11.黄昏探偵の相談室(中編1)
大変長らくお待たせしました!!
黄昏探偵の相談室、スタートです!
───数時間後。
俺たちは、ペガ車に乗ってトワイライト探偵事務所に来ていた。依頼主『アマテラス』さんに依頼受諾のメールを送るためだ。
はてさて、それを送る今回の相談者、十時院夢光さんを待つ間何をしているかというと…………
ちっ、ちっ、ちっ…………
事務所の出入口付近に大量にある、置時計と掛け時計。それらの針の音がやけに響く。
なにせ、俺の目の前には、やけに気難しい顔をした真花と、やけに嬉しそうに、ココの所長の手作りアップルパイ(この人ケーキ屋店長兼探偵事務所所長らしい。そっちの方が儲かってるとか否とか)を食べるヒロさんがいる。
……気まずい。温度差が激しくて気まずい。
「失礼しま………み、皆さん?どうしたんですか?」
「ゆ、夢光さん。えーと、実はまk」
「夢光さん!!なんでアマテラスさん来ないんですか!?本当に多忙なんですか!?詐欺とかじゃないですよねこれ!すみませんとても失礼ですが言わせてもらいます!!!」
と、俺を遮り、怒りをあらわにした真花。……まぁ、確かに俺も、依頼した本人が捜査に参加しないのが納得いってない。本当に探したいのかなと思ってしまう。
「そ、それは絶対本当です。本物の依頼者さんですよ。詐欺だったら、そんな細かに探したい人の特徴を送りませんし。」
「………確かに」
圧倒されながらも真剣に答えた夢光さん。真花も真面目な顔になり、ピンクのノートのページを見つめた。
『ツクヨミ
○黒髪短髪
○色白イケメン
○高身長
○頭良い、運動出来る
○何かの楽器が弾ける、何処かのバンドが好き
◯犬好き』
まとめると、『容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能などなど』だ。完璧すぎじゃん。二次元のキャラだったとかのオチじゃないよね?
「ごくっ………それで〜、なんでツクヨミって名前なの〜?」
「名前ないと可哀想だし、アマテラスと言ったらツクヨミだから。あと、ツクヨミって男性神だから」
「え、男性なんだ。知らなかった。」
「そうなんですか。私も初耳です」
ツクヨミって、ゲームの最強キャラの常連だよな。どのゲームでもゲットしたことないけど。
……あ、大切なことを聞かなくては。
「ところで、一応『異世界別絶対いくべきおすすめスポット 男女兼用版』から捜索場所決めたんですけど……」
「……どうされたんですか?」
「本当に見つけられるのか心配で……。この雑誌使ってその場所に行っても、考えてみたらいない可能性の方が高いじゃないですか。だから、どのように捜査をするのかなー、って」
どうなんだろう。今回みたいな以来って多いのかな?そればかり気になっている。人ひとり探すためには天界の中の日本全域を回らなければいけないし。
どうなんだろうか………
「あ、すみません。捜査方法言ってなくて。確かに、合点が行きませんよね。でも、大丈夫です。とりあえず、その場所を見てみましょうか」
「あ、はーい。」
「あ、いえ、雑誌ではなく、本物を、です」
「あ、は〜い。」
「あ、いえ、行くのではなく、見る、です」
「え、あの、どうやって?」
「えと……とりあえず、こちらへ来てください」
と、出入口に案内された。振り子時計やデジタル時計、学校にあるような丸い時計もある。この時計たち、何か変なところがあるようには見えないけど……
と、夢光さんが雑誌をめくった。付箋が貼ってあるページを全て読み、机に置いた。
そして、ばっ、と右手を掛け時計に向け、左手を大量の置時計の方に向けた。
すぅ………
『………過去と未来をつなぎ
今をしろしめし
時よ
吾が手に力を宿せ 』
……ぶわっ、、
と、ピンクと紫の間のような色の光が、全ての時計から溢れた。
「「「………!!!」」」
ひ、光が吸い込まれてる!夢光さんの手に!まるで魔法みたいだな…………何が、起きてるんだろう………
と、次の瞬間。
夢光さんが、色の変わった、光と同じ色をした瞳の夢光さんが、バッチリ目を開けた。何かを、見つけたように。
でも、次の瞬間、その表情は『怯え』になっていた。
きぃぃぃぃぃいいいっ!!!!!
「はぇ!?」
思わず声を出してしまった。い、いや、なんかいきなり光が強くなって………てか、眩し…………
ゾグッ
嫌な寒気。人生で初めて感じた。………あ、でも感じたことあるな、1回。いつだっけ………な………
ぼうっ、と考えていたら、なぜか眠くなった。
ふっ、と身を任せた。
ドタンっ 。 バタンっ 。 ドサっ 。
ガタンっ 。
…………いっぱい倒れた音がした。
☆☆☆十時院夢光さんの格好☆☆☆☆
○白いワンピース
○白い肌
○白い靴
○黒髪ロング
真花の結論
「白い肌に生まれたかった。」
「全然関係ねーじゃん」