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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
28/33

12.異世界転生達の恋愛模様と相談会議

STAAAAAAAART!!

チリンチリン……


「おはようございます!」

「あ、間千(まち)さんと紅琴(あこ)ちゃん!おはようございまーす!」

「おはようございます」

爽やかな午前のコロウマ相談室に、秋宮(しゅうぐう)兄妹が来た。


「おはようございます!朝早くからどうされたんですか?」

「どうも何も!!このニュース見たからには来ないと!」

「ニュース?」

「朝からうるっさかったんですよ、お兄ちゃん」

「な、仕方ないだろ……これです!」

ばっ、とスマホを見せる秋宮さん。


『LOstVE 元ギタリストMyou復帰 脱退は誤報』


「もーーーーー!!本っ当に嬉しすぎます!!」

「あぁ、本当に良かったですよね!玄岳さん」

「???はる……誰ですか?」

「ぅえ!?あ、い、いや、ま、間違えました、Myouさん。はい」

「?」

危ない危ない。ギリギリアウトかな……だめやん。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


さて、俺たちはあの後、トワイライト探偵事務所に戻り、ふたりの今までの話を聞かせてもらった。

Myouさんの話がバンドのことになり、色々あってLOstVEのギタリストだということが分かった。

分かった瞬間は、叫ぶに叫び切れないほど叫んだ、し、謝るに謝り切れないほど謝った。

俺の一言で、実は休止だったらしいが、それでも好きなことから離れさせてしまったのを悔やんだから。


あんなこと言わなければ良かった。


そんな俺に玄岳さんは、結局会えたんだから別にいいと言ってくれた。心もイケメンだと思った。


十時院夢光(じゅうじいんゆかり)さん、改め大読或月(おおよみあづき)さんはとても驚いていた。

そういえば、記憶の中にあるバンドがよく出てくるんです。特に、そのギタリスト。ふと思い出すと、鼓動がいきなり大きくなったりして。もしかして、それは、玄岳がそのバンドを好きだったからなの?


その問いに、玄岳さんはああ、と言った。

別にお前がそのバンド好きでそのギタリストが特に好きだから真似してやってて自分もそのうちハマってしまって転生後にバンドあぁLOstVEとか言うやつを結成して童界のネットで活動してたら凄いことになったとかそういうのじゃないからな。


肺活量と玄岳さんがLOstVEのMyouだということに驚かされたのは、この時だった。


……そういえば、磐瀬常郎(いわせじろう)所長はずっとニコニコしていた。俺たちに何度も感謝を述べてくれて、玄岳さんには激しく握手をしていた。

ありがとう、ありがとう。

或月さんより感謝していたと思う。


───本当に、この相談を受け、解決出来て良かったと思った。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


秋宮兄妹が帰宅したあと、俺たちは相談室に集まった。

「はてさて、さてはて!今日は相談室の開室時間と閉室時間、相談費を決めまーっす!」

「「は〜い」」

「てか、相談費って普通にもので良くね?」

「確かに〜、さんせ〜」

「おっけい!じゃあそれで行こ!じゃあ次は開室時間と閉室時間だけど、9時から19時まではどう?」

「10時間か。いいと思うけど昼食とかどうする?」

「お昼休み必要だね〜。1時間くらいでいいなら、12時から13時にしよ〜。あ、でも、作れるかな〜」

「じゃあ13時半まで!」

「い〜ね〜。さんせ〜」

次に張り紙作りの話題になった。


「どうする?手書きだとちょっと(ざつ)くない?」

「じゃあ、スマホで書いたものをコピ〜機に転送して印刷、でいいかな〜?」

「いいですね。でも、うちにコピー機ってありませんよね?」

「確かに〜、でも〜未だ明かされぬドアがあるからそこにあるかも〜」

「そんなのあるの!?」

「うん〜。厨房の奥〜」

というわけで、カウンターの奥の厨房、それまた奥の突き当たりにあるドアの前に来た。特に怪しくもない、漆黒という言葉が似合う黒いドア。ツヤツヤしていて、何は大人っぽい部屋が広がってそうだ。


「なんで今まで開けなかったんですか?」

「みんなで開けよ〜と思ってほっといたの〜」

「なるほ。そんじゃ下宮くん、よろしくう」

「なんでドアになると俺なの」

「初めはやっぱり下宮くんだからです☆」

「お願いミヤリオく〜ん」

「はぁ……分かりましたよ」

ドアノブを恐る恐る握り、そぉっ、とドアを開け


「開けるな!!!!」


!!!?


「ち、厨二病!」

真花が言う。目の前には、銀髪で右目を隠した、黒いコートのガブリエル(仮)さんがいた。


「おい下の愚民!今すぐそれから手を離せ!」

「えっ、あ、は、はい」

「ガブさ〜ん、何か入ってるの?あれに〜」

「よの恥ずかしいやつだ!」

「さらに気になる」

「あああああああっ、開けるな開けるな開けるなあああああっ!」

「ご、ごめん」

何だろ、ガブリエル(仮)さんの恥ずかしいやつって。黒歴史?今の方が黒歴史じゃね?


「ふぅ……わるい、いきなり叫んで」

「い、いえ、俺も開けようとして」

「なんで開けようとしたんだ」

「僕がね〜、コピー機がそこにあるんじゃないか、って思って〜」

「ドア開けて、って言ったのは私」

「そして開けかけたのが下の愚民ってことか。まぁ、目的があって開けたんだったらいい。コピー機か……なんで必要なんだ?」

「張り紙作ろうと思って〜」

「それならよがチラシ作ってるからそれでいいじゃないか、開室時間とか閉室時間は決めてないし書いてないが」

「あ、そういやガブリエル(仮)さん、チラシ作ってるんですよね」

「あぁ、こんなデザインのだが」

ポケットから丁寧に畳まれたチラシを取り出した。


………あ、味のある、手書き。


「雑いね」

「天下のガブリエル様になんて失礼なことを。達筆と言え、達筆と」

「確かに、開室時間とか書いてないね〜」

「本当だ。あ、でも相談費はお金以外の物って書いてありますね」

「ああ、お金はよ達が寄付しているからな」

「あ、そうなんですか。ありがとうございます、ガブリエル(仮)さん」

「敬意を表したのは分かったがその呼び方やめろ」

「ありがとう厨二病」

「ありがとうガブさん」

「お前らは本名を覚えろ」

いや、それは言えないと思う。俺のこと下の愚民って言うし。


「てか、厨二病はなんで来たん?」

「ん?あぁ、水晶を届けに来た。ほい」

と、それぞれに水晶を配った。黄緑っぽい綺麗な水晶は、より一層輝きが増した気がした。


「コピー機は、そうだな、悪いがコンビニでも言ってくれ。無料じゃなくて悪いな」

「了解で〜す。あ、チラシほんと〜にありがとうございました〜」

「……あぁ。じゃあ、せいぜい相談頑張れよ、愚民共」

そう、冷たくどこか温かいメッセージを残し、ガブリエル(仮)さんは帰ってしまった。


後日、俺たちは案を出し合ってチラシのデザインを作り、とあるコンビニで印刷したのであった。

「話は戻り、玄岳さんは住むところ全部無くなったのでトワイライト探偵事務所に居候することになりましたー」

「また展開が気になりますなあ」

「てかわけで〜、次回もお楽しみに〜」

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