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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
23/33

11.黄昏探偵の相談室(前編)

LOstVE


○メンバー

『Sou 』ボーカル &ベース

『MYou』ギター

『Wou』 ドラム


○活動状況

•童界のSNS上で活躍している

•ライブもするが、顔出しはしておらず、みんなサングラスを掛けている(それぞれ色が違うとか)


○特徴

•童界の若者に絶大的な人気を誇る

•Wowのみ童界出身(なんかの童話のオオカミ)

•MYouとSouは同時期に天界に転生した


By 秋宮間千さんがくれたメモ


「………LOstVe。」

秋宮間千(しゅうぐうまち)さんが差し出したスマホの画面には、そのバンドグループと『脱退』という文字が太文字で書かれていた。


そういや、あの、昨日聴いた曲って……でも、なんで


と、がしっ、と肩を掴まれた。回転椅子が、きし、と鳴った


………え。

「LOstVEのメンバーが突然脱退したんです!!初めての童界ツアー終わったばかりなのに……なのにいいいい!!」

「お、おわーあ、あ、あ、あー!?」

「ちょ……お兄ちゃん!?もう、何してんの!!」

べり、と俺の肩を揺らす間千さんが剥がれた。め、目が回った……


「あ、紅琴(あこ)さん!」

「おひさ、相談員くん!」

しゅぱ、と敬礼をしたのは、間千さんの妹の紅琴さんだった。黒と白のシマシマTシャツ、ジーパンに赤ずきんという格好。


「あ、なんか書いてたの?ごめんね、うちのお兄ちゃんが。そのニュース見た瞬間、ここに行くって聞かなくてさぁ。今日、学校休みでよかったよ」

「な、なんでわざわざここに?」

「だって、童界のニュースは童界でしか見られないんですよ!!知らないなんて嫌じゃないですか!!」

「あ、ここ全部の異世界のニュース見れます。」

「えっ、そうなんですか!?なんだぁ、良かったぁ」

ほっ、とした顔になった。

全部の異世界の人が来るからかな?現界以外のあれこれは見れたり聴けたり出来る。


「あ。ところで、脱退したメンバーは?」

「ギター担当のMYouさんです!!ギターが上手くて色白でイケメンで………あ、顔出ししてなくて、ライブの時もみんなサングラスつけてるんですけどね。でもあふれるオーラが凄いというか……はぁ……」

感嘆と落胆が混ざったため息をもらした。


「げ、元気だしてください!その、ろ、LOstVEが解散するわけじゃないんですし!これからも応援してれば復活すると思います!」

「下宮さん…………ありがとうございます。いきなり押しかけてすみませんでした。じゃあ。」

力なく笑い、心配そうに見つめる妹を連れて帰ってしまった。


……こんなにも落胆するファンがいるのに、なんで突然脱退してしまったんだろうか………


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


二人を見送ったあと、LOstVEのニュースを見返してたら相談者が来た。俺たちの自己紹介を済ませると、彼女は白い名刺を差し出した。


『トワイライト探偵事務所 探偵 十時院 夢光』


「「た……探偵!?」」

「は、はい。」

思わず真花と俺は身を乗り出してしまった。この女性が、あの探偵………。

そういや、俺推理小説大好きだから憧れてたなぁ。推理できないから辞めたけど。


「あの、すっごく失礼なんですけどお名前なんて読むんですか?」

「じゅうじいん ゆかりです。」

「お〜٩(●˙▿˙●)۶…⋆ฺすごく素敵な名前ですね〜」

「あ、ありがとうございます。」

「では、夢光さん、早速相談内容を拝聴させていただきます!」

「はい。あの、相談というか、依頼というか…………もし、時間があればの話なんですが、私たちの捜査をお手伝いしていただくことは出来ませんか?」

……え。えっえっ、えええ!?


「わー!もちろんです!私、探偵したこともないですけど、出来ることなら何でもします!こんな機会滅多にないですし!ね、下宮くん、ヒロさん!」

「もちろ〜ん」

「……あ、も、もちろん。」

「!!ありがとうございます!!」

ばっ、と体を折った。綺麗な長い黒髪が前に垂れた。


「だ、大丈夫です!それで、依頼内容は何ですか?」

「えーと………これです。」

スマホを操作し、画面を差し出した。

カウンターからヒロさんも来て、3人で見た。


『アマテラス

トワイライト探偵事務所様へ

来月、私(女)は輪廻街へ行きます。その前に、どうしても会いたい人(男)がいます。転生してから何十年も会う決心が着きませんでしたが、ようやく心に決めました。

本当に勝手ですが、その人を探してください。本当に、お願いします。ご連絡待ってます。』


「ちなみに、この人はネットから依頼してきました」

「ネット……でもわざわざこんな長文書くんだったら本物ですよね。」

「質問いいですか?この、輪廻街ってどこにあるんですか?」

「天界である一定期間すごすと、お上様になるか現界に転生するか決めるんです。現界に転生する方を選ぶと、半年前に行かされるのが輪廻街です。」

「なるほど〜。こういう依頼多いんですか?」

「ペットとかならあるんですけど、人探しは初めてです。すみません。人手不足のためにこんなことしてしまって……」

「全っ然大丈夫ですから!でも、天界って広いですよね。どうやって調べればいいんだろ……」

「このメール、どこから送られてきたか分かりますか〜?」

「……天界、ということは分かります。あと、日本というのも。天界は、地球と同じように大陸と海洋がありますから。」

「ん〜……」

会話が全く聞こえない。真花の言葉に固まってしまった。


ギタリストの彼………名前はharugaさんって交換したSNSのアイコンに書いてあった………harugaさんに俺は、すごく無責任なことを言ってしまったことに今頃気づいた。天界は広い。当たり前だ。探すなんて無理な事なのに………なんてことを言ってしまったんだ……………


あ。

「真花!昨日、昨日俺が頼んだものは!?」

「え?……あー、今朝届いたよ。どうしたの?」

「あれ、男女のだよな?それ使えない?」

「……あ。あああ!ち、ちょっと待ってください!」

ダッシュで階段をかけ上った。そして、数秒後戻ってきて、黒い机の上にばんっっ、と置いた。


……うん。これなら、捜査に使えるし、harugaさんの役にも立てる!あ、でも、もう買ってるかもな。勘よさそうだったし。


「そ、それなんですか?」

「……異世界スポット〜?」

戸惑う夢光さんとヒロさんを前に、俺と真花はにっと笑った。


初めての探偵。初めての人探し。

それの鍵になるのは………


「「『異世界別絶対いくべきおすすめスポット 男女兼用版』です!!」」

息ぴったし。



「というか〜、二人ともなんでこの雑誌選んだの〜?」

「俺が真花に、男女兼用の異世界別パンフレットみたいなものあるか聞いたんです。」

「そして、私がネットで調べて注文しました!ちなみに実物ちゃんと見せてからね!」

「そか〜。2人ともナイス〜٩(●˙▿˙●)۶…⋆ฺ」

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