聞かれたくなかったら聞かない」

「実はね……」

聞かれたいんだ。


「……私としたことが、あづはるさんの誕生日聞いてなかったんだ……」

「……aduharu?」

「何で外国人調なの。あづさんとはるさんの事だよ」

「あ、はい」

あれから真花は前回の相談者、大読或月(おおよみあづき)さんのことをあづさんと呼ぶ。そして、明津玄岳(みょうづはるが)さんのことをはるさんと呼ぶ。多分、それをくっつけてあづはるさん。以上。


「で!あづさんはメール交換してたから聞けたんだけど、玄岳さんと交換するの忘れてたから聞けないの!本人に直接聞きたいんだけどどうしよおおおお」

「そんな心の致命傷になるの?てか、或月さんに玄岳さんの連絡先送ってもらえばいいじゃん。そうすれば交換出来るよ」

「!!何それ知らない!ありがとう!頼んでみる!」

「うい」

「とりあえず朝ごはん食べてからね〜。今日オムレツだよ〜」

「「初オムレツだ!!」」

こうして、今日も元気よく朝が始まっていった。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


お騒がせした朝の一件が解決し、穏やかな午前。


コトッ


………ん?

「何か今、音しませんでした?」

「え?そう?」

「僕見てくるね〜」

「あ。ありがとうございます」

ヒロさんが白猫ベルを鳴らして外の様子を見に行った。すぐ戻ってきた。


「よこくじょ〜、だって〜」

「「よ、予告状!?」」

え、まじやん。入ってたカードの1番上に書いてある。


「何でそんなものが……」

「読んでみるね〜。え〜と〜、

"コロウマ相談室の皆様へ。早速ですが、10分以内にこちらへいらっしゃって下さい。もし、時間切れになったら、あなた達のハ〜トをちょ〜だい致します。───新聞社Ru-Blunpa"

だって〜」


……………は?

「え、どういうこと?」

「つまり……この新聞社行かないと死ぬってこと?」

「え、死ぬん?でももう死んでね?」

「だから消滅させるってことじゃない?はーと、って心臓のことでしょ?」

「えええええ嫌だ消滅したくない!!!」

「私も嫌だあああああ!!」

「ま〜ま〜2人とも落ち着いて〜。後ろに地図書いてあるし、いつも通りの方法で行けそうだから行ってみよ〜」

「「行くんですか!?」」

いや、そりゃあ行ってみたい気持ちはあるけど、何が起こるか分からないし………


「大丈夫〜。何かあったらフライパンで戦えばい〜し〜。みんなの分もあるよ〜」

「うー……フライパンあれば安心かな。うん」

「まじで!?」

「よ〜し、ペガ車に乗ろ〜」

「おー!」

「え、えぇ………」

てかこれ、相談っぽくない気がするんだけど…………


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


てなわけで、秘密のペガ車の仕組み──説明は後日──であっという間に新聞社、Ru-Blanpaに着いた。


ちなみにここは、人形の異世界、形界にあった。

しかも、ここは日本人形ではなくドールハウスに住んでるような人形が住んでいる。だから、人も街もメルヘンチック。建物の雰囲気可愛いし、白馬の王子様が住んでそうなお城まである。


そしてこの新聞社は、緑色の屋根と二階建てのレンガ造りの建物。二階の窓と茶色いドアの間に、Ru-Blanpaと書かれた文字。


「ほ、本当に来てしまった……」

「本当にあったね……」

「わ〜かわい〜」

と、それぞれフライパンを持ちながら言う。


「は〜い、みんなジャンケンしよ〜」

「え?何でですか?」

「ノックする人決めるの〜。はい、せ〜の、じゃ〜んけ〜んぽん」


…………負けた。


「はい、レッツゴー!」

「がんばれミヤリオく〜ん」

「えぇ……」

今日すっげぇ振り回されてるなぁ……


コンコン


───ガチャ


「あ、こ、こんにちは」

反射的に挨拶をする。出てきたのは、深緑のスーツを着た金髪メガネの青年だった。


「こんにちは。あの……料理人形の方々ですか?」

「あ、違います。あの、予告状(?)をもらって来ました、コロウマ相談室の者です。」

「………えっ、こ、コロウマ相談室!?え、ちょる、あ、……だいき!!」

慌ただしく、奥の方へ行ってしまった。普通にいい人そうに見えたな………


「何だい?」

奥の方から、もうひとり青年が出てきた。

黒髪、同じ深緑のスーツ。白い手袋をはめた左手には、黒いシルクハット。やけに、紳士っぽい。


「こっ、この方々、コロウマ相談室の人たちだって」

「───あぁ。すみません、突然お呼び出して。どうか、予告状でのご無礼をお許しください。どうしても用があって行けなかったものですから」

「あ、いえいえ。……ここ、Ru-Blanpaであっていますか?」

「ええ、もちろん。本当に、ようこそお越しくださいました。どうぞ中へ」


……入って、みようか。


俺たち3人は目配せをして、でも心配なのでフライパンを抱えて、中へ入っていった。


長らくお待たせして、すみませんでした!

次回もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ