9.ライスケーキ(父)の相談室(前編)
How are you ?
Are you sad?
I know.......the reason is me.
”I'm sorry.”
I said it.
Then you started cry.
I couldn't stop your tears.
Because I don't have the right to confel you.────
───午後1時15分
「下宮くん、大丈夫?」
「えっ?何が?」
「何がって………焼きそば全然食べてないじゃん。」
「え、そう?」
「具合悪いの〜?」
「あ、違います。その………さっきの、CD。」
「あー、秋宮兄妹の?」
うん、と頷いた。
朝、前世ヤギだったという生界の配達屋が、秋宮兄弟のお礼品を届けに来た。どうやら、配達屋は生界にしかないらしい。ヤギの郵便的な歌があったような気がするのは俺だけ?
「確か、オオカミバンドのCDだよね〜?ミヤリオくん、好きじゃないの〜?」
「いや、そのトラック7の曲が失恋ソングだったんですよ。英語なんですけど凄く心に響いたんです。」
「なるほど。私も、届いた『童界版:グリム童話』の話で泣きそうになっちゃったよ。」
「僕も、届いたシルクハットに白い犬耳ついててね〜、触ってたら泣いちゃった〜。」
ひ、ヒロさんのはよく分からない。
けど、ほんとうにあの曲心に響くんだよなぁ………
チリンチリン………
ん?相談者さんか
ばっっっふ
「っ!!!!!????」
な、なんだ!?覆われた!?呼吸出来、な、い、んぐっ、………ぐぁ…………ぐっ……………
ガタンっ!
「い……ってぇ」
「し、下宮くん、平気!?い、椅子ごとひっくり返ったけど!?」
「痛ぇ………けど、呼吸楽になったから平気。」
「「大丈夫!?」」
「はい、ヒロさん。大丈…………」
……待て。逆さまの世界にヒロさんともう1人いる。
でも、俺の頭がおかしくなった訳ではなく、真花ももう1人の方を見ている。
「………は、初めまして、?」
「み、みみみみミヤリオくんんん!?」
「落ち着いて。あと、後ろの人に言ったんですよ。」
「あ、なんだ〜。………どうも〜。」
「……どうも。」
ヒロさんの後ろには、白衣を着ている男性がいた。
深い青色の目に、青い長髪。よく見たら、ストレートの長髪の中に1束だけ、ぴょこん、とはねている。
と、俺の顔に貼り付いていたらしき白い物体が、モゾモゾ動いて、ぴとっ、と彼の長い足に貼り付いた。
……………い、生き物!?
「こら、人に迷惑をかけるなと言っただろう。」
「………むちぃ。」
「「「喋った〜!!!」」」
初めて見た、異世界風な生き物。溶けたバニラアイスのような見た目で、つぶらな瞳と両頬の赤い星が可愛い。ミカンの帽子っぽいもの被っているのも可愛い。
「あの、この子がご迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ありません。」
「いえいえ。俺も転んだままですみません………あ、ありがとうございます。」
手を貸してくれた。優しい、クールな人だなぁ……
「すみません。ボク、相談に来ました。『非生界生息物研究所』の研究員をやっております、ダクリオン・マグタ・ビーンです。この子はモムチ。モチの妖精です。」
「お〜٩(●˙▿˙●)۶…⋆ฺ妖精さんなんだ〜!」
「はい。」
今考えたけど、ミカンの帽子を被っているのって、鏡餅に似せるためなのかな。
「そいで、相談内容は?」
「恋愛相談です。」
「任せなさい!下宮くん、今日記録係変わって♡」
「え!?んな、いきなり……」
「僕は、い〜と思うよ〜」
「ボクも構いません。ところで、御二方の名前は?」
「あ、私は西岩真花です!」
「僕は、コーヒー係の古鳥広斗で〜す。」
勢いで決まってしまった!………ま、いっか。兼記録係だし、恋愛相談は、真花の方が向いているし。今日は、記録係を精一杯努めよう。
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ダクリオンさんメモ
本名:ダクリオン・マグタ・ビーン
誕生日:9月1日
年齢:20歳
相談内容:失恋
「え、失恋?」
メモしながら俺が驚いてしまった。
「じゃあ、どうしたら復帰できるかとかですか?」
「あ、違います。………渡したい物があるんです。」
「渡したい、物?」
「むちぃ。」
彼の代わりにモムチが頷いた。その後、ダクリオンさんは話し始めた。。
オオカミバンドの名前:LOstVE
秋宮間千「僕の一番大好きなオオカミバンドです♡♡」
秋宮紅琴「前書きは、お兄ちゃんが入浴中に熱唱している曲です。マジうるさい。」
「えへ。」
─────────中編へ続く──────────