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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
21/33

9.ライスケーキ(父)の相談室(後編2)

遅くなりましたが、ライスケーキの相談室、完結編です!!

「コフィー?」

ぽそっと、でも、はっきり彼女の名前を呼んだ。


ぱっとこちらを見た、金髪ボブの整った顔立ちをした女性。

………と、押し倒されているオレンジの髪の女性と、明るい茶髪の男性。


……え、何あの2人。


「……ま、マグ!?」

「リオン!!!」

「だ、だーくん……?」

なんと、3人ともダクリオンさんの知り合いだった。

俺が驚いていると、押し倒されていない、もう1人の女性が自分の口を押さえた。言ってしまった、やってしまった、と言うふうに。


「……えーと、後ろの人たちは?」

「えっ、あ、げ、ゲーム仲間。」

そ、そか。と言い、倒されている彼女をそっと起こした茶髪の男性。

………ちなみに、これは、ダクリオンさんからの要求。この相談の事は、というかこの事件(?)自体周りの人は知らず、知らないままで終わらせたい、という要求をもとに設定を考えた。ちょうど真花が私服を提案したし。


「それより.....ラウとレイは何をしているの?」

『ラウ』と『レイ』?それって……ラウディさんとレイジさんのこと!?え、じゃあ、この場に主要メンバー全員が集まったってことか!!わぁ、なんて偶然!


「こ、これはぁ!レイジがいきなり飛びかかってきただけなのぉ!ね、コフィぃ!」

「………。」

「こ、コフィぃ?」

「あ、え?なに?」

「大丈夫ぅ?」

「う、うん……」

不自然に、ダクリオンさんから目をそらした。

……なに、この気まずい雰囲気。


「リオン。聞きたいことすげぇあるけど、ひとつ聞いていい?」

「え?う、うん。」

「恋人が殺人者でも、今まで通り愛するか?」

「………どういう意味?」

後ろからだから見えないが、怪しむような雰囲気を出した。


「今日、非生界生息物の制作段階が4段階までの人は、非生界生息物用の飲み物を作ったんだ。やつらしか飲めないものを……俺達には毒のものをな。」

ラウディさんから離れ、コフィ―さんに近づいた。


「なぁ、ドロップ。今日、教授にあの子供っぽい水筒の事を言われていたよなぁ。それと同じ形状の、色は忘れたが車が描かれたやつ。」

「……シャインくんは、何が言いたいの?」

「分かんねぇの?………先に言っとくけど、俺はお前らのことつけてた訳じゃねぇよ。たまたまコーヒー買いに行ったらお前らがいて、そしたらドロップがあの水筒を渡そうとしてて、それを止めただけ。」

と、指差したところには、確かに幼稚園児が持ってそうな青い水筒が転がっていた。その周りには、アスファルトと色が混ざった液体が広がっていた。


……見るからに、怪しい。

けど、まさか、そんなことないよな。動機もない……………ある。


「こ、コフィぃがそんなことするわけないじゃん!そんな怖いこと………証拠ないじゃん!」

「その水筒だよ。それ飲めば毒かどうか分かるぞ。」

「だけど………絶対ありえない!私研究所にいた短い期間とこの1ヶ月しか一緒にいなかったけど、でも、絶対するような子じゃない!私は信じてるから!」

「じゃあ、しないっていう証拠は?」

「私。」

「そりゃ、お前の見解だろぉが。てか、証拠ならリオンもそうだよなぁ。」

「………ボク?」

「俺知ってんだよ。お前が来なくなった原因がこの2人にあるって。なんでかは知らねぇけど。」

寂しそうに、そう言った。

気づかれた、というふうにダクリオンさんが揺らいだ。


「………話変わるけどさぁ、なんで教えてくれねぇんだよ。家にも入れてくれねぇし知らねぇ間にゲーム仲間なんか作ってきてるし………そいつらは何か知ってそうだよなぁ。」

なるべく気づかれないように、動揺を急いで隠した。


……それがバレたのか。


レイジさんがこちらに近づいてきて、そして、ダクリオンさんの胸ぐらを掴んだ。


「何で話してくれねぇんだよ!幼なじみだろ!お前のことなんか全部知ってんだよ!お前が全部話してくれたから!なのに、なんで今回だけ教えてくれねぇんだよ!理由ぐらい教えろよ!この一ヶ月、どれだけ、かな、悲し……悲しかったが、知ってんのが……よぉ……」

泣き崩れたレイジさん。

……たぶん、レイジさんがこうなることをダクリオンさんは予測していたはずだ。なのに………なんでここまで隠し通すんだろう。


────これが、相手を傷つけないためだったら?


ふと、その考えが頭をよぎった。

それは、すごく可哀想で世界一情けない考え。

誰もが一度は考えたことがある、相手のためではなく結局自分のためでしかない考え。


────結局逃げてる。


「消えてほしい」の本当の意味を伝えなかった、あの日のように。

ダクリオンさん、ダメだよ。前に進まなきゃ。

自分の気持ちを抑えちゃダメだよ。誰の為にもならないよ。ずっと後悔するよ。俺、経験者だから分かるよ。いつ、どこでだったのか忘れたけど。ほら、経験者が言ってんだから言えよ。ハッキリ行こう。俺が………相談員がついてるから!!!


────そんな、心の声が届いたのか。

ダクリオンさんは、息を吸った。


「『消えてほしい』って言葉、覚えてる?」

その場にいた全員が反応した。


「……覚えてるに決まってんだろ。」

そっと、ダクリオンさんの白衣の襟から手を離した。

「それが、レイジに言えなかった理由と………コフィーとギクシャクしてしまった理由だよ。」

ダクリオンさんは、ときどき詰まりながらも話し始めた。


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


───まだ、入所して間もない頃。

その日はレイジさんは合コン、ラウディさんは風邪をこじらせたため、彼は1人で帰路につこうとしていた。

その時。

裏口の玄関から、泣き声が聞こえた。

見ると、長い金髪の少女が俯いて泣いていた。

「………どうした?」

「うっさい!」

どうやら、だいぶ気性の激しい方のようだ。顔を上げようともしない。


「実験上手くいかなかったのか?」

「そんなの好きじゃないし。てか、この研究所だって滑り止めで受かったんだし。」

そして、だいぶ高飛車な少女らしい。こんな子いたっけなぁ。………暗記している限り、この研究所にいる金髪少女は一人しかいない。だが、その子は天使と呼ばれるほど性格が朗らかだ。話したことないけど。


「……早くどっか行って。もう疲れたの。」

「人生に?」

「そうなの!!私がつらい思いしてんのまだ分かんないの!?早く消えて!」

ようやく顔を上げた。やはり、『天使』さんだった。

今まで見たことないほど顔が赤くなり、天使とかけ離れた、涙交じりのひどい顔をしている。


「……なんでそんなにつらいのさ。俺が見た限り、君の評価はだいぶ良いよ?成績的にも性格的にも。」

「成績は実力だけど、性格は実力じゃどうにもなんないの!作んなきゃいけないの!……私がこの性格表に出したら、今までの評価は全部なかったことにさせられる!そんなの………そんなの嫌だ!!」

わああぁ、とまた泣き出した。


……なんか、こんな世界嫌いだ、と言うような陰キャラみたいに思えてきた。


「……嘆くなよ。」

「は?」

「嘆くくらいだったら死ねばいい。この世界と別れれば楽になる。……でも、それが嫌だから嘆いてんだろ?甘ったれんなよ。そんなんだったら、自分らしく、()()()()生きればいい。その方がいい。」

「………嫌だよ。絶対嫌われ」

「好かれるために生きてんのかよ!真っ直ぐ生きればいい!そしたら、新たな出会いを見つける、自分を好きになれる!だから!………1回、やってみろよ。」「……もし、好きになれなかったら?」

「それで誰にも好かれなかったら、ボクがそばにいる。何か困ったことがあったら言って。大丈夫。ボクは……」



『真っ直ぐな、今の君の方がいいと思うから。』


「消えてほしい。」

「ドロップがか?」

「だーくん、怖いよぉ。」

「だって!あんなキャラに似合わないこと言ったんだよ!絶対嫌われた!無かったことにしてほしい!恥ずかしい!ボクいたい!」

「リオン!!話的にお前めっちゃカッコよかったから!」

「そぉだよ、だーくん!全っ然いたくないから!」

「……そうかなぁ。」


それから、なんとなく、コフィーは真っ直ぐ生きるようになった。『天使』から『女王』と崇められ(?)、男女問わず人気は保たれた。


そして、ボクはなんとなく、コフィーを意識するようになって、そしたら、ラウは付きまとうようになって………


─────────☆☆☆☆☆☆☆────────


「これが、消えてほしいの真実。これをラウが誤解してしまって、あの日に言った。だから、ボク達はギクシャクして、なんかケンカ中みたいになってしまった。……本当の意味は、さすがに恥ずかしくて言えなかったから、えと、その…………」

「つまり、今回の件はお前が告白的なこと言えなかったことにあるんだな。」

ダクリオンさんは、頷いた。


……あー、消えてほしいってそういう意味だったのか。だから、あの時顔が赤くなって………


「なんか、平和だったな。」

「ご、ごめんなさい、いろいろ」

「大丈夫だって。なんか、解決したな。いろいろ。」

すっきりしたー、と言ってレイジさんが笑った。


「……こ、コフィぃ。その、ごめん、変な事言って。だーくんも。」

「大丈夫。……コフィー、ごめん。その、ずっとうじうじしてて。モムチに緑茶をあげようとしてくれたのも嬉しい。ありがとう。本当に。これからもよろしく。」

「……こちらこそ、あの時も、今までもありがとう。これからも、何かとよろしくね。」

そうして、笑い合った。


「あ、ゲーム仲間×3!お前らリオンを支えてくれてたんだな!ありがとよ!お前らもこれからもよろしく!」

「うん、よろしくね〜。」

てか、ゲーム仲間って設定続いちゃってるけどいいのかな。ま、そのうち分かるか。


「下宮くん、私は早く彼氏が欲しいです。」

「知らねーよ。てか、これ解決でいいの?」

「ど〜だろ〜。モムチ〜、ど〜かな〜?」

ヒロさんの手の中に、モムチが座っていた。


……いつの間に。


「む〜、むちぃ〜!!」

「かーいけつー!!だって〜。」

「「分かるんだ。」」

真花と声を合わせた。

そして、笑い合った。


今回の相談、たぶん、解決です。

コフィー「ちなみに、非生界生息物用の飲み物の色はオレンジでした☆」

ダクリオン「あ、そうなんだ。ボク知らなかった。」

レイジ「てか、お前研究所明日から来いよな!」

ダクリオン「うん!ね、モムチ!」

モムチ「むちぃ〜!」


───────────解決───────────

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