7.あの悪役の相談室(中編2)
「そういえば、秋宮さんはどうして日本の苗字と名前なんですか?」
「あぁ、僕がかぐや姫の話が大好きだったんですっ!赤ずきんちゃんの名前も日本っぽくしましたっ!」
「ほ、ほぉ。」
ドサッ
前のめりに倒れた青年、今回の相談者である狼男、秋宮間千さん。後ろに立っている、彼を倒したと思われる少女、赤ずきんちゃん。
今回、この2人と演劇に出演して、大成功を収めたら、相談解決。
────って、冷静に説明している場合じゃない!
「し、秋宮さん、大丈夫ですか!?」
「………んー」
と、口を開いたのは、秋宮さん………ではなく、赤ずきんちゃん。
「やーっぱり、蹴りの方がいいわ。お兄ちゃんもそう思うでしょ?」
「「「お兄ちゃん〜!!?」」」
「うわっ!?あなた達誰!?」
今頃かい。
てか、赤ずきんちゃんって、もう少し幼くなかった?小二ぐらいだった気がする。絵本の中では。
「痛ぁ………、紅琴、人に暴力を振るうなって言っただろう。そんなことしてると演劇出さないぞ。」
と、素早く立ちながら言った。
「え、それは嫌だ。てかさ、それはお兄ちゃんが1番困るでしょ。ただでさえ、キャストが足りないんだから。」
と、負けずに言い返した紅琴(?)さん。
「だからこそ、この方達を呼んだんだ。すみません、僕の妹が。」
「い〜えい〜え。紅琴ちゃんって言うんだね〜、演劇好き?」
「………そんなに。演劇上手い人って嘘つきだから。
そんなに悲しくもないのに泣くし、好きでもない人に好きって言うし。俳優さんって嘘つきがいっぱいいそう。」
「そんなことないよ〜。僕だって演劇部だったけど、嘘つきの先輩なんて、一人もいなかったよ〜。」
「じゃあ、後輩が嘘つきかも知れないじゃん、古鳥広斗さん。」
…………………え。
「な、なんで、僕の名前、知ってるの〜?」
「あたぼうよっ、私はその人の顔を見れば、本名が1発で分かるんだからねっ、下宮理雄さんに、西岩真花さんっ♡」
「「おおおおっ!!」」
本当に合ってる!
「この世界では、童話の主人公には1つの能力が与えられるんです。」
と、付け加えるように秋宮さんが言った。そして、俺たちを教室へ案内した。
「さて、今回やる童話ですが、俺たちは″男女逆転版白雪姫″をやりますっ!」
「だ、男女逆転版!?」
「そう、私が王子様、そんでもってお兄ちゃんがねぇ、白雪姫なの♪」
「僕、他のが良いって言ったんですけどねぇ。あ、りょうしさんはりょうしさん役。それで、相談員さん達には、7人の小人をやって頂きたいのですが……。」
と、言葉を切った。
問題があるらしい。って、それはそうだよな。
「4人、足りませんよね。」
「だから〜、僕は助っ人を呼ばせていただきました〜。」
「えええ!?ヒロさんそれは初耳ですけどっ!?」
「あれ?真花は知らなかったのか?」
「えええ!?下宮くん知ってたのっ!?」
「あれ?知らなかったの?ふっ(´<_` )」
「ムカぁ!」
おー、こわいこわい。
「まあまあ。助っ人をのことは、僕も初めて聞いたけれど、本当に助かります。それで、今どこに………」
ばごっっっっ!!!
またもや前のめりに倒れる秋宮さん。
ゆっくりゆっくり、スローモーションのように倒れた、その後ろには………あれ?
「が、ガブリエル……(仮)……さん?」
「なんだ、厨二病じゃん。」