9.ライスケーキ(父)の相談室(後編1)
大変長らくお待たせしました!!!
ライスケーキ(父)の相談室、後編スタートです!!
「………それで、この相談室に来ました。」
机の上でちょこんと座っているモムチを撫で、青い髪を揺らした。
「………すみません、引きましたよね」
「い、いやいやいやいや全然全然全然全然」
「へ、へ〜きですよ〜。ね〜、モムチ〜。」
「む〜、むちぃ〜♪」
いやあ、驚いた。まさかの......うん。
「あ、あああああの〜!!」
「は、はい!?」
「こ、ころ、ころろろろ」
ひ、ヒロさんが狂った。
「こ、こここ殺すって思ったの本当なんですか〜!?」
「……はい!?ころす!?なぜ!?」
「ラウディさんに『消えて欲しい』っておっしゃったんでしょ〜?」
「え!?い、言いましたけど....」
ん?なんか顔が赤くなった?
「それ違う意味だよ。」
「「えっ??」」
口ごもるダクリオンさんの代わりに、真花が言った。
「....あ~、なんだ~。びっくりした~」
「え?え?」
あ、真花が笑いこらえてる。うっざ( ˙-˙ )
「あ、一言いいですか?」
「はい。」
「それ、失恋って言いませんよ。」
「....……なぜ、?」
「だって、振っても振られてもいないでしょうが。
……失恋というのは、別れたいという思いを言葉にしないと成立しないんです。だから、まだあなたにはチャンスがあります。だからこそ、真っ直ぐ、真っ直ぐ言葉に想いを託せば絶対伝わります!!どんなに想いを託した贈り物より、絶っっっ対伝わります!」
と、真花は言い切った。
……すっげぇ。真花カッコいい。
ダクリオンさんが顔を上げた。深く、神秘的できれいな青い目が、ゆったりと揺らいだ。
……と思ったら。
ほろほろほろ
、と涙が溢れええええ!?
「ダクリオンさんんんん!!?」
「ず、ずび、ずびまっ、しぇんっ、ひぐっ」
「どし、どうしたんですか〜!!」
「な、なん、が、安心しでじま、って、」
へにゃり、と涙を拭おうとせずに笑った。
そ、それならいい、?かな?
「はてさて、さてはて!思いが絶頂を迎えているようなので、早速研究所に行きましょっか!!」
「え、今!?」
「わ、わが、分かりました。」
「大丈夫ですか〜?」
「はい。今じゃないと、逃げる気がするんで。」
涙を拭い、モムチを白衣のポケットに入れた。
「え、ほんとに行くの!?」
「じゃあ、下宮くんはお留守番で♡」
「ヒロさん、ペガ車の準備をお願いします!」
「は〜い」
「行くんじゃん。」
だって、留守番とか寂しいし。それに、見届けてやんなきゃな。うん!!
「それじゃあ、ダクリオンさんは少し待っててください!!念のため、私服に着替えてきます!!」
「あ、はい.....あ。」
「?どうしたんですか~?」
「ひとつ、頼みたいことがあるんですけど.....」
─────────☆☆☆☆☆☆☆────────
「お疲れ様でしたー。」
「お疲れさん」
「おつー」
「おー、ばいばーい」
「ばいばい。」
軽く手を振り、研究室を後にした。
スリッパを靴に履き替え、玄関を出
「コーフィぃ」
「あ、ラーちゃん!」
玄関の花壇に座っている、ラーちゃんがいた。
「やぁほぉ、コフィぃ。今日も一緒に帰っていぃ?」
「うん、いいよ!」
「やったぁ。」
ふんわりと、笑った。
この笑顔も随分見なれてしまった。最初なんか「その笑顔に陰あり。」なーんて、カッコつけたことを思っていたけど、今は何も思わなくなった。
「コフィぃ、今日も駅ビル寄ってもらっていぃ?買いたいものがあるのぉ。」
「うん、いいよ!じゃあ、行こっか!」
私達は歩き始めた。
「あ、そうだ!ラーちゃんにね、あげたいものがあるんだけど………はい!」
青いしましまのカバンから、あるものを出した。
「……水筒?」
「うん!………これね、モムチにあげる予定だったんだ。」
ピクっ、
とラーちゃんが反応した。
「……2週間前。まだビーンくんに執着していた、その間に作ったものなの。いつ渡そうか考えていたんだけど、後半の2週間で、ラーちゃんのことを誤解していたことに気づいたんだ。だから、あの時の想いを全部忘れるために、これを飲んで欲しいの。いらなかったら捨てるけど………」
「いいよぉ!」
ぱっ、と水筒に両手を添えた。
「よぉやく………よぉやく理解してくれたんだねぇ。嬉しぃ、とぉても嬉しぃ!その気持ち、受け取たぁ!きちんと水に流すぅ!」
目に涙を浮かべながら、ラーちゃんは笑った。
ホッとして、青い子供用の水筒を彼女に渡した。
「ラーちゃん、本当にありがとう…………」
彼女が水筒を口に近づけた。
「………今まで。」
「ラウっ!!!」
「!!!!」
ドサッ、と誰かがラーちゃんを押し倒した。
……え。
「ら、ラーちゃん!!!大丈夫!!?」
「だ、大丈夫………って、レイジ!」
押し倒したのは、明るい茶色の髪が特徴のシェインくんだった。………なんで?
「ってぇ………大丈夫か?」
「いやぁ、押し倒したのそっちでしょぉが。」
「そうだよ!なんでシェインくんが」
「はぁ!?なんで俺が悪者なんだよ!!悪者はおま」
「コフィー?」
....突然、空気が 凜 とした。
その声に、合わせるように。
....うそ。
「……ま、マグ!?」
「リオン!!!」
「だ、だーくん……?」
研究所の門の前。
なぜか、みんなが集まった。
次回、完結!