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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
11/33

7.あの悪役の相談室(前編)

………ぉ…………りぉ…………理雄………理ぃ雄!!


……呼ばれてる?


ふっと目を開けた。


同級生ぐらいの女の子が、俺を見つめていた。

俺は横たわっているらしく、体が重かった。


────理雄!もうっ、心配したでしょ!?バカぁ!


──うぉわっ!?


抱きついてきたお下げ髪の少女。

暖かくって、懐かしい匂いがした。


────この子、誰だ?


見たことがあるような…………ないような……あれ?


────理雄?ねぇっ、理雄ってば!ねぇ、ねぇ!!


頭が……………クラクラ…………す………る………



────理雄っ!!ねぇっ!ねぇ、ねぇ、、、、、、




「私を、1人に、しないでよ、、、、、、、」

アオーン………アオォーン…………


「───んぁ?」

目を開けると、チョコレート色の天井。


あれ?

お下げの髪型の、同級生ぐらいの女の子がいたような…………


……………夢か?

いや、そうだよな。俺は今、いつもの部屋、相談室の2階の住居スペースで寝ぼけてる気分だ。


そして、いつの間にか開け放たれた、青いドアの前で仁王立ちをしている、水玉パジャマを着た真花がいる。


「………なんでいんの!?」

「失礼な。部屋の前を通ったら狼の声がするんだもん。」

「お、狼?」


アオーン………アオォーン…………


「あー、俺の目覚まし音だ。」

「目覚ましぃ!?」

うん、と頷き、俺は枕元のスマホを手に取り、音を止めた。

「………は、初めて、狼の声を目覚まし音にする人を見た。」

「えー。やっぱり、俺以外いないのかー」

しゅん、とうなだれた。

なんで、狼の声を目覚まし音にする人、いないんだ。


「何その目。…………そういや、下宮くんの部屋にも、小さな机あるんだ。」

「は?どこ?」

そんなものあったか?


「ベッドの隣。って、違う違う。右っ右っ!」

「うわ。ほんとにある。」

ベッドと隣合わせで、昨日はなかったはずの小さな机があった。

小さなメモが置いてあり、目を通した。


───下の愚民へ、

褒美をもう少しやろう。

この机は、スマホを置くだけで充電できる、優れものだ。ちなみに、引き出しの中には、『ぽーたぶる充電器』と『水晶ケース』が入っている。大切に使え。

ガブリエル様より────


「………ぽーたぶる充電器って?」

「持ち運びできる充電器。てか、いつの間に置いたんだろうね、あの不法侵入野郎。こっそり入ったら、ヒロさんの部屋にもあったよ。」

───不法侵入野郎はどっちだよ。

そんな、おれの心の呟きにも気づかず、パンっと手を叩いた。


「てかさ、私は水晶の事すっかりわすれてたわけで、部屋中探し回ったよ。」

「あー。俺は、本棚の中に置いてある。」

ベッドから立ち上がり、6段ある本棚の一番下から、薄くホコリをかぶった、黄緑色の水晶を手に取った。


「………やーっぱり、誕生石。」

「た、誕生石?」

そういやぁ、真花は誕生石をほぼ知ってるんだっけ。

確か、俺の誕生石は、ペリドットってやつだった。


「ペリドットは、黄緑色なの。その水晶も、黄緑色でしょ?」

「………まぁ、確かに。真花は、青色だったっけ?」

「うん。アクアマリンだから。無許可で部屋を侵入したら、ヒロさんも真珠だから白だったよ。」

だから、不法侵入野郎はどっちだよ。

俺は、苦笑いをしながら、右手の中にすっぽりはまっている水晶を、静かに見つめた。


────────☆☆☆☆☆☆☆─────────


「は〜い、今日の朝食は、和食コースで〜す。」

「「うわぁー!!」」

1階の相談室兼リビングに、美味しそうな匂いが広がった。

俺は、真ん中、真花が向かい側に座り、「おぉー!」と声を上げた。

ツヤツヤの白米に、ワカメと卵の味噌汁。焼き鮭と大根おろしに牛乳。

ちなみに、料理はヒロさん担当になり、他の家事は真花と2人で分担している。

さあさあ、説明が終わったところで!


「「いただきまーすっ!!」」

「ど〜ぞぅ♪」

真花と向かい合い、美味しい料理を頬張った。

ヒロさんは、カウンターから嬉しそうに眺めていた。


「めっちゃ美味い!ヒロさん、マジ最高!!」

「焼き鮭、丁度いいです!味噌汁も最っ高!!」

「ありがと〜、真花ちゃん、ミヤリオくん♪」

あぁ、マジ最高に美味すぎる………!!


アオーン………アオォーン…………………………


─────んっ!?


「もぉー。下宮くん、目覚まし音、消してよぉー。」

「へ〜、狼の声を目覚ましにする人っているんだ〜」

「え、いや、それは事実ですけど、でも、」

「何故にしどろもどろになってんの?」

「ミヤリオく〜ん、顔青白いよ〜?」

「だ、だって、この音、俺の目覚まし音じゃな


バンッッッッ!!!


───大きな音を立て、ベージュ色のドアが開いた。



「「「……………え。」」」


人………………じゃなくて、狼がこちらを見上げていた。



ギロリ




「「「………………。」」」




次の瞬間、俺たち3人は、深緑色のドアの中へ駆け込み、階段を駆け上り、それぞれの部屋に駆け込んだ。


───でも、数分たって、同時にドアを開け、顔を見合わせた。


…………いやいやいや何今の狼だよね〜なんで狼がこんな所にいるのてか何しに来たんだろ〜まじ意味わからないんですけど誰か助けてHelp me!!


言いたいことを全て言い、少し落ち着いた。

すると、ヒロさんが部屋に戻り、何故かフライパンを持ってきた。

そして、ヒュッと息を吸った。


「────みんな、僕の後ろにいてね。」

「ヒロさん!!消滅しちゃうよ!!」

「俺の事は気にしないでください!俺が最初に行きますから!」

「大丈夫〜。僕が最年長だし、相談室でもただの料理係だから〜。」

「私たち、目玉焼きしか作れないんだよ!?ヒロさんいなきゃ飢え死にしちゃう!!」

「そうですよ!ヒロさんの激ウマご飯無しじゃ、相談員出来ないです!!」

「あ、それは嬉しい〜!…………でも、」

そこで言葉を切り、ヒロさんは、言った。



「…………僕は、2人のためなら消滅しちゃってもいい。大切な、家族同然の2人だから。」




「「………ヒロさん………」」


柔らかく笑い、ヒロさんは、そろりと歩き始めた。

俺たちは、フライパンを持つその背中を、潤んだ瞳で見つめた。


ギ、ギ、と音を立て、ようやく階段を下りた。


最後に3人で頷いた。


が、ちゃ


深緑色のドアをゆっくり開け、俺たちは、狼に襲われ…………………………






なくて、ふさふさの犬耳と尻尾を付けた()()()()()が土下座しているところを見てしまった。。。。。。

「………てか、なんでヒロさんは、フライパン持ってたの?」

「僕ね〜、フライパン抱きしめないと眠れないんだ〜。真花ちゃんも、今度やってみてよ〜。」

「………遠慮しておきます。」


「あ、中編へ続きます。」

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