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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
12/33

7.あの悪役の相談室(中編1)

すたーと!

土下座をしていた()()()()()は、数分後、ようやく顔を上げ、立ち上がった。


その姿。

両目が隠れそうなほどの長い前髪。

黒いスーツに、なぜか生えている尻尾と犬耳。

そして、この人っぽいのは、いきなりバッと体を折った。


「すみませんっした!!おどろかせてしまって!!」

「「「.......あ、い~え。」」」

「今、″驚かせたらダメウィーク″なんっす!ほんとにすみませんっした!!」

「「「……あ、い〜え。」」」

何だよ、そのウィーク。


「俺、『赤ずきんちゃん』に出てくる、狼男の秋宮(しゅうぐう) 間千(まち)っす!」

「「「えええええええ〜っ!!!!??」

3人揃って大声を出してしまった。

だ、だって、狼男、なんて、見たことねぇし!!

しかも、童話のキャラクターって。。。

童界の出身かな?


「あっははは!皆さんの反応、面白いですねっ!」

愉快そうに笑いながら、サラリと前髪を払い除けた。

その顔。

真花が「ほわぁ〜♡」と声を漏らしてしまうほどの、イケメン。最近イケメンばかり来るなー。


「すみません、驚かせてしまって。相談に来ました」

「あ、そうっすか。………今回担当させていただきます、下宮理雄です。こちらは西岩真花、カウンターにいらっしゃるのは、古鳥広斗です。申し訳ございませんが、改めて自己紹介をしていただいた後、ご相談内容を拝聴させていただきます。どうぞ、おかけください。」

「あ、はいっ!失礼しますっ!」

爽やかに返事をし、手前の席に腰掛けた。


そうするや否や、ヒロさんが2つの長細いコップを机に置いた。

「は〜い、ブドウジュースで〜す」

「あ、ありがとうございます!……美味いっ!」

「「美味いのは何よりですけどなぜにブドウ。」」

真花と2人して叫んだ。

でも、彼女は、すぐにパンっと手を叩き、首を傾ける俺に耳打ちした。

(ほら、赤ずきんちゃんって、お婆ちゃんのためにぶどう酒持っていったじゃん。)

(あーね。てか、相談内容って何だろうね。)

(恋愛相談じゃね?赤ずきんちゃんに恋してたり。)

(あー、ありそうだな。)


んじゃぁ、俺も一口飲んだところで!


「それでは、自己紹介をお願いします。」

「あ、はいっ!改めまして、僕は秋宮間千。28歳で、誕生日は12月24日です!ちなみに、僕ら童界の住人の誕生日は、持ち主だった人の誕生日なのですっ!」

へぇ。てか、やっぱり童界出身なんだ。


「誕生石は、ラピスラズリっと。それでは、相談内容をお聞かせください。」

「はいっ!我が『グリム中学校』の学園祭についてですっ!」

「えっ!?学園祭!?赤ずきんちゃんとの駆け落ちは!?」

「か、駆け落ちっ!?無理無理無理ですっ!!先生と生徒ですよ!?禁断すぎます!!」

「「「先生と生徒〜!?」」」

またもや驚く3人。てか、どうりでスーツ姿だと思ったら。

「ええ。童界では、有名な童話の登場人物は学校に通い、教師は悪役がすることになっているのです。」

「いいじゃん、定番の禁断コンビで。」

「よくないですよっ!

......それより、学園祭というのは、我が校で年に1回行われるものでございますっ!

毎年、模擬店などを各クラスで出しますが、今年は演劇部が廃部してしまいましたので、もしも″○○が○○の話だったら″というのをやってみましたっ!」

「切り替え早いですね。てか、つまりは、赤ずきんちゃんがラプンツェルだったらとかですか?」

「そういう事ですっ!それで、あのっ…………………

僕らのやる演劇に、出てくれませんかっ?」

────演劇に………出る!?


「賛成賛成賛成さーんーせーいー!

私、よく学園祭でキャストやっていたの!楽しかったの!」

「ほ、本当ですかっ!?ありがとうございます!!」

「僕も〜。高校の時、演劇部に入ってたの〜。」

「ほ、本当ですかっ!?ありがとうございます!!」

「じゃあ、現場へレッツゴー!」

「ええええ!?俺の意見は!?」

「有無を言わせず賛成ですっ♡」

「えええ〜?俺の学校、模擬店しか出さなかったんですけど!?」

「ま〜ま〜。いい経験になるじゃ〜ん♪♪♪」

「そういう問題じゃねえええぇぇええええ!!!!」


────────☆☆☆☆☆☆☆─────────


まあ、結局現場……「グリム中等学園」に来た。レンガ造りの一階建て校舎と、おしゃれな制服は、西洋に来たみたいだ。

─────今、俺たちは、秋宮さんが担任のクラスに来ている。


「あー!マチ先生おかえり!」

と、クラスの子がパタパタと歩いてきた。

長い金髪の髪を三つ編みにしていて、大きな琥珀色の瞳をキラキラさせている。何のキャラだろ?

「ただいま。演劇の準備の調子は良いかい?」

「うんっ!その人たちは?」

「僕ら、チーム:REDHoodの演劇をお手伝いしてくれる人達だよ。」

「やっぱり、そのチーム名カッケ―!こんにちは!」

「「「こんにちは〜」」」

にはっ、と笑い、向こうへ行ってしまった。


「あの子、なんの童話に出てきますか?」

「あぁ、『ラプンツェル』ですよ。」

「へえ~、ラプンツェルって、グリム童話だったのか~」

驚くヒロさんに、こくり、と頷く秋宮さん。

え、なんでグリム童話?どっから出てきた?てか、真花も普通の反応なんだけど。あれ?


「あっ!そういえば、今回演じる童話を言っていませんでしたね。タイトルは『だんじょ


ばごっっっっっ!!!!


突然響いた鈍い音。

前のめりに倒れる、秋宮さん。


...その、後ろに立つ、右足を大きく上げた、少女。



空色の、ワンピースのような制服。茶色いブーツ。ゆるふわカールの赤茶色の髪の上に、当たり前のようにかぶさっている、赤い頭巾。


.......赤ずきんちゃんが、そこにいた。

「ね~、真花ちゃんて、夜寝る前になにするの~?」

「え?一人しりとり。」

「..................へぇ~。」

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