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キリングアート  作者: カルラ
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第五話 キリング ノット アート その1

小さな一騒動が終わってから数日後。

 あれから赤咲は桜とは会っていない。

 桜の仕事が忙しいのもあるが、勢いに任せて告白しようとした手前、一度勢いをなくしてしまえば、再び勢いを取り戻すのは並大抵の事じゃない。

 また、赤咲の方も絶えず楽曲の製作や人をキャンバスにした凄惨な芸術の製作を行い、あえて暇を作らなかったのもある。


―やっぱ逃げてるのかな―


 赤咲もこのままでは駄目だということは考えている。

 現に桜のことを考えてしまうと、仕事の調子が全く上がらない。

目の前の少女を使った美術品製作ですら全くといっていい程に調子が上がらないでいる。

 せっかく良さそうな素材を見つけてきても、製作の途中で手元が狂ってしまい微妙な出来になる事も多い。

 これでは、時間と労力の無駄使いでしかないだろう。


「はぁ」


 溜息をつきながら、創作のために少女へとナイフを振り下ろす。


「がふっ」


 すると目の前の少女は、うめき声をあげて痙攣してしまう。

 そしてその痙攣は暫らく続き、やがて静止する。


「はぁ、また失敗か……どうも調子が悪いな」


 頭を抱えながら自嘲気味に呟く。

 しかし殺してしまった以上、どうしようもない。

 失われた命はもう戻らないのだ。


「本当にどうしたんだ……ああもう駄目だ。これ……さっさと処分しないと……」


 アート製作を諦め、遺体の処理に掛かる。

 こうして無駄に殺しただけという形で終わる事も、これで三回目である。


「これじゃ、ただの殺人鬼と一緒だな。本当、真面目に取り掛からないと……」


 自嘲気味に呟くその声には元気が感じられない。

 しばらくして遺体の処理を終えると、寝室に入りベッドへと横になる。


「やっぱ……告白すべきだな。桜に」


 天井を見つめながら呟く。


―調子が悪いのもあの日からだし……桜のことが頭から離れない。やっぱり桜に告白して結論を出す以外、この気持ちのモヤモヤは解決しそうにないな―


 赤咲は桜のことを思いながら、気持ちを固めていく。

 勢いではなく心から強く決意し、次こそは桜に告白をするために。


最終章開始です。

最後まで楽しい小説を心がけるのでご期待あれ。

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