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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
19/33

9.ライスケーキ(父)の相談室(中編)

こんにちは!磨雄斗です!

今年最後の投稿となります!

お楽しみください!

「ビーンくん。」

「はい。」

顕微鏡から目を外し、回転椅子をくるりと回した。

色黒の肌にクリクリの目、金髪ボブでスタイルが良い。名は、コフィー・ドロップ。


「………何ですか。」

「あのさ、昼休み空いてる?」

「……空いてますけど。」

「じゃあ、研究所の裏口のところに来てくれない?」

「……あ、はい。」

ありがと、と言って女子グループの方へ帰った。


………え、何?

ボク、異性との交流なんて研究所内外関係なく無いんだけど。というか、自分から避けているんだけど。

それに、彼女は………………



「おい、昼休みと言わず今すぐ行ってこい!」

「わ、。びっくりした。」

隣の席の、幼なじみのレイジ・シェインが話しかけてきた。決して影が薄いわけじゃない……というか、影濃すぎ。口が達者でチャラ男だし。


「は?チャンス?」

「いいか、リオン!彼女はこの研究所内のクールビューティ女神なんだぞ!自分は心を動かさず、男子を次々落としまくってんだぞ!そんな女神に呼び出されるなんて!くぅ、羨ましい限りだぜぇ!!」(小声)

「女神だろうがなんだろうが嫌だよ。そんなに言うならレイが行ったら?ボク断るの上手じゃないから。」

「は!?何言ってんの、お前!!お前への愛の告白ならお前が行かなきゃだろーが!!」(小声)

「……………え」


こ………く………はく………?


「....絶対行かない。」

「やっぱ気にしてるのか?あのこと。」

「…………。」

「ラウディ・スパークロンはこの研究所から去ったんだから気にすんな。さ、行ってこい。違うかもしれないだろ?」

「………うん」

ラウディ・スパークロン。

この名前が頭に反響したまま、青い長髪を揺らして席を立った。


───────────カイソウ───────────


「私、ビーンくんのことが好きです。」

やはり、告白だった。


太陽が、彼女の金髪をより輝かしいものにしている。

潤んだ瞳も眩しい。さすが女神だなーっと少し背の低い彼女を見つめ、どう断ろうか考えていた。


「ごめん、いきなり。あんまり話したこともないのに。」

「……別に。」

「君は覚えてないかもだけど、あの日に私は君の優しさに救われた。そのとき感謝の言葉を述べただけなのに、君はそれ以上の言葉をくれた。」

言葉を切り、顔を上げた。


─────どくん。


「嬉しかった。私が真っ直ぐでいることを認めてくれて。そしたら、君のことを好きになっていた。

....長くなってごめん。こんな私ですが、付き合ってください。」

ぱっ、とお辞儀をした。


.....『真っ直ぐ』。

そうか、俺の言葉を覚えてくれていたのか。勘違いじゃなかったのか。そうか。そうか........


固くなっていた心が、ゆったりと揺らいだ。

唯一、真っ直ぐに保てなかったのは、俺の心だけだった。


───────────カイソウ───────────


「マグ、お待たせ!」

「………うん。」

今頷いたのは、実際最寄りの駅前で5分待ったことと、彼女の服装が神天使だったからだ。え?神天使って?気にするな。


あれから1ヶ月経ち、ボクとコフィー・ドロップ………まぁ、普通にコフィーと呼んでいる……がお付き合いを始めたのも1ヶ月経った。

偶然今日は休所日だったので、天界のショッピングモールへ行くことになった。

「ふふっ」

「どうした?」

「だってさ、彼氏が課題を1番に終えて、めっちゃ可愛い子が生まれたんだもん!」

「むちぃ?」

ボクの前掛けショルダーバッグから、噂の白い天使が顔を見せた。

両頬に非生界生息物である印の赤い星。つぶらな瞳でバニラアイスが溶けたような見た目だが、モチの妖精だ。名前は、コフィ―と2人で考え『モムチ』にした。


ちなみに、『課題』というのは、非生界生息物を実際に自分で作ることだった。1年生の最終課題だったが、入所4ヶ月で俺だけ終わらせてしまった。まぁ、いつも通りなんだけど。


「今日は君のアクセサリーを買う日だぞ。楽しみだな!」

「むちむちぃ!」

「悪いな、コフィ―。」

「んーん。めっちゃ楽しみ!」

ああ、なんて可愛い笑顔なんだ.....!!

心を弾ませながら、ショッピングモールへと向かった。


.....結んだ青い髪を揺らすボクへの目線に、気付かないまま。


───────────カイソウ───────────


「んー.....」

「どっちもいいよなー」

やって来ました、大盛況のショッピングモール。その内のあるお店。可愛らしい2つの小さな帽子を前に、ボク達は悩んでいた。

ミカンか、リンゴか。ああ、どっちも似合うんですけど!!2つ買いたいけど、あれが買えなくなる...……


「こうなったら、本人に聞いてみよう!!」

「ナイス。モムチ、眠いところ悪いがどっちがいい?」

「むちぃ......むひぃ.....」

うとうとしながら、ボクの手の中から這い出た。


ぴと、

とくっついたのは、オレンジの帽子だった。


「よし、決まりだな!」

レジへ向かい、会計を済ませた。


「リンゴが良かったなぁ」

「仕方ないだろ?モムチが決め」


.........!!!!!!!


振り向くと、違う女性が立っていた。

「久しぶりぃ、だーくん。これは、どういうことなのかなぁ?」

「.....ラウ。」

じんわりと、嫌な空気が立ち込めた。

目の前にいたのは、ボクが最も恐れている人だった。


「ねー、モムチ寝ちゃ……....ら、ラーちゃん!?何でここに!?」

「さぁ?ねぇねぇ、コフィぃ。だーくんといないほうがいいよぉ。」

「ボクの彼女に変なこと言うな。行こ、コフィ―。」

「う、うん。」

やばい、あれを言われたら。しかも、コフィ―がいる前で。


....逃げなきゃ。


コフィ―の手をつかみ、店の外へ走っ


「この子置いてってるよぉ」

「!!!おい、触るな!!」

「じゃぁ、返してあげる。」


ぱっ

とモムチを離した。

反射的に滑り込み、ギリギリキャッチした。


「じゃ、交換条件で言わせてもらうね♡」

「......は?」

「ねぇ、コフィ―。彼ね、......」

「!!!!!!やめろ!!!!!!!!」


くひっ、と不敵に笑った。


「『コフィ―・ドロップは消えるべき存在』とか言って、大分嫌ってたよ。今も、『近くにいれば殺せる』と思って、そばにいるんじゃない?」


「................え、?」


呆然と、ボクを見つめた。


「ち、ちがっ!!!」

「あ、今は違うんだぁ。でも、前はそうだったよねぇ?」

「........じ、冗談でしょ?ね、マグ?」


………ぽた、

と汗が落ちて、


ばっ、

と身を翻して、


たっ、

と駆け出した。



「.......戻れなくなってしまった。」



それに気付いて。怖くて。外に出たくなくて。



───一か月後、ボクへモムチが持ってきたチラシには、「相談室」と書かれていた。

次回!!


皆様、良いお年を!!

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