市原 雅史
同じ夢を見る。
夢の中の俺はまだ子供で、住宅に囲まれた公園でいつも同じくらいの歳の女の子と遊んでいる。
「ずーっといっしょにいようね!」
女の子はそんな事を言いながら俺に笑いかけた。
「おう! この先ずっとおれが守ってやるよ!」
そう言うと彼女はとても嬉しそうに笑った。
気が付くと俺は激しい雨の中に立っていた。
どうやらどこかの学校の屋上のようだ。
屋上には少し離れた場所に赤い服を着た女の子が立っている。
顔立ちからするにさっきの女の子だろうか。
さっき見た時よりも大人びていて、中学生か高校生くらいに見える。
俺は彼女に近寄った。
そしてすぐに異常に気づいた。
赤い服と思っていた服は制服だった。
赤く赤く染まった赤い制服。
それが血だと気付いたのは彼女の足元にただの肉の塊となった人間の体があったからだ。
両手足は通常の関節ではあり得ない方向に向いていて、肋骨が内側から飛び出し、内臓を剥き出しにしている。
顔があったであろう場所は完全に陥没していて、人物の判別は不可能だがスカートを履いているところを見ると少なくても男ではなさそうだ。
彼女は俺に向け何か喋っているようだったが雨の音に掻き消されてよく聞こえない。
俺はその声を聞くためにより彼女に近づいた。
そして気づいた。
彼女は泣いていた──