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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
10/33

6.厨二病 inコロウマ相談室

……寝れない。

頭から、あの叫び声が、離れない。

三島さん、見沢さんと幼馴染だったんだな。

知らなかった。

解決できなかった。

俺のせいで……………。

チリンチリン…………チリンチリン………………


「ひぇっくしゅ〜んっ!!」

元気なくしゃみが、1階の相談室に響いた。

俺は、ちょうど、ベージュの階段の目の前にある深緑のドアを開けたところだった。

眠れなかったから、自分で珈琲でも入れてみよっかな、と考えていた。


「───あれ、ミヤリオくん起きたの?まだ夜中の1時だよ〜………うっくしゅん!!」


べちやっ


「ぎゃああああああああっ!!!!!」


チリンチリン…………チリンチリン………………


「ぢーーーーーんっ!!!」

「ヒロさん、風邪引いたのぉ?」

「あれ〜?真花ぢゃんも起ぎぢゃっだの〜?」

「すぅごい鼻声だぁ。ところで、下宮くんはぁ?」

「いや〜、僕が鼻水ぶっかけちゃって〜」

「あぁ、だから洗面所の電気が付いていたのかぁ」


────────☆☆☆☆☆☆☆─────────


ガチャっ

「えーと、風邪薬ーっと。」

その頃の俺は、がさごそと本棚、クローゼット、ベッドしかない部屋で風邪薬を探していた。いや、もしかしたらあるかもしれないから、顔洗ったついでに探しに来た。


…………てか、余計に目が覚めた。

今日のことが………って、もう昨日のことか。

結局、三島さんの泣き顔が頭から離れないまま、日を越してしまった。なんか、悔しい。


心の中がモヤモヤしたまま、絶対なさそうなベッドの下を屈んで覗いた。


びょおおおおおおおっ


「寒っっっっっっ!!!!!」


その勢いで、立ち上がろうとしたが、、、、、、、、

ズシッと体が重くなり、立てなくなった。

まさか、誰かが乗った?


泥棒?不審者?それとも…………変質者?


「─────ふぅ、着地成功だな。たまには役に立つじゃないか、愚民。」

まぁ。なんて失礼な変質者だこと。

心の中でそう呟いたが、この声と口調に聞き覚えがある。

………まさか。


そう思いながら首をあげて、答え合わせをした。


「………あ!やっぱりガブリエル(仮)さんだ!」

「うっせぇ!本物の天下のガブリエル様だ!!」

相変わらず、発言が厨二病っぽいですね。

その言葉を飲み込み、首を戻しながら、四つん這いの姿勢で、一瞬だけ見えた彼の姿を思い出す。


伸ばした銀髪の前髪で、エメラルド色であろう右目を隠し、翼の生えた黒いコートを羽織り、片手には表紙に魔法陣が描かれた本を持っていたっけ。


「おい、何をブツブツ呟いてんだ、愚民。」

「あ、いえ………てか、重いです!早く降りてください!!!」

「失礼な奴だ。そういえば、なぜに窓が悲惨な状態なんだ?」

「………諸事情です。」


チリンチリン…………チリンチリン………………


────1階の相談室にて。

「何だ、この鈴の音。」

「今回担当した相談者がくれたの。可愛いくない?白猫の手型だよ、女子力高いよねー。」

と、出入口のドアに付いている白猫の手型の鈴を見る真花。

「………なかなか風情のある音色だな。」

「あ、ガブざ〜ん。僕ね〜、質問があるんでずげど〜…………ひっぐじゅんっ!」

と、酷い鼻声のヒロさんは、ある質問をした。


─────屋上から、泣きじゃくる三島さんを連れ、教室に戻ると、HR(ホームルーム)と英語の授業の時の気だるさは何処えやら。担任が、熱血的にクラスメート達を怒っていた。

俺と真花は、やる予定だった部活体験の方に行かされた。その後、唯一担任に褒められた三島さん&迎えに来た柴崎さんと合流。

その近くを通ったお嬢様3人の目は、射抜くようにこちらを見ていた。

………本当は怖かったと思うけど、三島さんは、涙で濡れた頰を拭いながら、俺を見て微笑んでいた。

……………そんな中で、ヒロさんは、柴崎さんと何かを話し、首をかしげたそうだ。


「────死んだ魂って、消えるんでずが?、今回の相談室の執事ざんがおっじゃっでいまじだげど。」

「あぁ。そうだが。言っていなかったか?」

「「消える!!??」」

真花と声を合わせて叫んだ。

うるさそうに目を細めたガブリエル(仮)さんは、話を続けた。

「お前らは、あくまで(たましい)(かたまり)だ。目に見えないものが具現化したものに過ぎない。普通の人間と何の変わりもない生活を送れるが、刺されようが撃たれようが自殺しようが、魂は消える………つまり、消滅する。」

淡々と説明をした。


何も考えずにいた。

1度死んだ俺達が、もう一度死んだらどうなるかなんて。

───恐ろしくて、怖い。


「さぁ、悲しい話はここで終わりだ。お前らの頑張りは、よく耳にする。そこで。お前らに2つの贈り物を授けよう。」

と、手にしていた魔法陣の本のページをパラパラめくった。


『──四大天使の名において、この述を用いることを許可いたす。 ユリール・フリール・ジブリール!』


「「「厨二病キタ〜!」」」

見事に3人の声が重なった。

すると。


ゴトトトッ、と天井から、何かが落ちてきた。


「あああああ!!!!私のスマホだあああ!!!!」

「僕のスマホ〜!!!」

「俺のパートナー!!」

なんとびっくり。

落ちてきたのは、俺たちのスマホだった。

俺は、紺色のケース。真花は、桃色のケース。ヒロさんは、白猫のケースだった。(可愛い)

待ち受け画面も、中身も元通りだった。


……でも、メールの履歴やアプリが全て消えていた。

やっぱり、やり取りされると困るからかな。


「何があると分からないから、俺様たちが預かっていた。感謝しろよ、愚民。」

「マジでありがとう!!ガブリエル!!」

「んなななっ!べ、べべべ別にっ!大したことじゃねねねねぇしっ!」

真花の素直な発言にうろたえるガブリエル(仮)さん。

恋愛マンガかよ。このツンデレコメディ。


「ったく………あ、もうこんな時間か。じゃあな。俺は、午前2時までに戻らなくちゃいけねぇんだ。」

「え〜。ゴーヒーぐらい飲んでっでよ〜。」

「お前の風邪が治ったら飲んでやる。じゃあな。」

と、床に落ちていた魔法の本をかかげ、出てってしまった。

白猫ベルを、揺らしながら。


チリンチリン…………チリンチリン………………


その後、2階の俺の部屋にて。

「………あぁ、本当に戻ってきたんだな。」

ポツリと呟き、俺は、あるサイトを開き、ログイン画面を開いた。

────生前、何故かハマっていた小説投稿。

これまでの体験を、書いてみようかと思い、ベッドの中で、静かにスマホの画面に触れていた。

てか、ログインできるか分からないけど。


しかし、すぐにログイン出来た。


久々の、自分のホーム画面。

いつの間にか、モヤモヤが晴れている。

単純だな。


しかし、いつか死ぬと、消える。消滅する。


それまでに、何人の相談を解決できるのだろう。

今後一切、未解決にならないといいな。


そう思っていたら、いつの間にか、眠りに落ちた。



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