2.異世界転生達の相談室
start
ぉくん………りおくん…………………おーぃ……
「おーぃ、ミヤリオくーうん」
パチ
………あれ、生きてる?
「よかったーあ……生きてるーう……ふぁぁわ」
「あ、ヒロさん……」
……ん?なんか温かい?
「………うわ、ああ!?」
なんで真花に抱きついてたんだ、俺!?
「ぷっはあ!何抱きついてんのバカあ!!!!」
バシッ
「いったああ!!」
いきなり殴るな!めちゃくちゃ痛いんですけど!
ガンッ
「いっだああぁぁぁ……」
今度は壁にぶつかったぁぁ…………って、え?壁?
「……わっ、さっきの家!?近っ!?」
「んん?ドアになんか貼ってあるよ?なになに?
″ドアを開けろ、愚民共″?」
「わぁ。リアルのザ☆厨二びょーぉさん来たかーぁ」
「なんで「ザ☆」?それより、開けます?」
ベージュ色のドアを指さした。
俺的には、情報収集のために入りたいんだけど。
「うん。私も入りたい。」
「僕も賛成ーぃ。じょーぉほーぉ大事ーぃ」
おっと、心の声が聞こえてたらしい。
「てなわけで、下宮くん!ドア開けて♡」
「えぇ……なんで……」
「先に意見をいったのはミヤリオくんだよ…ふぁあ」
……ま、いっか。
すっと立ち上がり、ドアノブに手をかけた。
カッ…チャッ
ゆっくりとノブを回し、ドアを開け…………
バンッッツ!!!!!!!
「おっせーよ愚民共おおおお!!」
「たあああ!!?なんか出たああ!!」
2歩ぐらい後ずさった俺は、出てきた人を見た。
白銀の前髪で右目を隠し、露出している左目は、エメラルド色。白の翼が生えた黒いコート。右手には杖。
俺的には″ザ☆厨二病″だ。
「なんだ、その目は。まあともかく、中に入れ。」
「えー。厨二病さんの家には入りたくない主義なんですけどー」
と、真花が嫌そうな顔をした。
「誰が厨二病だ!俺は正真正銘のガブリエルだ!!」
さ、さらに厨二病の疑いが……
「ね〜ぇね〜ぇ。この世界の関係しやあ?僕達なんで集められたの〜ぉ?」
「だからー!中で説明してやるっての!いいから入れ入れ入れ入れ入れええ!」
なんでキレてんだ。この人。
────────☆☆☆☆☆☆☆─────────
そして、俺達は中に入った。
今着ている服がしっくりくる、喫茶店のような室内だった。レンガ模様の壁に、マスターがいそうなカウンターと、1組の席が3つある。
突然、ふわっといい匂いが放たれて、俺の手の中に入った。 手元を見ると、コーヒーの入ったマグカップがあった。
「それ飲んで、ここに座れ。」
ガブリエルさん(?)が適当に席を指した。俺はそこに座り、コーヒーを一口飲んだ。
……うまい。
「よがいれたんだ、そのコーヒー。」
と、ガブリエル(仮)さん(この呼び方でいいや)が言った。へぇー、以外。
「これブラックじゃん!にがっ!ミルクと砂糖は?」
「生意気な小娘だな。敬語を使え、敬語を。」
「はあぁ?なんで厨二病に使わなきゃいけないの?」
「だから!よはガブリエルだっつーの!」
「仲良いね〜え」
「「よくないっっ!!」」
よくあるリア充になる系のやつじゃん。この流れ。
「全く……とにかく、今から説明するぞ!」
今頃感がハンパない気が……ま、いっか。
「まず、ここに来た理由からだ。その理由は………」
、、、、そ、その理由は、、、、、、、、、、、
「……″異世界転生″をしたからだ。」
「「「…………………………………………。」」」
「、、、、そ、その理由は、、、、、、、、、、、」
「今言っただろうが。異世界転生だよ、異世界転生」
「ほ、本気で言ってんの?厨二病だから言ってんの?」
「本気だろうが。あと、厨二病じゃねーから。」
「ば、バカなの〜お?」
「バカなわけないだろうが。天下のガブリエル様だぞ。」
ほ、ほんとに、アニメで聞くような異世界転生したのか!?俺達!?
「待って、転生ってことは、私達死んだの!?」
「当たり前だろが。」
死んだ!?…………………そっか。転生って、死んでどっかで生き返るみたいな意味だからな。
死んだのか、俺………死んだ時の記憶ないけど………
「ま、ショックを受けることは分かるが、仕方ないんだ。死ぬのなんて誰も予想できないからな。」
「な、なんで、僕らは異世界転生をしたの?」
眠気の覚めた声で、ヒロさんが聞いた。
一瞬、沈黙が現れた。
数秒して、ガブリエル(仮)さんは口を開いた。
「愚民共は、死ぬ前に、『何か』を忘れたんだ。それで、世界軸とやらがバグってここに連れてこられたんだ」
「な、『何か』って………何?」
「それを見つけるべく、この相談室……コロウマ相談室をやるんだ。愚民共、3人でな。ここらには7つの異世界がある。
現界、天界、獄界、形界、童界、生界、魔界の7つだ。」
「異世界って多いんだねーえ」
興味深く、ヒロさんが言った。ホント、異世界って一つかと思っていた。
「まーな。ちなみに、天界、獄界は天国と地獄。
形界は人形の死後の世界。童界は童話の登場人物の死後の世界。生界は動物の死後の世界。
んで、現界は愚民共が住んでいた世界だ。」
「に、人形に死後の世界なんてあったんだ…」
ポカンと口を開けてしまった。いやぁ、想像して無かったなー。
「あ、そうだ。愚民共にこれをやろう。」
と、コートのポケットから出したのは、キレイな色をした3つの水晶だった。それぞれに白、青、緑色に輝いている。
「これに、思い出した『何か』を告げれば、なーんと
びっくり。
もう一度、現界に戻れるのでーす( ˙-˙ )」
棒読みだなー……って、ええええええええぇぇ!!?
「つ、つまり、生き返られるの!?」
「そうだ。だから頑張りやがれ愚民共。相談内容にヒントがかくされているんだからな。覚えとけよ」
と言いながら、それぞれに水晶を渡した。
俺は緑、真花は青、ヒロさんは白だ。綺麗だな〜。
そのあと、上が住居になっていることを教わった。それぞれ部屋が割り振られているらしい。よかった、一部屋じゃなくて。あと、コーヒーが何種類かあることと、ココアも紅茶もあるなんでもあることも知った。
「………というわけだ。じゃあ、そういうわけで、明日から相談室をやってくれ。魔女がきても驚くなよ愚民共」
「はーい厨二病さーん」
「うっせー愚民!!まー、そういう訳で………………頑張りやがれ、愚民共」
短いエールを残し、ガブリエル(仮)さんは行ってしまった。
こうして、俺達の相談室、コロウマ相談室は始まった。何が起こるかは分からないが、この二人とならやれる気がした。すっげえ多分。
「いよいよ、3話目には相談者が到来!その正体は!?」
「その前に、相談室の係を決めるよん☆」
「お楽しみに〜」