表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
25/33

11.黄昏探偵の相談室(中編2)

「ぃ………きみ………君!」


ぱち


目を開けると、黒メガネをかけた初老のおじさんがいた。瞬きをすると、ふぅ、と顔を緩ませた。

「良かったぁ。大丈夫?」

「あ、はい………った!」

「大丈夫じゃないね。頭打った?ちょっと見せて」

「あ、ありがとうございます

てか、目も痛い。さっきの強い光にやられたな……


待って。

「真花、ヒロさん、夢光さん……なんで倒れて……」

「そうなんだよーなんかみんな倒れててびっくりしちゃって………あれ?夢光ちゃんのこと知ってるの?」

「はい。あ、もしかして、常連の人ですか?」

「あー僕、ここの所長です」

「………所長!!!!?」

びっくり。所長さんの方がびっくりしてるけど。


「んぅ……何事ぉ……?」

「ふぁ〜………雷でも落ちたのかな〜……」

「ぅ………か、雷!?え、うそ、事務所が丸焼けになってしまう!!」

え、そんな大きかった?俺の声。みんな無事に起きたんだけど。


「みんな、雷落ちてないから平気だよ」

「あ、良かった……って、じろうさん!!」

「じろ〜さん?あ、初めまして〜」

「どうもー。常連の方ですか?」

「なんでみんな常連に見えるのかな。僕は、ここの所長の磐瀬 常郎(いわせ じろう)です」

「あ、失礼しました。お邪魔してます」

すくっ、と3人とも立った。俺もよろけながら、ゆっくり立った。頭と目がまだ痛む。


「ところで、夢光ちゃん、この3人がそうなんだね」

「はい。あの………すみません。先に謝らせてください」

ばっ、と体を折った。


「すみません。何も説明せずにやってしまった私がいけませんでした。本当に、怖い思いをさせてすみませんでした」

「……説明?」

あの濃いピンクの光と、強すぎる白い光のことだろうか。やっぱり、なにか仕組みがあったらしい。


と、常郎所長が前に出た。

「夢光ちゃん、なんで言わなかったの?こういう「もしも」があるから言っとけって言ったじゃないか。なんで言わなかったの」

「……怖かったから、です」

「でも、ちゃんと知れてよかった。恐ろしいだろ?自分も意識が消えてしまうぐらいなんだから」

「……はい。」

こくん、と頷いた。


そして、決心した瞳で俺たちを見た。

「今からちゃんと説明します。依頼を解決する私の方法と、今起きたことを」

「あー待って待って。立たせたままじゃ悪いでしょ。奥の方に来な。ちょうど、新メニューのいちごタルトを持ってきたから」

ねっ、と笑いかけた。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


そしてまた、食堂(?)に戻った。

きちんといちごタルト(ルビーボックスだとか)を食べ終わったあとで、夢光さんは常郎所長の隣で話し始めた。


「まず、この能力から話します。これは、童界に()()()()転生した時に得たものです」

「なるほー……間違って!!?」

ポケットから取り出しかけたメモ帳とペンを落としかけた真花。


「はい。原因は、私が10代の頃に記憶を失くしたことにあるそうなんですけど、ハッキリとは未だに分かっていません」

「記憶を……」

「あ、特にそこは気にしてないです。その後の人生にも影響は無かったので。それで、その後中界で手続きを済ませて天界人になったんですけど、童界特有の能力は消えませんでした。」

言葉を切った。


「……その『能力』というのは、時計と記憶を共有できるものなんです」


「共有方法は3つあります。

1.時計に直接触れ、決まった言葉を言い、共有したい

時間とそれが今日から何日前かを心の中で伝える

2.時計に手をかざし、同じことをする

3.別の時計を経由して、共有したい場所にある時計と

記憶を共有する

この3つです」

「質問いいですか?」

真花が間髪入れずに言った。夢光さんは頷いた。


「あの濃いピンクの光と、強すぎる白い光はなんですか?」

「はい。まず、濃いピンクの光は、記憶を共有する道みたいなものです。最初からあの色でした。そして、白い光は………えと………」

戸惑ってる。


「……その、私も初めて見たので、詳しいことはわかりませんが、多分その場面に時計自身が強い想いを抱いていたんだと思います」

「なるほど....」

「あ、俺も質問いいですか?」

「はい」

「『手続き』を済ませた後すぐにココへ来たんですか?」

「あー、いや。僕が引き取ったんだ。『クォーツ』の前でぶっ倒れてたから」

「「「えぇ!?」」」

ぶ、ぶっ倒れてたって……事件でも起きたのか!?


「え、えと.....ケーキ食べたかったんで、能力を使って調べたら出てきたんです。でも、お腹がすきすぎてお店の前で倒れてしまって………」

「ありゃー」

「急いでアップルパイあげたらここで働きたいって言ってね。でも、なんだったら人手不足の探偵業務に回ってほしいと思ってねぇ」

「なるほど〜」

「まぁ、人手不足って言うほど以来は来ないけどね、はははっ!さーて捜索の続きでもしますかーっ!僕も手伝うよーっ!おー!」

「は、はい!おー!」

「おー!」

「お〜!」

「……あ、お、おー。」

こ、こうして、捜索は再開された。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


「んぅ〜。みんなカッコイイね〜」

どうやら、共有した記憶は外に出すことが出来るらしく、さっき出した白い布に、イケメン男性が何名か映し出されている。何となく、防犯カメラの映像を見てるような感じだ。


「だけど、2.5次元イケメンはなかなかいないな」

「てかさ、その2.5次元イケメンって何?」

「え?芸能人にいてもおかしくない、不思議なオーラを持つイケメンのことですっ☆」

「あー。てか、なんでその種類のイケメンとして探してんの?」

「『ツクヨミ』さんが神天使、だからですよね?」

「そーです!ゆかさん!」

「あーっ、なるほど」

てか、年上だし真花のニックネーム付けは行われないと思ったけど、見当違いだったな。


「3人ともー。そういえば何時に帰るの?」

「特に決めてないです〜」

「もう暗くなってきたし、夕飯はこっちで食べな。お手伝いはいいからね」

「え、あ、ありがとうございます!!」

「真花ちゃん、常郎さんのパスタ美味しいよー!」

「ほんとですか!やったー!」

「お〜٩(●˙▿˙●)۶…⋆ฺ」

パスタ久々だなー。楽しみ!常郎さんは俺たちの喜ぶ姿に微笑みながら、奥の方に行った。


ヴーっ


……んっ?メール……あ、Harugaさん

えーと。『リオ、久しぶり。とりあえず天界全部回るの無理だから、リオの参考書を待つことにした。

それと、俺の幼なじみの特徴を書いておく。

1.黒髪ロング、色白

2.160cmぐらい

3.純白の砂時計のブレスレットを付けてる

このくらいだ。

何かあったら連絡してくれ。俺もまた、連絡する。』


おぉ、有力情報だ。そういや、Harugaさんも幼なじみ探してるんだよな。アマテラスさんと同じくらい、こっちも頑張って捜索しなきゃな。


「いないようなんで、次の画像出しますね」

「お願いしまーっす!」

ぶわっ、と紫色っぽい光があたりを包み、夢光さんは光をぐっと掴むと、白い布に放った。これまたイケメン勢揃い。


「さーいませんかー、2.5次元さんはーっ」

「……あっ!!」

「どうした下宮くん」

「こ、この人!」

「んぉ……誰?」

「………。こないだあったイケメンギタリストの」

「あ、あああ!あの2.5か!」

「略しすぎじゃね?……って、夢光さん!!?」

「……は………す、すみま……ぜん」

な、なぜか泣いてる!!?


「……そっ、その人、知り合いです。だいぶ長く会ってませんけど」

「あ、そうなんですか!?」

「へぇ……またストーリーがありそうですなぁ……」

真花がニヤつき始めた。


……ん?Harugaさん知ってるってことは、幼なじみさんも知ってるかも?

「あの、夢光さ」





「幼なじみさんでしょ〜?」




と、ヒロさん。


「……え?」

「だから、その2.5次元のイケメンギタリストさんは夢光さんの幼なじみでしょ〜?だからつまり、この人はツクヨミさん」

「ち、違いますよ?その人はただの知り合」

「ただの知り合いには泣かないよ〜。ずっと離れてた大切な人じゃないと人間は〜」


………沈黙。

それを確認してから、ヒロさんはもう1回口を開けた。


「夢光さんなりのプライドがあったのかよく分からないけど〜……そろそろ全てを話してほし〜な、『アマテラス』さん〜」


「………え?」

真花と俺は、夢光さんを見た。


夢光さんの紫色の目が、淡い光とともに元に戻った。

後編へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ